【スピンオフ】モテ男が抱く「結婚への本音」
恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが、ABEMAオリジナルシリーズドラマ『30までにとうるさくて』を毎週考察&展開予想するコラムです。現代の東京を生き抜く4人の29歳独身女性たちの恋とキャリアと性、そして友情の物語。今回は遥の同期として本編に登場した知也が主役のスピンオフ『結婚してとうるさくて』を考察します。
男性の夢であり女性にとっては悪魔のようなプレイボーイ・知也
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主役は稀代のプレイボーイ・知也(栁俊太郎)。やり手広告クリエーターで仕事もでき、顔もスタイルも良く、女の扱いもうまい。そして彼もそれを理解しているので、自分に好意のある女性を常に複数侍らせ、知也ハーレムという恋愛強者のコミュニティを常に築いている、男性にとっては夢、女性にとっては時に悪魔のような人物です。
ご存知の通り、本編ではプロジェクトチーム内3人の女性に手を出すという見境無さを発揮し、遺憾なきモテ力とタチの悪さを見せつけてくれた名脇役。今回はそんな彼が2人のちょっとやりすぎな両極端の女性から結婚を迫られた2つのストーリーです。
業務用冷蔵庫で結婚を迫る? 婚活戦士・まりえ
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一人目は家庭的な女、まりえ(今泉佑唯)。知也の家を甲斐甲斐しく掃除し、タンスの中まで勝手に整理整頓、その日の料理どころか作り置きまでしていく家庭的っぷり。結婚願望が強く、全ての道はローマに通ずとのごとく、彼女の行動の全ては知也に結婚を意識させるためのレール。
そのレールは脱輪を許さない強硬なもので、作り置きを口実に「そろそろ冷蔵庫大きいの買わない? 私も出すからさ」と、じわじわと知也の生活への侵食を試み、適当に放置していたら1カ月後には家に住みついていそうなパワー婚活プレイヤー。
今の冷蔵庫じゃ二人には物足りないとばかりに大きいサイズに変えさせようとしていましたが、すでに一人暮らしにしてはデカめで、結婚しても全然使える両開きのしっかりした冷蔵庫でした。
おまけに自炊しない知也は酒くらいしか入れておらずガラ空きだったので、冬ごもりできるほど膨大な作り置きを備蓄する気なのか、はたまたこれ以上でかいとなるとホシザキの業務用冷蔵庫でも導入するつもりなのか、あまりの強引さに震え上がりました。
まりえの敗因は飛び級
まりえの敗因の一つは「曖昧に始まってしまった関係の確認」の順序を誤ったことですよね。
知也には他に女がいることも、自分とは割り切った関係であることも分かっていながら、感情のまま一気に結婚のアプローチをかけたもんだから、知也にとっては「数多くいる遊び相手の一人が結婚迫ってきた!?」と困惑するわけです。
結婚をしたかったのであれば、まずはその他大勢と自分の立ち位置を差別化しなくてはなりません。そのためにしっかりと彼女という立ち位置を確立してから、次の結婚の圧かけに進むべきでした。
そこを見誤ったため、今回はただの捨て身の行動になってしまいました。
もちろん体だけの関係から結婚への飛び級パターンもありますが、なかなかのハードモード。交際期間が不明ですが、もっと早く自分の立ち位置を明確にし、長期戦覚悟で体の関係から彼女、結婚への昇格を目指すのか、時間の無駄として損切りすべきだったかと思います。
人生100年時代でも女性の体の問題は変わらない
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その他にも、親に会わせる、子どもの写真を見せる等、結婚したいアピールのフルコースで、わかりみが深すぎる手法にまりえを応援したくなった女子も多いのでは。
にしても、まりえが「もう29歳だよ?」と結婚するか別れるかを迫った時、知也が反論した「人生100年だよ?」のセリフには物申したい。
人生100年時代、と寿命は延びても、女性の体の問題は延長されるものではありません。結婚、出産願望がある女性にとって、高齢出産や年齢に伴う不妊リスクの増加は変わらず見過ごせないものです。
それをきちんと理解し、相手の女性を愛していたのならきっとこのような言葉は絶対に出ないでしょう。ここの認識が曖昧な男性が多いように思うので、もっと広く理解してもらいたいものです。
続・女子の主張!!
