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ありがとうキンプリ。自信のなかった私を変えた“5人”に捧ぐありったけの思い

柚月裕実

2023年5月22日、多くのファンに惜しまれながらも5人での活動に幕を下ろしたアイドルグループ「King & Prince」。新体制となって1カ月、ジャニーズを応援して25年超のライター柚月裕実さんが語る彼らへの思いとは――。

5月20日放送の音楽番組『Venue101』(NHK総合)で、5人体制として最後のパフォーマンスを披露したKing & Prince。気持ちの込もった歌唱と涙――。さまざまな表情を見せながら、最後は深いお辞儀で5人体制最後のステージを締めくくりました。

2018年5月のデビューから丸5年。ひとつの大きな転換期を迎えたKing & Prince。今回は彼らの軌跡を踏まえながら、King & Princeの人気の秘訣、そしてさまざまな活動を通してファンに届けてくれたメッセージを振り返ってみたいと思います。

直談判から始まった実力者ぞろいのメンバーが集結

2018年5月23日にシングル『シンデレラガール』で華々しいデビューを飾ったKing & Prince。グループの結成は2015年6月です。

メンバーはジャニーズJr.時代からさまざまなユニットを経て、最終的に平野紫耀さん、永瀬廉さん、髙橋海人さんが所属するMr.Kingと、岸優太さん、岩橋玄樹さん、神宮寺勇太さんの3人が所属するMr.Princeの2つのユニットが合わさり、Mr.King vs Mr.Princeとして活動がスタートしました。グループ名には、互いに切磋琢磨していくという意味が込められています。

当初は期間限定の活動だったものの、平野さんをはじめメンバーの直談判によって6人体制のKing & Princeが誕生しました。

そして2018年5月23日、シングル『シンデレラガール』で華々しくデビューしたKing & Prince。当時行われたファンイベントでは、岩橋さんが喜びや照れ、ちょっぴり不安が入り混じった様子でファンネーム「ティアラ」を発表したのを覚えています。キラキラとした、ザ・王子様という雰囲気をまといながら、大きな目標を掲げて突き進む姿には、アイドル新時代の幕開けを予感させました。

成長を止めない高いパフォーマンス

2021年3月にメンバーの一人である岩橋さんが持病のため脱退を余儀なくされましたが、彼らの人気はデビューからずっととどまるところを知りませんでした。

それもきっと、彼らのあくなき挑戦による成長があったから。パブリックイメージを壊さずに、高みを目指してスキルを磨き、次々と目新しい世界を打ち出す。2019年のアメリカ武者修行もその挑戦のひとつです。

現地ではヒップホップの世界大会で優勝経験を持つフィル・タイヤによるダンスレッスンをはじめ、ボーカルレッスンなどスキルをブラッシュアップ。「怖ぇ……」と言いながらも「くじけるのは分かっているので」と話す平野さんを筆頭に、メンバーのコメントからは覚悟と意志が伝わってきました。

彼らの進化は素人目にも明らかで、新曲という扉を開くたびに新たな世界が広がりました。新曲を重ねるごとに厚みと深みが増していくパフォーマンス。タイアップソングであっても、ストーリーに馴染んで主題歌としての役割を果たしつつ、ステージではまた新鮮な印象を与える。年齢と共に大人っぽい演出が増えたものの、素直さや透明感を感じるユニゾンは健在。

求められる声に応えながら、ファンを楽しませること、自分たちが挑戦したいことを束ね、上手にバランスを取りながら駆け抜けてきた印象です。

誰からも愛される前向きで誠実なキャラクター

King & Princeの魅力を挙げ出したらキリがありませんが、メンバーの愛らしいキャラクターなくしては語れません。わちゃわちゃとした雰囲気とふとした場面で感じられる絆。

グループの垣根を超えた交流も盛んで、なかでも音楽番組で共演する度に2組の集合ショットを披露したSixTONESや、5人最後の出演番組にTravis Japanが駆けつけるなど、横のつながり、そして先輩たちからもかわいがられてきました。お金を積んでも手に入らない、かけがえのないものを改めて教わった気がします。

そして朝の情報番組『ZIP!』のコーナー企画や、『King & Princeる。』(ともに日本テレビ系)では、なにごとも好奇心を持って挑む姿勢に加えて、挨拶も印象的でした。

取材先や共演者に対して、丁寧に「ありがとうございます」とお礼を欠かさず、食レポでも「いただきます!」と元気な声が。コンサートの裏側に密着した映像でもスタッフへのお礼や感謝の言葉が聞こえてきました。5人体制終盤の音楽番組でも、横一列に並んで深々と頭を下げる姿が見られたように、心を込めた挨拶の持つパワー、その美しさを再認識しました。

彼らがくれた「人生を豊かにする生き方のヒント」

仕事に対する姿勢にもたくさんの学びがありました。10代からステージに立ち走り続けてきた彼ら。目標に向かって努力と挑戦、自分を高めるための挑戦、そして周囲の人を大切にする心も。

今年3月にリリースされた『King & Prince ARENA TOUR 2022 〜Made in〜』初回限定盤の特典映像には、ツアーに向けての打ち合わせやリハーサルなどを収めたドキュメンタリー映像が収録されていました。そこには神宮寺さんを筆頭に、メンバー主体でライブ演出をはじめ、選曲から振り付け、ファンを楽しませる企画を練り、仕込む姿が。そして自らステージに立ち、パフォーマンスに笑いに溢れるトーク、ファンサービスで楽しませ、最後にはあたたかい歌唱で会場を包む。

