スポーツ観戦とビール。人に合わせてばかりだった私がこの夏見つけた二つの楽しみ
夏はお酒をおいしく感じる。「暑い~」と言うのがなんだかんだ楽しいテラス席でのビール、涼を求めて川辺で飲むレモンサワー、火照ったカラダをすっきり流れるようなお茶ハイ……これは20代最後の夏を過ごす女性たちとお酒のお話。
サキの悩みは「自我が無い」ことだ。そんな風にいうと10代から20代前半を想像するかもしれないが、今年の秋に30歳になる。
サキは人に合わせるのが得意だ。厳しい家庭で育ったせいか、周りの人が今何を考えていて、どんな言動が求められているかを考えるのが癖になっている。特に、気分の浮き沈みが激しい母親のことは機嫌を損ねないよう常にアンテナを張っていた。
だから、小学校高学年で過ごしたクラスで、「女子グループ」のようなものができてもサキはうまくやれていたし、中学、高校と成長しても、いつも一軍……とはいわずとも、1.5軍くらいの立ち位置をキープできていた。大学では大規模なイベントサークルに入ってそこそこ活動し、それを「ガクチカ」にして今の会社に入った。なんと無個性な人生……と心の中でよく自虐している。
仲間外れにされるのを執拗に恐れるサキは、「誰かと一緒」であるととても安心する。一人で外食なんてもっての外、買い物くらいだったら一人で行ける……と思っても、服やコスメなんかは結局いつも自分で決められなくて友だちに「これとこれ、どっちが良いと思う?」だなんてメッセージを送ってしまうのだ。
そんなサキだが、ここ数年で友だちがどんどん結婚や出産を経験し、いつでも会ってくれるような友だちが減ってきた。結婚する子、仕事をがんばっている子、推し活に勤しむ子……サキには周りのみんながキラキラまぶしい。みんなサキが知らないうちに、自分が何をしたいのかを自分で決めてそれぞれの道を歩んでいる。周りの様子を窺っている間に、分岐点で置いてけぼり。そんな気分だ。
仕事から一人で暮らす部屋に帰ると、孤独感が強まる。学生時代はメッセージアプリの通知を追いかけるのに必死だったり、友だちと通話しながら過ごしたりしていたが、ここ数年でスマートフォンがずいぶん静かになった。周囲の人間がSNSを更新する頻度も下がり、それぞれの人生に忙しいのだと感じる。サキは目的も無くスマートフォンばかり見ているというのに。
音が無いと寂しくて、見てもいないテレビをつけっぱなしにする癖も、一人暮らしを始めて以来約10年ほど変わらない。盛り上がる人の声がふと気になってテレビの画面に目をやると、バレーボール男子の試合が映っている。どうやら3年ぶりに開催されている国際スポーツ大会の実況のようだ。
これまで友だちとの付き合いで野球やサッカーの観戦はしたことがあるけれど、自分から積極的にテレビでスポーツ観戦をすることはほとんど無かった。でも、その日のサキはなぜかその試合から目が離せなくなった。バレーボールは中学時代、体育でやったきりなのに。
ポジションのことや選手のことは詳しくは知らないけれど、今どのような流れなのかなんとなくは分かった。義務教育に感謝である。今、2セットとっていて3セット目の中盤。ここで勝ったら48年ぶりのベスト4となるらしい。え、すごいじゃん!
しかし、サキの期待とは裏腹に、3セット目は逃す結果となった。そこでようやく、思わず夢中になっている自分がいたことに気づいて驚く。何かに一人で熱中したことなんて、最近では本当に珍しい。
明日も仕事があるけれど、これは最後まで見たいかも。なんだか熱い気持ちになって、お酒をお供にしたくなってきた。冷蔵庫には「夏限定」と見てコンビニでつい手に取ってしまったビールがあった。
華やかでトロピカルな風味を感じるクラフトビール。これまでに飲んだことのあるビールの中で特においしく感じる。クラフトビールってビールに詳しい友だちとしか飲んだことがなかったけど……スポーツ観戦にクラフトビール、なんかいいかも。新たな自分に出会えたドキドキ感を後押ししてくれるような味わいだった。
今回飲んだのは「キリン スプリングバレー サマークラフトエール」
夏にぴったり。爽やかな「セッションエール」
昨年「キリン スプリングバレー」直営店で販売した限定品の中でも特に好評だった「SPRING VALLEY サマークラフトエール<香>」(夏限定商品)が、さらにおいしく進化。
希少ホップ「ギャラクシーホップ」の添加タイミングを工夫することで、トロピカルで華やかな香りを高めながら、苦味を低減させ、個性と飲みやすさを両立。これまでの“夏ビール”とは一味違う、香りと味わいを堪能する、クラフトビールならではの夏の新しい楽しみ方ができます。
(イラスト:フルカワチヒロ、編集:マイナビウーマン編集部)
※この記事は2024年08月27日に公開されたものです