【第1話】バリキャリ女子が抱える結婚・出産への悩み
恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが、ABEMAオリジナルシリーズドラマ『30までにとうるさくて』を毎週考察&展開予想するコラムです。現代の東京を生き抜く4人の29歳独身女性たちの恋とキャリアと性、そして友情の物語。果たして彼女たちは幸せをつかめるのか!?
※このコラムは1月13日よりABEMA で配信開始したドラマ「30までにとうるさくて」1話のネタバレを含みます。
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女性なら誰しも意識する年齢「30」。
みんな学生という同じステータスだったはずが、気づけば恋、結婚、出産、仕事などのそれぞれの選択や環境で、大きな違いが出てくる20代後半。時に人と比べてその差にもどかしい気持ちになったり、年齢に焦り、自分はこのままで良いのか悩んだりするのは女性あるあるではないでしょうか。
そんなさまざまなステータスの女子の悩みや気持ちを代弁してくれる、29歳の4人の独身女性たちが繰り広げるドラマ「30までにとうるさくて」。
このコラムではその女性たちについて毎話考察をしていきたいと思います。
初回から拝みたいほどの神彼氏に悶絶
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主人公の1人目は仕事に生きるバリキャリ女子・美山遥(さとうほなみ)。その仕事ぶりは社内でも評価されており、恋愛面では5年付き合っている彼氏・奏多(堀井新太)と同棲しています。が、なんとこの彼氏がめちゃくちゃ神‼︎
付き合って5年にもなるのに、記念日を大切にしてケーキを買ってきてくれるわ、結婚を一切急かしてないのに、「そろそろお互い30になるし、子どもも考えたいよね」と出産における年齢問題まで考えてプロポーズしてくれるわ、というスーパープレイを初回から繰り出してくれます。
結婚願望のある適齢期の女性の多くは「結婚願望の無い彼氏にどう結婚、出産のリミットを意識させるか?」にヤキモキしており、「適齢期に1年付き合ったら婚姻届に判を押す法」を制定してほしいほどなのに。
おまけに酔って帰ってきた遥のために酔い覚ましのスープを作ってくれているという、優しさライセンスS級資格の持ち主。コンビニでカップスープを買って帰らずとも、手作りスープを良いタイミングで作ってくれる、クノ○ルもエー○コックも太刀打ちできないこのホスピタリティ。広辞苑にはホスピタリティの類語に「奏多」と入れておいてほしいものです。
全てを持っているように見えて……悩みは誰にでもある
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仕事での評価に加え、こんな神との結婚、と全てを手に入れて幸せ絶頂に見える遥にも、実は2つ悩みがあります。
1つ目は1年半の“レス”。ただでさえ性欲が強い彼女はワンナイトなど外で済ませることもしばしば。しかし結婚となると性欲を外注で済ますわけにもいきません。一念発起し奏多を誘ってみるものの、「風邪ひくよ?」とお父さん目線で一蹴されて凹んでいましたが、これに関しては一言物申したい。
セクシーでもなんでもない裸の大将女性版、といった日常使いの白いキャミ1枚に下は使い古したスウェットじゃあ、一見ただ上着を着忘れただけの女なので、彼氏が誘いに気づかないのも仕方ない。
どうした遥!? お前のポテンシャルならもっといい下着も持っていたはずだ! 同期と夢の中で致してた時のかわいい下着もあっただろ!! 性欲はめちゃくちゃあるけど、やれればなんでもよくて下着にはお金かけないタイプか!?
でも女性から誘うのってめちゃくちゃ勇気いるし、断られると自尊心削られるし、この後どうしていいか分からなくなるつらい気持ちは痛いほど分かりますよね。
どんなに大好きな彼氏でも、これさえなければ最高なのに……という悩みって大なり小なりあったりします。でも別れるという選択肢はないし……打開策が無いまま関係を続けていく時って、何につけてもその悩みがチラついてしまうんですよ。プロポーズしてくれた(レスだけど)! スープ作ってくれた(レスだけど)!
