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憧れた日本での起業でぶつかった壁。乗り越えた先に描くものは? 株式会社rainboww 社長・朱 静儀さんの素顔

#リーダーの素顔

ミクニシオリ

経営者やいわゆる「リーダー」って、どうしても私たちとは違う世界の人……と思ってしまいがち。でも、リーダーたちも毎日寝て、起きて、ご飯を食べて……そして仕事をしている普通の人。そんなリーダーの素顔を探るべく、「子どもの頃はどんな子だった?」「毎日どれくらい働いている?」「やっぱりタワマン住みですか?」など、素朴な疑問をぶつけます。

文:ミクニシオリ
撮影:稲垣佑季
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部

働く私たちのモチベーションを上げてくれる、お仕事用の小物類……今回のリーダーは、大人かわいいライフスタイルブランド『GAACAL』を運営する株式会社rainbowwの社長・朱 静儀さんです。

中国生まれの彼女は、幼い頃から日本の文化やビジネスに憧れて日本にやってきました。今はライフスタイルブランド社長として成功している朱さんですが、「経営者になってからの道のりは、決して平坦ではなかった」と話します。

しかし、そんな苦労も忘れさせるほど、屈託のない笑顔を浮かべながらインタビューに応じてくれた彼女。その奥底には、日本に憧れた理由の一つでもある「好きなことに没頭して働く」という夢をかなえたからこその強さがありました。

今は一児の母でありながら、大好きな音楽でも活動を続ける朱さんに、これまでの人生とこれからの展望を語っていただきました。

朱 静儀(シュ・セイギ)さん

1988年10月16日、中国深セン生まれ。早稲田大学 教育学部 数学科卒業。2016年に共同創業者の戴と上海でレンタルファッション事業を起業後、2018年に同時に妊娠・出産となったため事業を断念。2019年に新たに株式会社rainbowwを設立。東京在中の朱と上海在住の戴で拠点を分け、日中のメリットを活かした組織体制で運営。

受験や留学よりも苦労した、大学での人間関係

Q.1 幼少期はどんな性格でしたか?

マイペースな性格で、ゲームをしたり音楽を聞いたりと、一人行動が好きな子でした。友だちもいましたが、誰とでも仲良くできるタイプではなく、数は少なめでした。あまり周りを気にしない子供だったと思います。

Q.2 どのようなご家庭で育ちましたか?

安定志向の父と母のもと、よくある家庭で育ちました。中国で高度経済成長期を生きた親世代は、満足にご飯を食べられない人々もいましたから、昔から「勉強をして良い大学に入って、大きな会社に就職しなさい」と言われていました。その反発もあってか、小さい頃から自由でいたい気持ちが強かったですね。

Q.3 思春期は学校でどんな存在でしたか?

特定のグループに所属している感覚はなく、中学生の頃も友だちは多くありませんでしたが、生徒会で学校行事の主催をしました。マンガに出てきそうな活動に憧れて、先生も周囲も巻き込むようになり、自分としては大きな舵を切った時期ですね。目立つのが好きではなかったので、振り返ってみると、よくやったなあと。今も昔も、思いついたことは即やらないと気が済まない性質なんです。

Q.4 学生時代にアルバイトはしていましたか?

中国ではアルバイトという概念が無いので、はじめてのアルバイトは日本にやってきてから。大学進学前に、日本の語学学校に通いながら、吉野家で働いていました。

当時は留学生を雇ってくれるアルバイト先が少なくて、コンビニで働けるのは、かなり優秀な人だけだったんです。その頃から日本の音楽とライブにハマっていたこともあって、受験勉強をしながらも、アルバイトは半年ほど続けました。

Q.5 学生時代に注力したことはなんですか?

受験勉強は積み重ねがあったので、趣味を楽しめる程度には手を抜けたのですが、大学生活はそうはいきませんでした。大学での授業は教科書通りに勉強するのではなく、自分でゴールやプロセスを決めなくてはいけなかったし、一人で勉強すれば良いわけではないという、今までに無かった壁にぶち当たりました。

グループワークやテスト対策は周囲の生徒たちと一緒にしなくてはいけなかったし、生まれてはじめて、団体行動の大切さと大変さを知りました。この時の経験は、会社を経営する上でもとても役に立っています。

Q.6 留学先で苦労したことはなんでしたか?

大学では数学を専攻していたので、数名しかいない女性たちとギュッと固まって過ごしていたのですが、所属していたミュージカルサークルは女性ばかりで、クラスとは全く違うやり方でコミュニケーションを取る人が多く、混乱してしまいました。

一匹狼でも生きていけると思っていたのに、それではだめなのだと気づいてショックでしたし、周囲と馴染むのにも時間がかかったので、やっぱり人間関係が一番の悩みだったかな。でもそれ以外は、ご飯はおいしいし、好きだった漫画やアニメの文化に触れられて、楽しいことも多かったです。

フリーランスと起業を繰り返し、挫折も味わった20代

Q.7 就職先はどのように決めましたか?

