守るための「イノベキャリ」。ハーゲンダッツ ジャパン太田香織さんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
取材・文:鈴木美耶/マイナビウーマン編集部
撮影:洞澤佐智子
「ちょっと高級だけど、自分のご褒美に食べたいアイスクリーム」として思い浮かべるもの。きっと、皆同じ“あのアイスクリーム”なのではないだろうか?
今回訪ねたのは、ハーゲンダッツ ジャパンで商品開発や戦略立案を担当されている太田香織さん。
アイスクリームの商品開発をする人だから、もちろん甘いものが好きな人なのだろうと予想して好きなアイスクリームを聞いてみたら、「シャーベットや氷菓も大好きです!」と甘いものを苦手とする人が好みそうなラインナップが返ってきて思わず笑ってしまった。
長く愛され続ける商品に携わる彼女は、どんなふうに仕事と向き合い、世の中に「幸せ」を届けているのだろうか。
“おいしい記憶”が入社の理由






アイスクリームだけでなく甘いものが当時は苦手で、ショートケーキの生クリームを全てはがして食べるような子どもでした。
アイスクリームも特にバニラは苦手だったのですが、なぜかハーゲンダッツのアイスクリームだけは食べられたんですよね。濃厚なんだけど、後味がスッキリしていて。


そうですよね。そんな子どもの頃の“おいしい記憶”が、入社理由の一つではありました。
あと私、中途入社で。前職では全く違う業界の会社にいたんですが、ハーゲンダッツほど思い入れがなかったんですよね……。だから、転職の際には「自分が好きなもの」や「好きになれるもの」を扱いたいという思いがありました。

それ、すごく分かります。人生100年時代と言われる世の中ですし、長く働くなら「好きなこと」により近いことをしていたいですよね。

「トレンドを作る」くらいの意気込みで取り組む










もちろんいろいろな商品を発売する中で、全てがヒット商品というわけではありません。ただ、だからといって保守的になってしまうのはハーゲンダッツっぽくない。
ここまで長年ハーゲンダッツが支持いただけているのは、アイスクリーム業界をリードしてくという自負があり、イノベーションを起こしてきたからです。そして、私もチャレンジし続けたい。「トレンドを作ってやろう!」っていうくらいの意気込みで(笑)。



ハーゲンダッツというブランドを支えていきたい


ありがとうございます。幸せを届けようと思うと、商品開発に妥協は許されません。社内でも商品を通す時に「この商品の良いところは?」「本当にこれでいいの?」というふうに突っ込まれるのですが、それに100%で答えられないと、この商品たちは世に出て行かない。
だから、まずは自分が納得して「絶対においしい」と思えないと、商品化はできません。


はい。商品化してもきっと失敗に終わるので。
それと、携わった商品は全て我が子のような存在なので、お客さまにはそんな我が子を愛してもらいたい(笑)。だから、「このくらいでいっか」はあり得ません。


そもそも食べることが大好きなので、アイスクリームもよく食べます。でも、その時は仕事のことは考えずに、直感的に自分が食べたいと思うものを選びますね。
プライベートな時間に食べる機会が多いアイスクリームだからこそ、すぐ仕事に紐づけて考えちゃうので。オン・オフをうまく切り替えられているのかは分かりませんが、プライベートでは意識して仕事から離れるようにしています。


そうなんです。あと、味について考えることは苦じゃないけど、やっぱり期限が迫っている業務などのことを考えるのはもちろんつらいので(笑)。

むちゃくちゃ分かります(笑)。仕事にはいろいろな業務がありますし、苦じゃない業務だけをしていられるわけではないですもんね。
「今後はこんなアイスクリームが作りたい」など、夢はあるのでしょうか?

ハーゲンダッツだけではないですが、アイスクリームやスイーツって新商品が生まれてはすぐ消えてを繰り返していて。そんな中で、今担当しているクリスピーサンドは、日本で生まれて今年で20周年を迎えます。
今後もそんな商品を守り抜いていきたいし、ハーゲンダッツと言えばミニカップというイメージが強いので、クリスピーサンドもミニカップと並ぶような商品にしていきたいですね。




ただ、異動のある会社なので、開発担当じゃなくなる可能性もあります。
それでも、ハーゲンダッツブランドに関われることに変わりはないので、与えられた仕事をすることで、このブランドを支えていきたいと考えています。
※この記事は2021年07月21日に公開されたものです