失敗より成長を止める方が怖い。剛力彩芽の「人生における決断軸」
あこがれの人、がんばってる人、共感できる人。それと、ただ単純に好きだなって思える人。そんな誰かの決断が、自分の決断をあと押ししてくれることってある。20~30代のマイナビウーマン読者と同世代の編集部・ライターが「今話を聞いてみたい!」と思う人物に会って、その人の生き方を切り取るインタビュー連載。
取材・文:杉田穂南/マイナビウーマン編集部、撮影:佐々木康太
ヘアメイク:高城裕子、スタイリスト:小谷雄太
就職、転職、結婚……人生には決断を迫られる瞬間が必ず訪れる。
そんな時、決断に迷ったり、本当の自分はどうしていきたいのかを見失ったりすることがある。何か環境を変えたいと思っても、失敗を恐れる気持ちからその一歩がなかなか踏み出せない。
人生100年時代と言われる今。
「ずっと成長していたい」
そう語るのは、昨年“大きな決断”をした剛力彩芽さん。彼女は今、決断に対してどう考えるのだろうか。
理想の夫婦像は「手をつないで公園にピクニックに行ける2人」
2021年5月21日、新たな人生に向けての「人生整理」を描いた映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』が公開される。本作で、熟年離婚寸前の親夫婦の危機を食い止めようとする娘を演じるのが剛力さんだ。
剛力さんは昨年、今まで所属していた事務所を離れ自身の会社を立ち上げた。そんな彼女が今回の映画に感じたこととは。
「最初、『お終活』っていう映画のタイトルを聞いた時は、正直まだ自分には関係のないことかな~って思ったんですけど、演じてみたら全然そんなことないなって。
この作品を通して、生きることや終活のことを考えるのが楽しくなりました。自分の残りの人生もなんかもっと楽しくなるんじゃないかって思うようになったんです。最初抱いていた『終活』っていう言葉自体のイメージもだいぶ変わりましたね」
剛力さんが演じたのは結婚50年を迎える熟年夫婦の間に生まれた娘・亜矢。これといった役作りをすることはなく、自分自身と重ねて自然な娘を演じることができたと言う。
「セリフがセリフっぽくなく言えましたね。本当に両親に話している感覚でした。
この2人(作品中の両親)はお互いに好きなのに、長年連れ添ったからこそ、言わなくても分かるよねってスタンスなんです。そこですれ違ってしまうこともあって。
だから、夫婦にはコミュニケーションが大事だって改めて思いました」
そんなもどかしい2人を娘という立場から見ていた剛力さんは「大切な人を大切にできる人になりたい」そう強く感じたと語る。
「私自身の両親の話なんですけど、それぞれがお互いにやりたいことを楽しんでいるんですよ。だからこそ、2人でお出かけする時や一緒にご飯を食べる時間を大切にしているみたいで。娘がいる前でも普通に手をつないで歩くほど仲が良いんです。
すごく理想的な関係ですね。私も、もし将来夫婦になるとしたら、両親みたいにそれぞれが自立していて、一緒に成長し合えるようなちょうど良い距離感を保った夫婦になりたいなって思います。
あと、いくつになっても2人で手をつないで公園にピクニックに行きたい!」
そう語る剛力さんのキラキラとした笑顔は、今後の人生に大きな期待と楽しみを抱いているようだった。
不安を上回るワクワクという気持ち
本作は「人生の再出発の原点」がテーマともなっている。昨年、独立をされた剛力さんにとって、それはきっと人生の大きな再出発の原点。人生の決断をする時、不安や怖さから逃げてしまう私はどうしても聞きたかった。再出発をする決断に不安はなかったのだろうか。
「不安がなかったと言ったら嘘になります。でも、ワクワクすることの方が大きかったんですよね。
昨年、コロナによって環境が変わったのが大きかったです。SNSなど個々の発信力の大きさを感じて、自分もトライしてみたいって強く思いました。
今までは守ってきてもらっていた部分が強くて、そうではなくて自分自身を試してみたくなったんです。そう考えていたらどんどんワクワクしていきました!
