でご紹介した通り、効率的なスケジュールで目一杯楽しめる台湾・台中女子旅。ただ、早朝便は気合いを入れて臨む必要があり、そのご褒美として最高に癒やされる宿を旅の目的地にするのがおすすめです。
台中の雄大な自然と温泉でリラックスし、働く女子の心を満たしてくれる台中の温泉宿が「星のやグーグァン」。水の音が流れ、蓮の花が咲き、蝶が舞うその空間は、「桃源郷」としか言いようがない非日常感でした……。
秘境に来てしまった……。心安らぐ、癒やしの温泉リゾート
星のやグーグァンは星野リゾートが運営する、台湾の雪山山脈の麓に佇む温泉リゾート。「グーグァン」は台湾の人が休息を求めてやってくる温泉地で、日本人が台湾を統治していた時代に開発した日本人にもなじみ深い場所です。アクセスはタクシーで台中駅から約1時間半(事前予約でNT$2,000)。果樹園などのどかな風景を横目に細い山道を走り、あまりに自然豊かな場所だったので「海外の秘境に来てしまった」とドキドキしました。
グーグァン自体は台湾の有名な温泉地なのですが、星のやグーグァンは宿泊者以外入れない限られた空間なので、秘境感はさらにアップ。
ちょっと不安になりつつロビーでチェックインすると、「こんにちは」とスタッフが日本語で声をかけてくれました。星のやグーグァンは多くのスタッフが日本語が話せるので、肩の力を抜いてリラックスできます。
コンセプトは「水が織りなす温泉渓谷の楼閣」。標高3,800mを超える大雪山から湧き出る水、そして温泉を、自然に共鳴するランドスケープデザインで楽しめます。敷地の中心にあるウォーターガーデンは古くから自生する植物や澄み渡る水と繋がれるようなエリア。星のやグーグァンは原住民族「タイヤル族」から土地を譲り受けていて、その痕跡を感じることもできます。例えば松の木を見ると、松のオイルを採取した跡が。歴史に想いを馳せながら台湾ならではの植物に包まれ、心の底から安らぎました……!
全室温泉の半露天風呂付き。台中の自然を望む客室がすごい
客室は全49室あり、今回は「風音」に宿泊。ゆったりと足をのばせる床座リビングとテラスが特徴で、リビング&寝室のフロアと温泉のフロアが分かれたメゾネットになっています。
テラスから見えたのは、荒々しい岸壁と植物が芸術的な美しい山々、そしてウォーターガーデンと繋がっている河川「大甲渓」。3,000m級の山々に囲まれていることを感じられる光景で、日本の山とはやっぱり違いました!
「風音」の定員は3人で、ベッドも3台設置。横並びでみんなで寝られるので、女子旅にもぴったりです。
そして星のやグーグァンの贅沢な特徴が、全室温泉の半露天風呂付き。しかも源泉かけ流しで、泉質は軟らかな弱アルカリ性炭酸水素塩泉(台湾の温泉法に基づく)です。入浴すると肌がつるつるとなめらかになり、泉質の良さを感じる入り心地でした……。冷蔵庫には無料の台湾ビールが用意されていて、お風呂上がりの一杯も最高!
源泉かけ流しの温泉をたっぷりと満喫。内湯&露天風呂つき「大浴場」
さらに贅沢なことに、源泉掛け流しの温泉は大浴場も楽しめます。檜木造りの内湯は肩までしっかり浸かれる深さが魅力。豊富な湯量を、全身で感じることができます(※貸し切り温泉利用時に特別に許可を得て撮影しています)。
自然に溶け込む露天風呂はあえてまっすぐではなく曲がりくねった構造になっていて、ほかの人がいてもプライベート感のある入浴が楽しめます。各客室に温泉があるため混雑することがないのもうれしいポイントです。この日は快晴で新月だったため、夜は満天の星が。オリオン座が埋まってしまうほどの星空を眺めながらの入浴は、心に残るひとときでした……。
台中コーヒーやスイーツを。時間ごとのおもてなし
時間ごとに開催されるアクティビティや飲み物・スイーツの提供は、滞在中の楽しみの一つ。例えば湯上りラウンジでは14:30〜16:30に「昼下がりのひととき」として季節のフルーツが、10:30〜11:30に「谷茶のひととき」として季節のスイーツが無料でふるまわれます。水のせせらぎを聴きながら味わうスイーツはとてもおいしく、優雅な時間を過ごせました。
とてもおいしかったのが、11:00〜プールサイドで提供される「コーヒー」。台中の「松鶴」で栽培されているコーヒーを、ハンドドリップで淹れる体験ができます。ウォーターガーデンにはガゼボが複数あり、自分のお気に入りのガゼボに座ってコーヒーを淹れる時間にも癒やされました。
