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「叡智」と「叡知」の違いは? 意味や使い方、類語を紹介

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「叡智」と「叡知」「英知」の違い

「英知・叡知・叡智」と3つの表記がありますが、細かい違いによって意味は変わるのでしょうか?

「英知・叡知・叡智」に大きな違いはない

「英」と「叡」、「知」と「智」について、それぞれの漢字の意味を調べてみましょう。

【英】エイ・ひい-でる・はなぶさ・はな
(1)草木のはな。はなぶさ。
(2)美しく、すぐれている。ひいでる。
(3)「英吉利(イギリス)」の略。

【叡】エイ・あき-らか
(1)ものごとを深く見通す。かしこい。あきらか。
(2)天子に関することがらをうやまっていうことば。

【知】チ・しる
(1)みとめる。感じとる。理解する。見分ける。おぼえる。しる。
(2)しらせる。しらせ。
(3)しりあい。また、よく理解してもてなす。
(4)おさめる。つかさどる。
(5)ものごとの本質を見ぬく力。ちえ。また賢い。

【智】チ・ちえ
(1)ものごとを理解し、わきまえる頭のはたらき。ちえ。
(2)かしこい(人)。ものしり。
(3)はかりごと。たくらみ。
(『例解新漢和辞典』三省堂)

広い意味では、「叡」「英」「智」「知」のいずれも、「かしこさ」に通じます。

また辞書では、「英知・叡知・叡智」と同列で書かれており、意味に大きな違いはありません。そのため、一般的には漢字の違いにこだわる必要はありません。

ただし、「えい」と読む場合の「英」、「ち」と読む場合の「知」は常用漢字です。一方、「叡」と「智」は常用漢字外です。

公文書では常用漢字を使うため、もし社用のビジネス文書が公文書に準じる用字を定めているなら、ビジネス文書を書く場合には「英知」を使うのが適切です。

「叡智」と「叡知」の細かい違い

「叡智」も「叡知」も「物事を深く見通してわきまえ、明らかにする知恵」という意味です。

漢字によって意味が大きく変わることはありませんが、それでもあえて使い分けたい場合は、漢字の意味を丁寧に見ていくと良いでしょう。

まずは、同じ「叡」の文字を持つ「叡知」と「叡智」の違いを見ていきます。

「智」は仏教語で、サンスクリット語「ジュニャーナ」の訳語でもあります。

この「ジュニャーナ」には「あらゆる事象に対して明確に是非・善悪・正邪を断定し分別し、ひいては煩悩を断ずる精神のはたらき」(『日常仏教語』中公新書)という意味があります。

以上のことから、「叡智」は「叡知」と違って「あらゆる事象をはっきりと分別し、煩悩も断ずるほどの高い精神の働き」というニュアンスを持ち合わせている、といえます。

例えば、「人類の叡智」「叡智の結晶」というような壮大なイメージを表現したい時に最も適しているでしょう。

「叡智」と「英知」の細かい違い

次は「叡智」「英知」の違いを見てみます。

「叡」と「英」の違いとして、「英」が一般的な賢さを意味するのに対し、「叡」は物事を深く見通す賢さというニュアンスがあります。

「英知」が「物事を理解し、優れた知恵」だとするなら、「叡智」は「物事を深く見通してわきまえ、明らかにする」という意味だと捉えられます。

つまり、「叡智」は「英知」よりも、本質を見抜く力に裏打ちされた知恵だといえます。

次ページ:「叡智」はどんな時に使えるのか?(例文つき)

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