もちろん、こうして思いを言うことができるのも今までお世話になった人たちとの関係性が続いてるからこそで、私にチャレンジの場を与えてくれたことにもすごく感謝しています」
人生において「今だと思ったら動けば良い。失敗することが怖いんじゃなくて、立ち直れないのが怖いんだと思うんです」そう語る剛力さんの驚くほど強く、前向きな気持ちはどこからくるのだろうか。話を聞いているとその原点が見えてきた。
10年間の下積み時代。ずっとワクワクしていた
「環境が変わって、大変だなって思ったのはお金のこと。数字を見ると頭が痛くなります(笑)。
本当に苦手なんです。でも、これからはお金の流れとか全部ちゃんと把握しなきゃだなと思って。
そういうことは、新たな経験として楽しみながら学んでいきたいなって思います」
続けてこう語った。
「私、地道な作業とかも苦しいって感じないんですよ。18歳の時にショートカットの役がありその役を勝ち取るために髪の毛をバッサリ切って、そこを転機にテレビとかすごい出させて頂けるようになりましたけど、それまでに10年間の下積み時代があって。オーディションにずっと落ち続けていました。でもその時も、全然苦しいって感じなくて。
その時お世話になっていた事務所のスタッフさんに、『オーディションに落ちても、反省することは大事だけど、落ち込む必要はない。オーディションを受けている人なんて何千人もいるんだから、10回受けて1回でも受かれば本当にすごいことなんだから』って言われていたんですよ。
だから、その時期も『これからどんな楽しいことが待っているんだろう』ってずっとワクワクしていました」
彼女が経験した長い下積み時代も、彼女の原点のひとつになっていたのかもしれない。
そんな剛力さんは、今や活躍の幅を広げ、芝居や音楽、大好きなファッションブランドのプロデュースまでも手掛けている。忙しい毎日の中で仕事がつらいと思うことはないのだろうか。
「つらいことも苦しいことも経験だと思っています。その時に自分に必要な試練。だから、苦しい時はどうしたらこの環境が楽しくなるかなって考えます。
私はバラエティー番組がすごい苦手で緊張するんですけど、楽しまないと損だと思うし、周りにはバラエティーが得意な方がいっぱいいるから助けてもらおうって気持ちで挑戦します。何に対しても、『どうしたら終わった後に楽しかった』って思えるかなって考えるようにしています。
こういうお仕事をさせて頂いているからこそ、一人でも多くの方に明るい気持ちを届けたいなって思っているんです。そのためにも私自身が楽しいと思って生きることが大事だと思っていて。そうすれば周りに楽しいが伝わると思うんです」
失敗することより成長を止める方が怖い
前を向いて大きな一歩を歩き出した彼女が今、決断することに対してこう語ってくれた。
「私が今思うのは、いくつになっても変わることって怖いことじゃないし、そこに楽しいとか、明確に変わりたい自分がいるのなら、挑戦した方が良いと思うんです。
私は失敗することより成長を止める方が怖いです。
それに、何かをやって後悔ってしないんですよ。どんな結果であれ絶対経験になるので。それにがんばってる人には、人はついてくるって思っています。だから失敗したとしても大丈夫。怖がることはないと思います」
剛力さんの言葉はどれもまっすぐに前を向いていて、今の彼女の生き方そのものだった。
「自分はこのままでいいのか」という漠然とした不安を抱くことは誰だってある。20代の自分は、進学、引っ越し、就職と決断をしながら今まで歩んできたが、今後の人生もっと自分を成長させ楽しくさせる道があるんじゃないかと思うと、これからも決断をする時が来るのかもしれない。
失敗しても大丈夫。
そう考えるとこれからの人生がなんだかワクワクしてきた。
映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』
娘・亜矢がひょんなことから知り合った葬儀社勤務の菅野から終活フェアの話を聞き、母親に勧めたことがきっかけとなって、てんやわんやの大騒ぎとなる大原家。
最初は「終活」という響きから死を連想し、妻からの提案を頑なに拒否していた夫が、菅野との交流や妻の突然の病をきっかけに変化していく。
これまでの夫婦の歴史を思い出し、そしてこれからも積み重ねていくであろう自分たちの歴史に思いを馳せ、変化していく大原夫婦の様子に、あるあるとうなずき、時に笑い、泣くこと間違いなし。
観る人に元気と明るさを届ける“熟春ラブストーリー”。
2021年5月21日(金)全国ロードショー!
©2021「お終活」製作委員会
※この記事は2021年05月07日に公開されたものです