朝食は台湾の「おかゆ」がおすすめ。レストランで楽しめる食事
レストランでの食事は朝・昼・夜に楽しめます。朝は「台湾朝食」「和朝食」「洋朝食」の3種類から選ぶことができ、一押しは「台湾朝食」。鶏出汁と貝柱のおかゆを、台湾らしいおかずや薬味とともに堪能できます。やさしい味わいのおかゆは、目覚めの食事にぴったり。見た目にも心が踊る朝食でした。
昼食はアラカルトで注文が可能。大きな牛肉がたっぷりとあしらわれた「星のや牛肉麺(NT$715)」、ほどよいスパイスが効いた「季節野菜のキーマカレー(NT$495)」、豚の三枚肉を軟らかく煮た「爌肉飯(コンローハン)(NT$550)」など、その時の気分で選べます。
台湾のおいしい食材を日本の調理技法で楽しめる、夕食のコースメニュー。料理長の川西和人さんが台湾の食文化からインスピレーションを得た、星のやグーグァンならではの料理を味わうことができます。この日はタラバガニと雲丹の贅沢な先付からはじまる全8品。印象的だったのは、タイヤル族が狩りへ出かける時に持参する竹筒の弁当をアレンジした「竹筒鰻魚飯」です。台湾と日本を掛け合わせたコースを深く堪能しました。
さらなる癒やしを。「五行養生:春緑の心身浄化滞在」
「最近ちょっと頑張りすぎかも」。そんな働く女子にはさらなる深い癒やしへ誘う「五行養生:春緑の心身浄化滞在」もおすすめ。台湾に根付く「五行思想」の考え方をもとに、春のエネルギーを取り入れる特別な2泊3日のウェルネスステイです。
春は冬に溜まったものを排出する季節。そのために早起きして、「陽気生発(ようきせいほつ)」のアクティビティで心身をリフレッシュします。例えばウォーターガーデンで草を摘み、「葉脈拓本(たくほん)」という技法で葉脈を布袋に写したり、ヨモギやレモングラスなどでハーブボールを作ったり。朝日に照らされながら草に触れるだけで陽のエネルギーが生まれ、心が浄化されていくような気持ちになりました。
「五行養生:春緑の心身浄化滞在」利用者だけの贅沢な体験が、大浴場の貸し切り。松の香りが広がる「松薫(ソンシュン)サウナ」も特別に楽しめます。松の木はタイヤル族が大切にしてきた神聖なもの。爽やかな香りを嗅いでいると、自然と心が落ち着きます。
サウナ後は水風呂でリフレッシュ。この水も自然の湧き水で、最初はひんやり冷たいものの慣れてくるととても気持ちがよく、温泉→サウナ→水風呂のルーティーンを楽しめました。
自然界のあらゆるものを「木・火・土・金・水」の五つの要素に分類する五行思想では、その季節に気をつけるべき「臓器」や、積極的に取り入れたい「色」が決まっています。「春」は「木」に分類され、対応する色は「緑」。その緑のパワーで心身をほぐす「緑の温翡翠トリートメント」は、温めた翡翠で深いリラックスへと誘う特別なトリートメントです。温翡翠を巧みに滑らせるマッサージは珍しく、石のパワーを直接感じられるような体験ができます。
春に気をつけるべき臓器は「肝」。夕食の「緑の薬膳火鍋」では緑の野菜類と、肝臓の修復を助けるとされるポークペプチドを多く含む「豚肉」、中医薬学的に肝の機能を助けるとされている「鮑」を堪能できます。写真は2人分で、豚肉の隣にずらりと並んでいるのが「鮑」です。台湾ならではの養生法をお腹いっぱい楽しめます!
・五行養生:春緑の心身浄化滞在
期間:2025年5月28日まで、毎週月曜日~水曜日までの2泊3日(除外日あり)
料金:2名分 NT$42,000(サービス料と宿泊費は別)
含まれるもの:スパトリートメント(各1回)、特別版「気循森呼吸」、貸し切り温泉・松薫サウナ(1回)、草摘みと葉脈拓本、ハーブボール作り体験(1回)、昼食1回(春緑弁当)、夕食2回(緑の薬膳火鍋、会席料理)
自然に触れ、温泉を楽しみ、時を忘れて癒やされた「星のやグーグァン」。もちろん日本にも温泉はありますが、海外なので現実逃避感が強く、個人的には日々のストレスがより解消された気がしました。日本の定番温泉地を経験済みの、働く女子におすすめです。次の休みは2泊3日で、台湾・台中温泉旅へ出かけてみませんか?
・星のやグーグァン
住所:台中市和平区博愛里東關路一段温泉巷16号
HP:
NT$1=4.54円(2025年3月6日時点)
(撮影・取材・文:小浜みゆ)