どう払う? 同棲の“金銭問題”解決法
働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、コラムニストの浅田悠介さん。
今回のお話「同棲の“お金の管理問題”解決法」
同棲するにあたって、避けられないのがお金の話。パートナーと収入差が無いケースも増えてきた今、どのように管理するのがいいのでしょうか。さまざまなパターンを考えてみましょう。
こんばんは。令和を生きる乙女たちよ。
今回は、全国の同棲カップルをしている方や、これから同棲をしようという貴女のためにマジなお金の話をしようと思うのです。ズバリ言いますと「どのようにお金の管理をすればいいのか?」という問題について。
分かります。もう完全に分かります。
お金について考えるのって、めちゃ怖いですよね。出来ることなら、そんな話題は華麗にスルーして、ミルクティーでも飲みながら、ヨガをしつつ、Netflixで話題のドラマを眺めて生きていきたいものです。
しかし。しかし、ですよ。
金の切れ目は、縁の切れ目という怖い言葉もございます。疎かにすると、悲しい結末になってしまう可能性もあるわけです。だからこそ、こんな時代だからこそ、お金のことから逃げないのも大切だと思うのですよ。
逆にいえば、お金についてシビアに考えるだけで、縁を保てるというわけじゃございませんか。その恋愛が長続きするわけです。そう考えると、こんなにお得なこともないかもしれません。ちょいと、恐る恐る、考えてみるとしましょうか。
毎月の固定費をどう出す? 支出を分けるアイデア
ここでは毎月の支出を分けるアイデアをシェアしますね。もちろんカップルの数だけ方法はあります。正解はありません。一つでも参考にできそうなものがあれば幸いです。
なお、ここで言う固定費とは、
・家賃、共益費
・電気、ガス、水道、ネット料金
のことです。
細かなことを言えば、管理組合費、Netflixの代金、NHKの集金、町内会費、更新料、家賃保証会社に支払う料金、などもあるでしょう。とはいえ、ひとまず、ざっくり「毎月かかるお金」のことを指すようにします。
かかったお金を計算して、毎月割り勘する
まずは支出を半分になるように割り勘するというもの。
ざっくり「六万四千円でいいよ〜!」と、どんぶり勘定する江戸っ子スタイルもあれば、電卓片手に一円単位まで計算する半沢直樹スタイルもあるでしょう。
大切なのは、計算するのは誰がやるのか、というもの。案外と、毎月、請求書を並べて、計算するのは面倒な作業になるのですね。
これに関しては、月ごとの交代制にしてもいいですし、共同作業にしてもいいでしょう。イベント化するのも楽しそうですよね。
一度考えてほしいのは、もしどちらかが引き受けることになった場合。そこそこの作業になるので、計算しなかった側が、お金を多めに払うようにするか、その日は家事や食事代を負担するかでいると、トラブルを防げるかもしれません。
ざっくり割り勘にして、毎月決まった額を出す
何もかも面倒なときは、もっと、ざっくり行っていいのかもしれません。
初めに固定費を計算して「お互い七万円ずつ払ったらカバーできるよね」と合意のもと、毎月七万円をひとまず支払いに充てる──というものです。
その場合、毎月、いくらか余ることになります。そのお金は「共同のお財布」にいれて、日用品費や、デート代に使ってしまうのはいかがでしょう。
これはかなり気楽な方法だといえるでしょう。ちなみにエアコンや、お風呂の使用率で電気やガス代は変わるので、季節ごとに金額は調整してもいいかもしれません。
家賃は自分、〇〇費は相手……のように分担する
こちらは支払い先ごとに分けてしまう方法です。大まかに半々にしようとすると「家賃・それ以外の固定費」の二つに分けることになるでしょうか。
メリットとしては、二人の間でのお金の受け渡しがないので気が楽です。正直、何度もお金の話をしたいわけじゃありませんものね。
デメリットとしては、正確に、半々に分けられるわけではないことです。ほとんどの場合、家賃を払う側が多めに出すことになるでしょう。金銭面だけを見ると、不公平にはなるわけです。
その差を(やっぱりお金のやりとりをすることになりますが)支払うのか、家事などの作業で補うのか、などのリカバリーは必要でしょう。
どちらかのクレカやキャッシュレス決済にまとめる
こちらは支払いに関してのアイデアです。
あらゆる支出を、どちらかのクレジットカードやキャッシュレス決済からの引き落としにまとめてしまう、というものです。毎月の固定費を把握しやすくなりますよね。
そこから半額をパートナーに請求するというわけです。これも計算する手間を省く令和のマネーハックだと言えるでしょう。
あ、案外、ポイントが貯まるので、支払う側にもメリットがあるのがミソです。
共通の口座をつくる
また、共通の銀行口座を作るのも分かりやすいでしょう。お互いに、同じだけの金額を入れて、毎月、そこから引き落としにするというものです。これならフェアになりますよね。
これに関しては、毎月の支払いの前に、決まった額を共同口座に振り込むのか、初めに、まとまった金額を振り込んでしまうのかでもスタイルが分かれるところでしょう。
前者は手間が増えますし、後者はまとまったお金が必要になります。話し合って、最適な方法を決めたいところですね。
折半するだけがフェアなのかな?