小さい頃から日本の番組を見て、好きなことに打ち込める仕事に憧れがありました。日本では仕事に夢中になっている人がいる印象もあったので、いかにやりがいを感じる仕事に就けるかを大切に考えていました。

自分の得意分野を伸ばしたかったので、大学卒業後は学生時代から一人で続けていたゲーム開発の仕事を選びました。そこでも「誰かと仕事する大変さ」を思い知りましたし、また、お金を稼ぐ大変さも実感していました。

Q.8 リーダー職を目指したきっかけはなんでしたか?

最初はフリーランスとして、IT企業とゲーム開発の仕事をしていましたが、その後IT企業からスカウトされ、社長室に配属していただきました。そこでIRや新規事業、採用など、経営にまつわるさまざまな話を聞くことができ、その時点で自分も起業をしていたので、とても勉強になりました。

その後は何度もスタートアップ起業しては事業を辞めて、また独立して……をくり返しながら、今に至ります。

Q.9 起業してから一番大変だったことはなんですか?

日本のビジネスを中国でやったら成功するのではないかと思い、上海で会社を作った時もあったのですが、日本と中国では資本やサービス展開の環境も異なるため、大きなギャップを感じました。

起業家になってからの道は平坦ではありませんでしたが、やってきたことが繋がった先に、現在のrainbowwがあります。現在の会社でも、業績と現場体制のギャップや、市場とのタイミングのズレなど、常に発生する問題と向き合い続けています。

Q.10 起業してから一番うれしかったことはなんですか?

今の流行りやトレンドに敏感なアンテナを持っている人材として、若い子や未経験の子も積極的に採用しているのですが、その子たちの成長を見られる瞬間がとてもうれしいです。業績が伸びると、経験が少なくてもいろいろな仕事を振らなくてはいけないし、プレッシャーに涙してしまう子もいます。そういう子が、その苦しみを乗り越えて仕事を成功させて、会社とともに成長していってくれるのが、ひとつのやりがいですね。

逆に、一番つらいのは社員同士がビジネス観の違いでケンカしているのを見る時ですね。人間関係に対しては今でも苦手意識がありますが、一人ひとりと話をして、一緒に解決しています。

大好きな音楽とものづくりを融合させて、新しい感動を創出していく

Q.11 毎日のタイムスケジュールを教えてください。

今は息子がいるので、朝は子どものお弁当作りから始まります。8時20分には幼稚園の送迎バスが来るので、それまではバッタバタ(笑)。会社は10時スタートなので、子どもを見送った後に、音楽の時間を取ることも。

日中はひたすらミーティングをこなして、仕事が長引く日は親に子どもを預けることもあります。夜は子どもと遊んだりしながら寝かしつけをして、夜は趣味を満喫します。没頭してしまう時もあるので、寝る時間は日によってバラバラです。

Q.12 休日は何をしていますか?

休日は朝から夕方くらいまで、息子との時間にあてています。踏切が大好きなので、踏切が見られる公園に行ったり、子ども用列車に乗ったり……この一年はずっと踏切ブームなので、平日より忙しいかもしれません(笑)。

仕事と子育ての両立は大変ですが、適度に力を抜くようにしています。もちろんミスもするんですけど、ヤバいなと思いながら、気づいた時になんとか対処をくり返す日々です。

Q.13 プライベートでの悩みはありますか?

人生を通して人間関係に悩んでいるのですが、今は家族の人間関係と、子育てですね。夫や両親にも、それぞれが良しとする教育方針があるけれど、子育てには正解がないじゃないですか。どうすり合わせていくのかも課題ですし、何が子どものためになるのか考えるのは、自分のことを決めるのより難しいですね。

Q.14 趣味はなんですか?

一番の趣味は、やっぱり音楽かな。実は、仕事としても活動しているんですよ。J-POPが大好きで、特にピアノロックにハマっています。

今年はやっとイベントの数が増えてきたので、Mrs. GREEN APPLEさんやOfficial髭男dismさんなどのライブに参戦しています。自身が音楽を演るのは仕事でもありながらほぼ趣味なので、最近は音程をうまくとるための特訓もマイブーム化しています。


Q.15 将来の夢はなんですか?

仕事に夢中な人生を過ごしながら、自分が社会に何を残せるのか、何を達成できるのかに挑戦し続けたいです。もちろん、好きじゃない仕事もたくさんあるんですけどね(笑)。

rainbowwで培ってきた製造小売での経験と音楽での経験は、ビジネスとしては全く交わらないと考える人もいるかもしれませんが、私にとってはエンターテイメントという一つの大きな事業の中にあるものです。たとえばディズニーのような、みんなから愛される感動を創出するために、もっとたくさんの経験を組み合わせて、大きなビジネスを展開していきたいです。

Q.16 今後の展望を教えてください。

rainbowwが展開する『GAACAL』は、働く女性のためのライフスタイルブランドです。「私だけのテーマ、ここにある」というブランドコンセプトや、ブランドの生まれた意味を届けて、もっと皆さんにとって必要とされるように成長させていきたいです。

ただモノを売り続けるだけではなく、手に取った人がプラスアルファの意味を感じられるようなものづくりを続けていきたいです。私自身、ブランドの成長がものすごく楽しみなのですが、みなさんにとってもそうであると良いなと思います。

※この記事は2023年09月29日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

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