追われる恋をしたいなら『-50kgのシンデレラ』
ライターの藤堂真衣さんが、休日前夜に夜更かしして読みたくなるような漫画を紹介してくれる連載「夜更かし漫画」。毎回さまざまなテーマを設けて、そのテーマに合った漫画を1作品お届けします!
こんばんは! 漫画・アニメ大好きライターの藤堂真衣です。
何を隠そう漫画やアニメが好きすぎて、日々いろいろなジャンルの作品を読んでいます。この連載では、私が実際に読んでいるたくさんの漫画の中から、テーマごとにオススメの1作を紹介させていただきます。
記念すべき第1回のテーマは「追われる恋」。
気にも留めていなかった男子から言い寄られたり、大勢のイケメンから愛を囁かれたり……。そんな恋を妄想したことがある! という人も多いのでは?
そんな「追われる恋」をテーマに、主人公を愛してやまないお相手が登場する漫画をご紹介します!
王子様から溺愛される!? 『-50kgのシンデレラ』
(C)紅月りと。・望月いく/スターツ出版
就職活動中の大学生・陽芽(ひめ)は、一目見た者に強烈な印象を残すふっくら体型の「ぽちゃ子」。
会社説明会に訪れたお菓子メーカー「富士崎製菓」で足をケガしてしまい、そこで助けてくれた社員の男性とちょっといいムードになりますが、お互いに名前も知らないままその場は別れてしまいます。
陽芽は「彼にまた会いたい!」とダイエットに挑み、大成功。見事富士崎製菓に入社し、広報部で充実の日々を送っていましたが、そこに現れたのがあの時の彼。富士崎宰(おさむ)と名乗った彼は、なんと富士崎製菓の御曹司! まさに王子様のような人だったんですね。
しかも、彼は説明会で出会った「ぽちゃ子」のことが気になっていて、ずっと彼女を探している様子。
一方、陽芽はというと「部長はぽちゃ専なのかも……!?」と、すっかりスリムになった自分とぽちゃ子が同一人物だとは言い出せず、妙な関係に……。
とにかく宰がカッコいい!
お相手となる宰は大手製菓会社の御曹司。仕事もできてモテるタイプで、エスコートもカンペキな、まさに王子様のような男性です。
物語は陽芽と宰の出会いから交際後を描いていますが、晴れて恋人同士になってからの宰の王子様ぶりはさらにパワーアップ!
陽芽と接触する男性がいれば、その度にどこからともなく現れて威嚇。かと思えば、陽芽だけに見せる優しい表情や無防備な姿、そして弱さなど、「守ってあげたい」と思わされてしまうようなシーンもたくさんあって、1コマ1コマが「名前をつけて保存」しておきたいレベルのカッコよさなんです!
特に第12話では、陽芽が撮影のテストモデルとして男性にスタジオに連れ込まれるのですが、その時にはかなり焦った表情を見ることができます。「どんな事言われてあんな顔したの? どんな気持ちでカメラを見つめたの?」と嫉妬に燃える宰の表情は、オフィスでは見られない“男”の顔……。
そんな宰に愛されっぱなしの陽芽に「うらやましい!」という気持ちと「大変そう……」という気持ちが湧いてきます。
情熱的に愛されるってすっごく幸せだけど、現実で自分の身に起こったらと思うと「ちょっと大変かも」って思っちゃうんですよね。だからこそ、漫画で楽しみたいんです。
熱烈に追われながら想い合う! 二人の恋愛模様
追われる恋が描かれる本作で注目のポイントは、やはり宰のまっすぐな愛情表現と、社内恋愛ならではのドキドキ感。
社外だけでなく、オフィスですれ違う瞬間やちょっとした会話の端々など、陽芽だけに向けたコンタクトを取ってくる姿には「バレたらどうするの!?」とヒヤヒヤしながらも、やっぱり少し憧れてしまいます。
また、いつも余裕な宰が陽芽だけに見せる「素」の表情もキュンとするポイント。
陽芽の姿が少し見えなくなっただけでも、「君がいつか俺のもとから離れていくんじゃないかと思ったら、怖くて仕方ない」と不安な気持ちをあらわに。「完璧な人に見えても、彼も不安を抱えているんだ……」と、宰の強い情熱にこちらの心も熱くなってしまいます。
そしてもう一つ注目したいのが、お互いがお互いに恋する理由。
陽芽が宰に恋をしたのは、「ぽちゃ子」時代の自分を助けてくれたことからも分かるように、宰がとても優しいから。
宰が陽芽に恋をしたのは、社長の息子という肩書に人が集まってくることも多い中で“自分自身”を見てくれた初めての女性だったから。
陽芽も宰も、お互いの見た目やステータスではなく、人柄に触れて惹かれ合っていくというストーリーで、「追われる」物語が、いつしか「想い合う」物語へと変化していくところも見どころです(宰の激しめの愛情表現はずっと健在)。
温かな「追われる恋」を疑似体験してみて!
「追われる恋」とひとくちにいっても、オオカミのような男子にギラギラ追われるスリリングな恋から、今回ご紹介した『-50kgのシンデレラ』のように、お互いを深く想い合う温かな物語まで多種多様。そんなたくさんの物語を楽しめるのが、漫画のいいところですよね。
次回は「仕事を頑張りたいときにおすすめの漫画」をご紹介予定です。それでは、よい週末を!
(藤堂真衣)
※この記事は2021年09月24日に公開されたものです