映像からはKing & Princeのファンへの愛情、支えてくれるスタッフへの感謝と、彼らの人柄を感じるのと共に、自分たちも楽しみながらステージに心血を注ぐ、そんな仕事に対するまっすぐな姿勢も垣間見えました。

さらにさかのぼれば、フジテレビ系で放送されたドキュメンタリー番組『RIDE ON TIME』に映る彼らは、自分に厳しく、高みを目指して挑戦を続け、仲間を思いやり、そしてファンを幸せにするために何ができるかと考え、行動する姿がありました。

地方公演の際に直接現地スタッフに方言を習いすぐさまステージに取り入れていたり、振り付けレッスンでは休憩も惜しまず練習に取り組んでいたり、時には体調を崩しながらも仕事と向き合っていたりと、映っていたのは“満身創痍”そのもの。そして印象に残っているのが、ここぞというタイミングで見せる真剣な眼差しです。

彼らの姿を目にして、ふと自分はどうだろうと思わされました。仕事など目の前のことに対して真剣に、目の色を変えて挑んだことがあっただろうかと。仕事が忙しく自分のことで精一杯。周囲に対して思いやれていたかと言えば反省だらけ。

一方で、推し活やファッションなどの趣味を表に出せば「いい歳なんだから」と、他人の言葉にぐらぐら。結婚、出産、マイホーム購入……と、周囲がどんどん人生のコマを進めていくように見えて、他人と比べては肩を落とす……。

体の不調を美談として語るつもりはありませんが、それほどまでに真剣に打ち込んだことはあっただろうか。周囲の人を思いやれていただろうか。何かにつけて言い訳だけはすぐに出てきて、挑戦を諦め、人目を気にして躊躇する……。そんな時にKing & Princeのパフォーマンス、そして彼らの仕事に対する姿勢を目にし、突き動かされる思いでした。

どんな時も一生懸命に取り組み、そして何より「自分自身が楽しむこと」を忘れていない5人。あのキラキラと輝く姿は、一生懸命に打ち込んだからこそ放てる輝きでしょう。

その姿に憧れ、自分も少しずつですが、年齢や周りの声に流されることなく、自分の意志を改めて見つめ直すきかっけをもらいました。彼らからは楽しい幸せな時間をもらったのと同時に、人生を豊かにする生き方のヒントを学んだ気がします。

「迎えにいく」――ライブの最後に平野さんが伝えてくれた言葉ですが、他のメンバーも温かい言葉をたくさん残してくれました。彼らがファンに与えた勇気や希望は計り知れないものだと思います。

願うことは「みんなで幸せに……」

「迷う時は険しい道へ 今日より若い日は来ないから」ーーKing & Prince12枚目のシングル『We are young』(『Life goes on』との両A面シングル)の歌詞にこんな一節があります。彼らの境遇を表しているようであり、ファンにとっても背中を押すように響くメッセージではないでしょうか。

一生懸命なパフォーマンス、挑戦し続ける背中、爆笑に胸キュン、心に響く言葉……。彼ら5人がこれまでに見せ、伝えてくれた世界は、きっとこの先も心の支えとなってくれるはずです。

5月23日、2人体制のKing & Princeが始動。SNSでの生配信に永瀬さんと髙橋さんがそろって出演し、新たな一歩を踏み出しました。涙を流したファンに寂しい思いをさせないように、寄せられたメッセージや記録というプレゼントのお返しがしたい――そんな気持ちが込められていたように思います。

永瀬さんは自身のラジオ番組で「いまだに受け入れられない人が大多数だと思う」とファンに寄り添い、メンバーについては「それぞれが選択した道を全力で楽しめるし、それを一人ひとりが正しかった、その選択が正しかったっていう風に思わせられる力のある人たち」と語りました。そして「みんなで幸せになりましょう」とも。

幼い頃からダンスに打ち込んできたメンバーを含めて、10代の頃からステージに立ち、ファンに幸せな時間をもたらしてくれました。彼らの全てを知ることはできませんが、きっとファンが想像する以上に考え、悩み、話し合い……熟考した上で出した答えのはずです。

いちファンとして勝手なわがままを言えば、この先の人生で、彼らの歩む道が再び交わる日を期待しつつ、これまでの活動で磨き上げてきた芝居、そしてダンスを続けてほしい。いつかまた「よーし、幸せにするぞ」と気合を入れてステージへと続く階段を登り、スポットライトを浴びてほしい……と願わずにはいられません。

4thアルバム『Made in』には、“今 目の前にいる人を幸せに”という思いが込められています。これぞKing & Princeなコンセプトであり、ステージでもその心意気は伝わってきました。前述のドキュメンタリー映像で、平野さんは「隅から隅まで寂しい思いをするファンがいないように」と語っていました。誰ひとり置いてきぼりにしない精神、King & Princeに魅了されたファンとしてもその思いを身近なところで活かしていけたら――。

伸びしろしかない5人が見せる未来とは

新たな道を歩む平野さん、神宮寺さん、岸さん。King & Princeとして歩む永瀬さんと髙橋さん。

まだまだ伸びしろしかない彼らが今後どんな道を歩み、どんな世界を見せてくれるのか。期待を寄せながら、彼らがかけてくれた優しい言葉のように前向きな気持ちでそれぞれの選択を応援、見守っていけたらと思います。

(文:柚月裕実、イラスト:タテノカズヒロ)

※この記事は2023年06月22日に公開されたものです

柚月裕実

編集/ライター。エンタメ、音楽メディアで執筆のほか、ファッション系メディアでは編集を担当。どこへ行ってもエンタメ部門。アイドルがサングラスを外しただけで泣く涙腺ゆるゆるオタク。 SMAPを見て育ちました。
Twitter:https://twitter.com/hiromin2013

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