「アベック」の意味とは? 「カップル」との違いや語源を解説
かつて流行した「アベック」という言葉。今では死語と言われることもあり、その本当の意味を知らない人も多いでしょう。そんな「アベック」の意味や語源、類語との違いを詳しく解説します。
「アベック」という言葉を知っている人はいても、使ったことがある人は少ないのではないでしょうか。今では“死語”とも言われる言葉ですが、昔はとてもロマンチックな意味を表す言葉として使われていたのだとか。
そんな「アベック」という言葉がよみがえることはあるのでしょうか?
今回は、「アベック」という言葉の語源や意味、「カップル」との明確な違いを解説します。
アベックの意味とは
かつては若年層の間で流行した「アベック」という言葉。しかし、今となっては使われることが少なくなり、この使い方を「古い」「ダサい」などと感じる人もいることでしょう。
みなさんは、そんなアベックの正しい意味をご存知でしょうか? まずは、言葉の意味について解説していきます。
日本では「男女の2人連れ」を意味する
日本では「アベック」というと「男女の2人連れ」を意味します。
現在で言う、「カップル」に近いニュアンスです。「恋人同士」を指すことが多いですが、必ずしも恋人関係を指すとは限りません。
『広辞苑 第七版』では、以下のように説明されています。
アベック
(前置詞で「…とともに」の意)男女、特に恋人同士の二人づれ。
「同じ行動をする2つ」指す場合もある
日本で使う「アベック」は主に「男女2人」という意味がありますが、それ以外の使い方もあります。
小学館の『デジタル大辞泉』によれば、上記の意味以外にも「二人または二つのものが行動をともにすること」という意味も記載されています。
一対の鳥や、飛行機などが飛んでいる様子を「アベック飛行」と表現するのを聞いたことはありませんか? このように男女2人だけでなく、同じ行動をする2人や2つのものも、「アベック」と呼ばれることがあります。
アベックの由来・語源
そもそも「アベック」という言葉はどこから来たのでしょうか。
本来の「アベック」という言葉と、日本で一般的に知れ渡った「アベック」という言葉では、意味合いも少し違ってくるようです。
ここではアベックの由来について解説していきます。
フランス語の「avec」が語源
「アベック」の語源は、フランス語の「avec」です。
日本にこの言葉が入ってきたのは大正末期であり、当時の若者が「2人組の男女」を指す言葉として「アベック」を使い出したのが始まりのようです。
語源となったのはフランス語ですが、それとは少々異なる意味を持つ外来語として日本では広まっていきました。
フランス語の「avec」は男女ペア以外にも使う
フランス語の「avec」は、日本と違い男女以外のペアにも使われます。
英語の「with」に相当する言葉であり、そもそも男女や恋愛関係の2人のみに使われる言葉でもありません。
日本で使われる「アベック」とは、こうした点で意味が異なっています。
アベックとカップルの違いとは?
「アベック」と聞いて、「カップルのことを指すのでは?」と思う人も多いことでしょう。「アベック」という言葉が廃れて、「カップル」になったと解釈している人もいるかもしれませんね。
確かに「アベック」と「カップル」はどちらも恋人同士や、仲の良い2人を指すという点は同じ。しかし、使い方や細かいニュアンスは少し異なります。
2つの違いを見ていきましょう。
(1)語源となった言語の違い
「アベック」の語源はフランス語ですが、「カップル」の語源は英語です。
英語の「couple」は「夫婦・恋人」などを指す言葉であるため、日本でも本来の意味で使われている言葉だといえます。
(2)現代において使われる頻度の違い
「アベック」という言葉は、現在ではほとんど耳にしないですよね。
大正末期に日本に入ってきて、その後から使われ出した言葉ですが、積極的に「アベック」が使われていたのは1960~1980年代だと言われています。その後、バブル崩壊前まで「恋人同士」を指す言葉として流行し、使われてきました。
バブル崩壊後から、恋人同士を指す言葉として「カップル」という表現がスタンダードになってきたため、徐々に使う人は減っていきました。
結果「アベック」よりも「カップル」が主流となり、現在では「アベック」という言葉を使う人はほとんどいないでしょう。
(3)使い方・ニュアンスの違い
「アベック」は、目の前の男女を指して使うのが一般的です。したがって、共通の知人を思い出して「あのアベックがさ~」といった表現は不自然。
その点、「カップル」は目の前の男女のことも、目の前にいない男女のことも指すことができます。
したがって、「アベック」に比べて「カップル」は使える幅が広い言葉だと言えるでしょう。
▶次のページでは、「アベック」という言葉は死語なのかを考えていきます。