【第3回】交通系電子マネーのお得な使い方
コード決済、タッチ決済、アプリ決済……などなど、キャッシュレス決済が当たり前になった今、サービスがありすぎて何をどう使えばいいか分からない! そんな人に向けて、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんがキャッシュレス活用術を伝授する企画です。今回のテーマは「交通系電子マネーのお得な使い方」です。
JR東日本のSuica、東京メトロのPASMO、JR西日本のICOCA、JR九州のSUGOCAなど、交通系電子マネーは、タッチするだけで公共交通機関を利用できることもあり、利用している人も多いでしょう。総務省の家計消費状況調査(※)によると、2019年4~6月における全国10,000世帯を対象に電子マネーを持っている世帯員がいる割合は58.3%と、半数以上の人が電子マネーを所有しているという結果に。
このように、今では普段の生活に浸透している電子マネー。電子マネーの中にはスーパーなど流通系のものもありますが、やはり多くの人にとって身近なのはSuicaやPASOMOといった交通系電子マネーでしょう。交通系電子マネーは、交通機関で利用するだけではなく、コンビニや自動販売機での決済にも利用できる優れものです。
交通系電子マネーは、駅の自動券売機からカードに現金をチャージするか、クレジットカードに紐づけてチャージするなどして使います。交通系電子マネーのチャージの上限は2万円までなので高額の決済には不向きですが、少額決済ではカードを端末にかざすだけなので、利便性は高いといえるでしょう。コンビニや自動販売機の支払いでは交通系電子マネーを使用している人も多いのではないでしょうか。
結局、交通系電子マネーはお得なの?
JR東日本の場合、運賃は2種類あり、「IC運賃」と「きっぷの運賃」があります。運賃は距離によって変わりますが、ほとんどの場合1~4円ほどIC運賃の方が安くなります。
ただ、たまに切符を購入したほうが安くなる逆転運賃も存在しますので、注意が必要。あまり電車を使わない人ほど、たまに利用する時はそれぞれの運賃をチェックした方が良いでしょう。
ちなみに、IC運賃の割引は東京メトロ他の交通機関でも適用されています。ぜひ、自分が使っている交通系電子マネーの割引について調べてみてくださいね。
現金とクレジットカードチャージはどっちがお得?
交通系電子マネーは、現金もしくはクレジットカードでチャージもしくはオートチャージをすることができることは前述の通り。ここでは、オートチャージによるメリットを紹介していきます。
基本的に、オートチャージなどができるクレジットカードの中には年会費がかかるものと、条件付きで無料になるカードがあります。以下に挙げるカード以外にも特典などが異なるカードが多数展開されているので、自分にぴったりの1枚を探してみましょう。
Suica
年会費524円のSuicaつきクレジットカード「ビュー・スイカ」は、オートチャージにすることで、ポイントが通常の3倍の1.5%になるなど、現金チャージや他クレジットカードでチャージするよりもお得です。さらに、ビックカメラSuicaカードにすれば、年1回の利用で年会費が無料になります。
PASMO
年会費2,200円のPASMOつきクレジットカード「To Me CARD Prime PASMO」は、年間50万円以上のショッピング利用で次年度年会費無料。
「メトロポイントPlus」に申し込むと、1乗車につき平日10ポイント、土休日20ポイントの乗車ポイントがついたり、電子マネーでの買い物では、自動販売機100円利用で1ポイント、店舗200円利用で1ポイントが貯まったりします。
ICOCA
ICOCAでは一体型のクレジットカードは発行されていませんが、J-WESTカードでSMART ICOCAにクイックチャージするとJ-WESTポイントが貯まります。
そして、JR西日本のICOCAエリア内での列車の利用および、一部のICOCA加盟店での電子マネーの利用額に応じて、ICOCAポイントが貯まります。
交通系電子マネーと関連するクレジットカードを結びつけることで特典が受けられたり、クレジットカードのポイントと、ICカード利用時のポイントがダブルで貯まったりするので、利用の仕方によってはお得になります。
何も考えずにクレジットカードを登録していると、本来もらえるはずのポイントを取りこぼしてしまうことも! 交通系電子マネーを多く利用する人はぜひ一度、現状を確認してみてはいかがでしょうか。
乗車するだけでポイントが貯まる!
毎日電車を利用する人は、乗車するだけでポイントが貯まったらお得感がありますよね。交通系ICカードでポイントは貯まるのでしょうか。
「TOICA」のようにそもそも専用のポイント制度がないものもありますが、ほとんどの交通系電子マネーではそれぞれポイントを貯めることができます。
ポイントの付与方法は、利用したら自動的に付与されるタイプと、登録をすることでポイントが貯まるタイプに分かれます。この時、「Suica」「PASMO」「ICOCA」はポイントサービスに登録をする必要があるので、注意しましょう。
「Suica」は、JRE POINT WEBサイトに登録したSuicaの入金残高で在来線に乗車すると、ポイントが貯まります。モバイルSuicaは50円ごとに1ポイント、カードタイプのSuicaの場合、200円で1ポイントです。ただし、無記名のSuicaは登録できないので、記名式に変更しましょう。
「PASMO」はあらかじめ「メトポ」WEBサイトから仮登録をした後に、多機能券売機(ピンクの券売機)にて本登録をします。登録したPASMOにチャージした金額で、東京メトロを利用すると、乗車日数・回数に応じて所定のポイントが貯まる仕組みです。ただし、定期券・企画券区間内の乗車はポイントの対象外なので注意しましょう。
お買い物でもポイントが貯まる?
普段の支払いにも使える交通系電子マネーでポイントが貯まるものもあります。例えば「Suica」は、JRE POINT WEBサイトに登録したSuicaで買い物をすると、NewDaysやKIOSK、LUMINEといった特定のお店で、100円もしくは200円で1ポイントを貯めることができます。また、「ICOCA」ならICOCAポイントサービスに登録をすることで、列車および、一部のICOCA加盟店でICOCA払いをした時にポイントが貯まります。
一方、「PASMO」には買い物でのポイント付与制度はありません。関東圏にお住いの人は、シーンによってSuicaとPASMOを使い分けることで、ポイントを効率的に貯められることもありますよ。
交通系電子マネー解約時の注意点
交通系電子マネーを作る際に、500円ほどのデポジットを支払った覚えはないでしょうか。細かい部分ではありますが、カードを解約する際は必ず返却手続きをしましょう。
Suicaの場合、カード内残額から手数料220円を引いて、デポジット500円分とあわせて返金されます。手数料220円を支払いたくない場合は、あらかじめ残高を0にしておきましょう。
今回のまとめ
何気なく使っている交通系電子マネーも、クレジットカードを組み合わせたり、ポイント登録をすることで、ポイントが貯まり、貯まったポイントで商品などと交換したり、電子マネーにチャージすることで、お得に利用することができます。
ポイント登録の手続きを面倒に思う人もいるかもしれませんが、毎日電車を利用する人の場合、普段通りの生活をしているだけで結構なポイントが貯まることも。ポイ活に興味がある人はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
(文・丸山晴美、イラスト・タテノカズヒロ)
※この記事は2022年02月07日に公開されたものです