しかも遥は人並み以上に欲が強いというのがまた問題。今後これはどう解決されるのでしょうか。
女性のキャリアと出産問題
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そして2つ目はキャリアと出産問題。
仕事優先で生きてきた遥にとって、出産はキャリアの分断を意味します。遥の会社ではそれなりに成果を残してからでないと産後復帰時は元の部署には戻れない、といった暗黙のルールがあるため、彼女としては子どもが欲しい気持ちはあるものの、まずは部署での地位を築いてから……と考えています。
高齢出産のリミットも迫る中で、全てを手に入れるためになぜ女性はこんなに考え、悩まなくてはならないのか。
マミートラック問題は仕事と家庭を両立したい女性にとって大きな悩みの一つですよね。例えばキャリアアップをしていきたいのに、産休で休んでしまうと出世コースから外れたり、時短勤務の間は時間内でどれだけ成果をあげても昇格や希望通りの異動が叶わなかったり……。
本当はフルタイムでバリバリ仕事と向き合いたくても、家庭の両立を考えるとそうはいかず、夫婦どちらかが仕事を犠牲にしないといけない中で、当然のようにそれが女性側である、という風潮がまだまだ強い。
でも、この問題に関してはクノ○ル奏多なら相談すればきちんと向き合ってくれそうですよね。奏多の仕事やキャリアの感じがまだ見えませんが、遥がとても優秀で仕事第一なのも理解してくれていたので、産休は出産の上で仕方がないものの、奏多が育休を取って遥がキャリアを優先する、二人の収入次第ではある程度外注で回す、という選択肢も可能な気がします。
もし結婚前にそこまで話ができて、向き合ってくれる相手なら本当に神ですね。その場合は奏多の数々の素晴らしい所業と顔写真を道徳の教科書に掲載し、この行いを義務教育で必修履修させることで世の男性に刷り込んでいく活動を行いたいものです。
闇深婚活炎上系秘書・花音爆誕
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二人目の主人公は社長秘書、藤沢花音(佐藤玲)です。
かのん
「都内で子持ちで家建てて暮らすには年収2,000万円のハイスペ男性じゃないと無理♡/ハイスペ相談所で婚活中/学生時代はマネージャー/秘書/専業主婦希望♡」
と彼女のステータスをbioにまとめたSNSアカウントを作るだけで、Twitterやヤフコメあたりで爆炎の炎に包まれそうな、煉獄さんもびっくりの炎上の呼吸の使い手的価値観を持つ彼女。
社長秘書という仕事柄、社長達のハイソな生活に触れることが多く、「自分もその世界に暮らしたい!」と玉の輿婚を望むように。
そんな花音は遥が急性アル中で病院に運ばれた際に、奏多にバレないよう機転を利かせて対応するしっかり者のように見えて、家には請求書や督促状の山が……。
ブランド物に身を包んでいる分かりやすいタイプではなく、「先行投資!」と高収入男性と絶対結婚できる前提で、金銭が苦しい中高額なハイスペック結婚相談所に加入したり、お目当ての社長(実は既婚)と仕事で会う一瞬のためだけに美容鍼を打ちにいったりするなど、「自分磨き」や「先行投資」を免罪符にした先の計算が甘い水物的なお金の使い方が多いようです。
美容鍼はせめてきちんとデート決まってからにしてくれ! しっかりしていそうなのに、身の丈に合ったお金の管理できていないこのチグハグさが一番闇が深そうで、今後目が離せません。
女子会の輪の中にいるような気持ちで見られる楽しさ!
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その他にも、会社を経営し「自分の生活が一番。恋も結婚もいらない!」タイプの女性、三浦恭子(山崎紘菜)や、自分の夢を仕事で叶え、大好きな彼女と穏やかに愛を育んでいるレズビアンの佐倉詩(石橋菜津美)など、さまざまなタイプの女性たちが登場します。
彼女たちはこれからどのような価値観と選択を見せてくれるのでしょうか。「分かる分かる!」とつい共感し、自分も女子会の輪の中にいるかのような気持ちで見ることができるこのドラマは女性ならハマること間違いなし! 次回もどんな女性ならではの悩みやドラマを繰り広げてくれるのか楽しみです!
(やまとなでし子)
※この記事は2022年01月16日に公開されたものです