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「本当に好きだったら別れないじゃん! 別れるなら結婚がしたいだけだ」というようなことを知也は言っていましたが、女子的にはそうじゃないんだよ! と否定的な気持ちを持った方もいるのでは。
「結婚だけがしたい」のではなく、「好きな人と結婚がしたい」んです。そしてゆくゆくは子どもも欲しい。しかし、高齢出産などの年齢問題もある中で、好きという気持ちだけをエネルギーにして、限りある時間を消費しながらゴールが見えないレールを走るほどの気力が無い。好きだけど「大好きな彼と結婚する」未来が見えないまま関係を続けるのは怖くて、泣く泣くドロップアウトをする、というのが正しいところでしょうか。
そういうわけで、「好きな人」「結婚」という、手に入れたい二つのうちの前者をチェンジする手段を選択し、新しい好きな相手を探す方が労力がかからない、と判断した結果なんですよね。しかし実はまりえも曖昧な関係を二つ持っていて、結婚のために両方白黒はっきりつけて目的を果たしたのは知也よりも数段上手でしたね。
弁論で彼氏をボッコボコに殴り、結婚に持ち込むインテリ女子
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二人目は弁護士でありインスタグラマーでもある梨沙子(山本千尋)。曖昧な知也の関係も、裁判の如くデータに裏打ちされた論理的な詰めで白黒付けにきた彼女。ボイスレコーダーで言質まで取り、タクシーでは甘い雰囲気から突如一転し、ホテルに着く直前の短い時間で関係の答えを出させる流れはタクシーの運転手も痺れ上がるほどの圧で、弁護士として鮮やかでした。
わずか数分で結婚or別れの判断を迫り、焦りと動揺で判断基準を鈍らせる技もなかなかの手練れ。さすがの知也には通用しませんでしたが、押しに弱い男ならあのまま車中で婚姻届に判まで押してしまいそうなほどの空気でした。証人欄はあのタクシーの運転手のおっちゃんで。
言葉じゃなく行動を見るべし
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知也が「いい雰囲気作りたくてつい(思ってもいない甘い言葉を)言ってしまった」と本音を漏らしていましたが、こういう甘い言葉がうわべなのか、本心なのかを見極めるのって実際の恋愛でも重要ですよね。現実世界では梨沙子ほどのガン詰めはなかなか難しいので、甘い言葉と実際の行動が伴っているかをしっかり見ていく必要があります。
結婚していないことで、年齢を経るごとに社会の見る目が変わってくる現象。これもあるあるすぎて深く頷いてしまいましたよね。令和のスタンダードが浸透するまで何十年も待ってらんないんですが、すぐに変わらないもんですかね? この差別、法で規制して欲しいくらいです。
「不倫裁判は泥まみれになっても白黒つけるのが大事。次に進めるし、笑えるし」の言葉の通り、白黒はっきりつけて次に進んだ梨沙子ですが、今回はどこかで自分のことを笑っているのでしょうか。
知也が結婚を意識する時
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「男は決断できない生き物だから」と結婚に煮え切らない彼氏に圧をかけるのは手ですが、相手が悪すぎました。二人にとって今回の一番の敗因は知也であったことでしょう。
知也は「一緒にいる時間は本当に心地いい、ただそれだけじゃダメなのかな」という考えのもと、一人の女性との時間を長い人生軸で考えるのではなく、その場その場で楽しく時間を過ごすということに重きを置いています。おまけに源泉掛け流し温泉のごとく、常に新しい相手が湧き出るように現れ、流れては消えていっているような状態。余りあるほどモテくっている彼にとって、本気で誰かを好きになることもなければ、自分の都合のまま相手を変えている現状では、結婚などメリットは一切感じないでしょう。
モテ神通力が弱体化し、慕ってくれる女性がいなくなるか。継続して向き合いたいほど本気で好きな相手が見つかるか。はたまた子どもができるくらいの強制的イベントが発生しない限りは結婚にまで至ることはなさそうです(それでいうとデキ婚を狙ったまりえは結婚という目的だけを果たすためには正解だったかもしれません。あくまで目的を果たす為だけですが……)。
「結婚なんて男になんのメリットがあるの?」と言い切った知也と、「結婚したい」と交際もしていないまりえにプロポーズし続け、即結婚した男。同じ男性でもこうも違うのがまた皮肉なものですね。
知也の生き様はプロフェッショナルあたりの番組に密着していただき、モテのプロであり、女性にとってのクソ男としての生き様をもっと深掘りしていただきたいものです。色んなパターンの女性VS知也の対決も見てみたいですね!
(やまとなでし子)
Information
ABEMAオリジナルシリーズ新作ドラマ『結婚してとうるさくて』
番組URL:https://abema.tv/video/episode/90-1620_s1_p20
(一部映像を無料配信中)
「ABEMAプレミアム」にてご覧いただけます。
#1『女には言えない男の本音』
#2『男が結婚しない本当の理由』
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【出演】
栁俊太郎
今泉佑唯
山本千尋
※この記事は2022年03月11日に公開されたものです