ちょっと踏み込んだ話をさせてください。
今しがた、固定費を折半するアイデアをご紹介しました。しかし、綺麗に折半するのと、フェアであることは別だと思うのです。少なくとも、色んな種類のフェアさがあるはずです。
・ちょうど半分ずつになるように計算する方法
・収入に応じて決める計算方法
・部屋の利用方法や面積に応じて決める計算方法
・家事の分担に応じて配分を決める計算方法
などの配分方法もあるでしょう。
どれが正解というわけではありません。しかし、同棲するからには──平和に長続きすることが理想のはずです──どちらもが納得できるフェアさでありたいものです。
繰り返しますが、色んなフェアさがあります。
二人にとってのフェアとは何なのか。それを探るところからです。これも、ちょっと令和っぽい考え方かもしれませんね。
同棲はチーム戦。役割分担をしよう
そもそも、お金の管理は、得意、不得意が分かれるものです。
人間それぞれ。銀行口座の数字が膨らむだけでニヤニヤできる人もいれば、宵越しの金は持たないストロングスタイルの人もいるでしょう。
では、同棲の場合、お金の管理は、得意な方に任せてもいいのでしょうか?
結論から言うと「基本的にはOK」だと思います。
固定費は(今回取り扱っているお金は)管理しなくてはいけないお金なのですから。管理できる人がするべきでしょう。
同棲を、チーム戦だと考えるといいかもしれません。全員が、全てのことを出来る必要はないのです。得意不得意がありますから。それぞれ役割分担するからこそいいパフォーマンスができる──これぞチームの醍醐味です。
お金の管理が苦手な人は、家事をするなり、車を運転するなり、珈琲を淹れるなり、パートナーを死ぬほど笑わせるなり、その他のことで、同棲を〝素晴らしい生活〟にできるように努めたら良いのだと思います。
大切な相手との大切な話だからこそ、逃げずに話し合おう
大事なのは、ここかもしれません。
色んな支払いのアイデアをシェアしました。どうやって、パートナーと喧嘩にならずに、その方法を決めるのか、ということですよね。同棲するための話し合いで、喧嘩になっては元も子もありません。
ここで、すごく大切な話をします。
私たちにとって「お金の話をするのは、すごくストレスがかかるもの」なのですよ。収入や、将来や、現実や、利益、不利益について、リアルに考えなくてはならないから。お金の話を恐れるあまり、つい感情的になってしまうこともあるでしょう。
貴女も「お金の話なんて……」と、怖い顔をされた経験があるでしょう。本コラムの最初でも、かなり慎重にお断りを入れてから話を始めたかと思います。
しかし、私たちは、お金について考えることから逃げてはいけないのです。
そりゃ、誰だって怖いですよ。
出来ることならお金のことなんて考えたくないわ、けれど、大好きな人と、ずっと一緒にいるためには勇気を出すときも必要なんだと思う──そう伝えることが何より大切なんじゃないでしょうか。
貴女の同棲が幸せなものになることを祈っております。
令和のマネーハック47
同棲の費用は折半だけが“フェア”ではない! 支払い方法も含めて、まずは逃げずに話し合おう。
(文・浅田悠介、イラスト・itabamoe)
※この記事は2022年04月25日に公開されたものです