貯金が無いと結婚できない?
働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちがお悩み回答形式で紹介します。今回の回答者は婚活コンサルタントの澤口珠子さん。
今回のお悩み「貯金が無いと結婚できない?」
友達と結婚について話していたら、「今の彼氏は貯金が無いから結婚はちょっと……」と言われました。私も全然貯金をしていないので、「貯金が無いと結婚できないの⁉」とショック! 令和の今、結婚するには貯金って必要なのでしょうか? もし必要ならば、いくらぐらいあれば安心ですか?
こんにちは、婚活コンサルタントの澤口珠子です。ご質問いただきありがとうございます!
結婚とお金って切っても切り離せないテーマの1つですよね。今回は、貯金はもちろん、お金に対する考え方も含めて回答させていただきますね。
データから見る結婚前の貯金額
まずは一般的なデータからチェックしていきましょう。
リクルートのブライダル総研が発表した「ゼクシィ結婚トレンド調査2020」の集計結果によると、結納や挙式、披露宴・ウエディングパーティ、新婚旅行といった結婚費用のための夫婦の貯金は、全国および首都圏では共に、86.5%以上の夫婦が行っていることがわかりました。
また同じ調査によると、全国平均では約312万円、首都圏では平均して325万円が、それぞれ貯金額として集計されており、中でも首都圏では「100〜200万円未満」が21.3%と最も多く分布していました。
つまり、結婚前に貯金をしていることは一般的な流れであって、またその金額は300万円程度が平均額だとされています。
これまで通りのやり方で結婚するのに必要なお金はいくら?
じゃあ結婚するのに必要なお金って、いくらくらいなのでしょうか? ここでは結婚前後のイベントについて考えていきましょう。
これはプランや結婚式への考え方によってさまざまなので、一律にいくらと定義できるわけではありませんが、以下に一般的な費用感を記載します。
- 結納式:20万円程度
- 結婚式(二次会などを含めた金額):360万円程度
- 新婚旅行:65万円程度
つまり、一般的な結婚式前後のイベントを進めようとすると、合計して450万円程度のまとまったお金が必要だということになります。
また、結婚にまつわる費用は、結婚式周りのものだけにとどまりません。
例えば2人の新生活に伴う新居の契約や引越しなども必要になります。自宅の家賃や敷金・礼金の有無、家具のそろえ具合によってまちまちでしょうが、少なくとも50万円以上、場合によっては100万円は必要になると想像されます。
よって、結婚に伴うまとまった費用は、全部で500万円にも上る可能性があることになります。
令和時代のニューノーマルな結婚で必要なお金はいくら?
次に、令和時代における新生活様式に沿った形で、非対面を重視した結婚前後のイベントに沿って考えていきます。
こちらも選択肢によって費用の幅が広がりますが、ここでは1例としてのストーリーを挙げます。
まず、結納式や結婚式については、オンラインでの実施を選択するカップルも、少しずつですが増えていくと考えています。
その場合、例えばオリジナルウエディングブランド「CRAZY WEDDING」が提供するオンライン結婚式のプラン「Congrats」なら、自分たちでオンライン結婚式の準備・配信までを行う場合は、なんと5,445円でオンライン結婚式を行うことができます。
またオンラインではなく従来通りの対面で行う場合であっても、ニューノーマルに合わせて人数を絞り、親族だけで結婚式を行うケースも増えていくでしょう。
さらに新婚旅行についても、少なくとも2021年4月時点ではコロナ禍によって、まだまだ海外旅行へのハードルは高く、国内での実施がスタンダードになっていくと考えられます。
よって、結婚式前後だけを考えてみても、結婚に伴う出費を大幅に抑えての実施が一般的な流れになるといえるでしょう。
結局、貯金って必要なの?
ここまで見てきた結論として、貯金はどこまで必要なのでしょうか?
私からの答えは「あるに越したことはない、けど、必須ではない」です。
そもそも、今の令和時代は「VUCA時代(※)」ともいわれており、これまでの常識や慣習が必ずしもそのまま通用しない時代であるといえます。
※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなげた言葉
そんな時代だからこそ、ここまで見てきたような結婚式前後のイベント費用に限らず、何かが起こった時にすぐに動ける保険として、貯金はあるに越したことはありません。
例えば今の時代、終身雇用は崩壊しているので、いつ何時、自分自身もしくはパートナーが解雇されるかも分かりません。
極端な例を挙げればお互いが突然に解雇されたとしても、夫婦としての貯金が300万円あれば、切り詰めれば1年間は余裕を持って暮らすことができます。その間に就職活動をしたり、必要に応じて専門的なスキルを磨いたりするのも良いでしょう。
じゃあ、貯金が必ず必要かというと、それも違うと思います。貯金はあくまで保険です。1番大切なことは、相手に対するリスペクトと、自分が将来的にどうなりたいかのビジョンです。
1例として、何かの資格を手に入れるために勉強をしている人は、貯金よりも資格取得を優先して全額を自己投資に回しているかもしれません。もちろんそういうケースではなく、ただダラダラと毎日過ごして貯金がない方は、論外ですが、目標に向かっているプロセスの一環として貯金が無い場合は、全くもって悪いことではないと思います。
「あなたは、どんな目標をもって日々過ごしていますか?」
貯金の有無の前に、まずはこの質問に明確に答えられることが大切だと思います。
令和のマネーハック21
ニューノーマルな結婚では、貯金は必須事項ではない! ただし、自分が将来どうなりたいかのビジョンは持っておこう。
(文・澤口珠子、イラスト:itabamoe)
※この記事は2021年04月26日に公開されたものです