大人なら分かる“夏の温泉の醍醐味”。「界 雲仙」で全部体験してきた
みなさん、夏の楽しみ方を忘れていませんか? 長かったコロナ禍の外出自粛やマスク生活のせいで夏あそびをずーっと我慢してきた人も多いはず。でも、ついに今年こそ思いっきり夏を満喫できそうな予感です。だから今年の夏は、思いっきり遠出して、思いっきり夜更かしして、思いっきり友達と会って、欲張りな夏を過ごしましょう。今回は、「界 雲仙」にて大人ならではの「夏の温泉の醍醐味」を味わった様子をお届けします。
まだ25歳だった頃の私は、夏場に温泉に行きたいなんて思ったこともなかった。夏といえば、海に川にプール。とにかく涼しい場所に行きたかったものだ。
しかし30歳になった今。春夏秋冬、温泉に行きたい。汗をたっぷりかいた後のシャワーが気持ちいいように、大人の火照った体には温泉が一番気持ちいい。癒やされる。さらに湯上りにビールなんて飲めたら最高だ。
そんな「夏の温泉」という贅沢が分かる大人になった私は、一足早めの夏休みを取って、ある場所でリトリートすることにした。
大人になったからこそ分かる「夏の露天風呂の醍醐味」
リトリート先に選んだのは「界 雲仙」。星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」の一つだ。館内は、長崎ならではの和(日本)、華(中国)、蘭(オランダ)の要素を取り入れ、異国情緒あふれる空間になっている。
せっかく日常から離れて心をデトックスするならば、物理的に遠い方が良い。だから雲仙を選んだ。
雲仙といえば、有名なのが「雲仙地獄」。宿の目の前に現れる地獄は、ごうごうと音を立てながら、辺り一面に白い煙を噴き上げて、地球のエネルギーを「これでもか」と感じさせてくれる。
そんな約30もの地獄が広がる一帯の中の「婆石地獄」から引かれた「界 雲仙」の温泉は、独特な濁りのある強い酸性の泉質が特徴。鉄分の硫化水素を多く含むため、長湯するよりは、源泉かけ流しの「あつ湯」でさっと温まり、「ぬる湯」でゆっくり過ごすのがおすすめの入り方。疲労回復や冷え性改善、健康増進などの効能が見込まれる。
なるほど。たしかにあつ湯に長く浸からなくても、さっと入るだけで体がぽかぽかと温まる。内風呂で温まったら、地獄の湯けむりを展望できる露天風呂で一息。
冬特有の外気の冷たさと温泉の温かさの寒暖差こそが、“露天風呂の醍醐味”だと思っている人も多いのではないだろうか。たしかにそれも一理ある。しかし、夏場の露天風呂は、凍えずに温泉まで行けて、寒暖差が少ないからこそ、体への負担も少ない。これは大人になったからこそ分かる“夏の露天風呂の醍醐味”だ。
客室付き露天風呂でいつでも温泉に入れる贅沢
夏の温泉で欠かせないのが“湯上りのビール”。フロントにお願いすると、夏季限定で提供される「界」オリジナルの湯上り専用のエールビールと、ご当地のおつまみ「ハトシ」を客室で楽しむことができる。レモンの爽やかさを感じるまろやかなビールが、火照った体に沁みること沁みること。雲仙地獄を眺めながら、飲むビールは格別だ。
そして今回泊まったのが、露天風呂付き客室ならぬ“客室付き露天風呂”「和華蘭の間」。露天風呂スペースが客室の半分以上を占め、湯上りにゆっくりできる防水の「湯上り処」を完備。温泉好きにはなんともたまらん部屋なのだ。
大浴場で癒やされた後、部屋でビールを楽しみ、さらに部屋風呂でのんびり温まる……なんと筆舌に尽くしがたい時間なのだろう。この贅沢さが25歳の私に理解できただろうか。いや、理解できるはずがない。30歳になったからこそできる楽しみ方を噛み締めるのだった。
目にも舌にも楽しめる会席料理
そして、温泉旅行で忘れてはいけないのが、会席料理。ここを一番重視して宿を選ぶ人もいるだろう。「界 雲仙」では、半個室のお食事処で、ご当地の食材や文化になぞらえた料理を楽しむことができる。
おいしい料理を堪能できるのはもちろん、和華蘭から着想を得た美しい器も堪能することができ、目にも舌にも贅沢な料理をいただけるのだ。
日頃のストレスを浄化する地球のパワー
正直、ここまでで十分癒やされているように感じただろう。実際に私も十分に癒されていた。しかし、「界 雲仙」には欠かせない癒やし?のアクティビティがあるのだ。
それは、「雲仙地獄パワーウォーク」。名前だけ聞くとおっかない響きだが、パワーウォークとは、通常のウォーキングよりも早く、ランニングよりも遅いスピードで歩く有酸素運動のこと。なんと早朝の雲仙地獄を楽しみながら、軽い運動ができるらしい。
最近ジムのトレーナーに、「朝食前の有酸素運動がダイエットに有効」と聞いたばかりだったので、嬉々として参加。
作務衣に地下足袋、首にタオルを纏い、高低差のある遊歩道を杖を頼りに速足で歩く。散歩が趣味な私にはここまではどうってことなかった。
しかし少し上ると、地獄ならではのエクササイズが……。大股で一歩踏み出すと同時に、両手で持った杖を前に突き出し、「やーーっ!!!」の掛け声。一列に並び、まるで鬼退治をするかのように杖を突き出す光景は圧巻だ。朝から体も脳も目覚めて、恥ずかしくも気持ちのいい体験だった。
雲仙地獄を一周した後は、「旧八万地獄」の広場で、地面に寝転がりストレッチ。30歳、何も考えず地面に寝転がることなんて、もうしばらくしていなかった。目を瞑って地熱を感じながら体を伸ばせば、日頃の疲れやストレスがスーッと消えていく。ああ、これぞリトリート。
お土産にもなる長崎発祥の「活版印刷体験」
十分に、いや十二分に満喫できた夏の温泉旅行。だが、私は欲張りなので、せっかく来たのだから、なにか記念が欲しい。そんな時に体験したいのが、ご当地楽の「活版印刷」。日本にはじめて活版印刷の技術が持ち込まれた地・長崎ならではの体験がかなうのだ。
好きな活字や版を選び、配置していく。そして、活版印刷機を使い、カードにプリント。すると自分だけのオリジナル活版カードが完成する。
かっこつけて、「地獄、ここにあり」なんてプリントしてみたが、ここは地獄じゃなく、天国だ。長崎ならではの体験をでき、さらには旅のお土産を自分の手でつくることができるなんて、やらない手はない。
30歳だからこそ楽しめる大人の温泉旅行
温泉、ビール、料理、アクティビティ。あまりにも贅を尽くした時間に、「わたし大人になったのね」と思わずつぶやいてしまった帰り道。
大人になるって悪くない。25歳の私では理解できなかったことが、心から楽しいと思えるようになった。30歳の私の体には「夏の温泉」は十分すぎるくらいに染み渡ったのだ。
施設概要
界 雲仙
長崎県雲仙市小浜町雲仙321
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiunzen/
(取材・文:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部)
※この記事は2023年08月09日に公開されたものです