お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

奨学金は繰り上げ返済した方が良い? どれくらいお得になる?

#令和のマネーハック

丸山晴美

働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、丸山晴美さん。

今回のお悩み「奨学金は繰り上げ返済した方が良い? どれくらいお得になる?」

月に2万円弱、奨学金を返還しています。投資に興味はあるものの、一人暮らしで奨学金を払い続けながらさらに積み立てをするのはなかなか厳しく、手が出せません。繰り上げ返済でさっさと完済してしまった方が良いのでしょうか? 繰り上げ返済ってどれくらいお得になるのですか?(20代後半/薬剤師)

奨学金の返済は、返済期間は15年、20年と長期間になり、完済時の年齢やライフプランを考えると負担に感じるのも無理はありません。早期に完済して、その分をiDeCoやNISAなどに積み立てられたら……と考えることができる相談者さんはとてもしっかりされた方だと思います。

繰り上げ返済の方法とそのメリット

貸与型第二種奨学金(以降奨学金とします)の繰り上げ返済方法には、残債全てを一括で返済する「一括返済」と10万円や50万円といった残債の一部を返済する「一部返済」があり、家計の状況にあわせて選ぶことができます。

「一括返済」、「一部返済」をした場合は、返済期間が短縮され、その分利息の軽減効果が期待できます。また、借入時に機関保証制度を利用している場合は、保証料の一部が返還される場合があります。このように、奨学金を完済することで、毎月の支払がなくなり、利息の軽減効果と人によっては保証料の一部返還といったメリットが挙げられます

また、日本学生支援機構の奨学金を口座振替で繰り上げ返済する場合は、手数料はかからず、繰り上げ返済の金額はいくらからでもできることもメリットの一つと言えるでしょう。

繰り上げ返済するデメリットと注意点

しかし、返済にはある程度まとまった金額が必要となるため、貯蓄が減ってしまい急に家電が壊れて買い換えが必要になったり、冠婚葬祭が続き出費が増えてしまったりといった、大きい出費に家計が耐えられなくなる可能性があります

また、奨学金とは別の借り入れ、例えば、分割払いやリボ払い、キャッシングローンは、金利手数料が奨学金と比べるとはるかに高く、一般的には金利が高いものから返済した方が利息の軽減効果が高いとされるため、もしそのような借り入れがある場合は、どれから繰り上げ返済をした方が効果が高いのか比較をして返済の優先順位を立てるようにしましょう。

奨学金の繰り上げ返済の効果はどれくらい?

実際に繰り上げ返済の効果について計算してみましょう。借り入れ金額と利率は仮のものとします。

利率固定方式 借入金額288万円 借入利率0.5%※ 返還方式:定額返還方式
返済開始年月 2020年10月 返済年数16年 返済回数192回
毎月の返済額 15,611円
おおよその返済総額2,997,228円

※利率は借入した年と月によって異なるためあくまでも目安です。詳しく計算したい場合は、ご自身の「奨学金返還証明書」で確認してください。

パターン1 完済した場合

2025年4月に残債2,108,730円を完済した場合

総返済回数 54回
返済総額 2,936,113円
利息の軽減効果 61,115円

パターン2 一部繰り上げ返済をした場合

2025年4月に100万円を一部繰り上げ返済した場合

総返済回数 126回(66回短縮)
返済総額 2,952,571円
利息の軽減効果 44,657円
繰り上げ後の残債額 1,093,119円
完済予定 2031年4月

さらに2026年4月に50万円繰り上げ返済をした場合

総返済回数 93回(33回短縮)
返済総額 2,943,497円
利息の軽減効果 53,731円(今回分9,074円)
繰り上げ後の残債額 410,829円
完済予定 2028年7月

このように、まとめて返せば返すほど利息の軽減効果は高くなり、完済までの期間が短くなります

投資をしながら資産形成をするには?

毎月の奨学金の返済や日々の出費などでなかなか投資にお金が回らないこともあります。投資は無理なく始めることが大切です。

投資以外に貯めるお金は必要

一人暮らしの方は、万が一の生活費として、3カ月分の生活費を貯めておきましょう。月の生活費が18万円なら54万円が目安になります。

また、生活費とは別に特別費として、家電などが壊れたり、冠婚葬祭費用など比較的高額な出費に備える貯蓄として50万円を目安に貯めておくと良いでしょう。合計で100万円程度はいざという時にすぐに使える状態にしておくことが望ましいでしょう。

投資は無理のない範囲から「長期・積立・分散投資」を心掛ける

お金がないからといって、投資ができないと思っていませんか? 投資には、大金が必要というイメージがありますが、証券会社によっても多少違いはありますが、最低投資額が100円から始めることができます。もちろんNISA口座でつみたて投資も可能です。100円ならちょっと節約して浮いたお金を貯金箱にではなく、投資へ回すこともできそうですね。

また、普段のポイ活で貯めたポイントを使って投資信託を購入することもできます。例えば楽天証券なら楽天ポイント(期間限定ポイントを除く)で投資を行うことができます。こちらも、NISA口座に対応していますので、貯まったポイントでコツコツ投資をしても良いですね。NISA口座等で投資をしたポイントは1ポイント1円換算されますので、売ったときはポイントではなく円になります。

このように、少額でも長期間に渡って積立をして、余裕ができたら銘柄を分散させることで、やりくりをした成果やポイントが増えてくれるかも知れません。

ボーナスが出るならボーナスも投資のチャンスです

ボーナスが支給されるのであれば、いくらか投資用に分けておいてもいいですね。ボーナスをそのまま残高に置いたままにしていると、投資以外の用途に使ってしまう可能性もありますので、早めに投資先を決めておきましょう。

ボーナスで、積み立てをしている投資信託の追加投資や、株主優待狙いで100株の単元株を購入するのも一案です。また、予算が足りなければ、少し手数料は割高になりますが、単位株の1/10程度の価格で買えるミニ株を単元株になるまでコツコツと買い続けてもいいでしょう。

また、投資はさまざまなリスクを正しく認識したうえで、ご自身の判断と責任に基づいて行うようにしましょう。

令和のマネーハック115

繰り上げ返済をすると利息の軽減や保証料の一部返還が期待できるけれど、まずは家計が優先。投資は少額からでもできるので無理のない範囲で始めてみては?

専門家に聞きたいお金の悩みを教えてください!

(文:丸山晴美、イラスト:itabamoe)

※この記事は2025年02月10日に公開されたものです

丸山晴美

節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。

この著者の記事一覧 

SHARE

投稿は利用規約に遵守の上お願いします。