【マネーレッスン】奨学金は結婚までに繰り上げ返済すべき? 上手な返し方は?
将来を考えるとき、お金の悩みはついてまわるもの。結婚・出産、転職など、ライフイベントによってマネープランの見直しは必須。だけど、何から手をつければいいのかわからない! そんな働く女子のお悩みを、FP風呂内亜矢先生に相談。知っておきたいお金のキホンや無理なく実践できるテクニックをマスターして♪
今回のお悩み
今回の相談者:ゆいかさん
「奨学金返済と年金の支払い(学生猶予分)が残っているので、将来が不安です。先に奨学金と年金の繰り上げ返済をして、その後貯金すべきか、並行して行うべきか迷っています。一応、手取り給与の75~80%で生活するような計算ではいるため、毎月その分のお金は貯まっています。ただ、結婚前には奨学金と年金を完済し、かつ貯蓄ゼロで結婚はしたくないので、3年後までに400~500万円ほど貯め、半分は完済にあて、200万円ほど貯蓄を残しておきたいです」
奨学金は結婚までに繰り上げ返済して急いで返すべき?
編集部 ゆいかさんは、奨学金と、学生猶予分の年金保険料の繰り上げ返済をすべきかどうか、悩んでいます。月々の貯蓄額を今より削ってでも繰り上げ返済をしたほうがいいのでしょうか?
風呂内亜矢(以下、風呂内) 借入金について繰り上げ返済をすべきかどうかを考える際に大切なのは、それが借金の中でも“いいもの”なのか“悪いもの”なのか、ということです。その点で、奨学金は非常に優良な借り入れ先。金利面で言っても、今年度に卒業した人たちに適応される最新の金利は0.1%や0.3%ですし、上限も3%と非常に低い。また、滞納していなければ、将来マイホームを買うなどローン審査があった場合にも、一般的に影響が出にくい借り入れなんです。そういう意味では、無理にでも繰り上げ返済すべき借り入れではないと言えます。
編集部 とはいえ、利息分を支払うのはもったいない気もしてしまいます。
風呂内 これは、実際に利息がいくらになるのか計算したほうが早いかもしれません。奨学金の返済回数は、貸与総額と、どういう方式で借りているか、で決まります。
仮に、学生時代の4年間で毎月3万円ずつ借りていたとすると、13年間(156回)で返済することになります。その際、金利が1%であれば、月々の返済額は9,847円、返済総額は153万6,132円という計算に。ゆいかさんは毎月1万円ずつ返済しているようですので、おそらくこのパターンに近いのではないでしょうか。
そして、実際の借り入れは3万円×12カ月×4年=144万円ですから、13年かけて返済しても、利息は9万6,000円ほど。そう考えると、コツコツと分割で返していってもいいのではないかと思います。もちろん、9万6,000円も少なくはない額ですので、少しでも利息を払わなくて済むならば早く返したい、という考え方もあります。
編集部 あとはその利息分を本人がどう捉えるかによって、繰り上げ返済するか・しないかを決めればいいんですね。
風呂内 そうですね。しかし女性の場合は、結婚をしたときにまだ返済が残っているのは心配があると思います。例えば日本学生支援機構の奨学金の場合、本人が死亡すると残りの返済は保証人が継続することになります。保証人は親がなっていることが多いでしょう。その場合、親が免除の申請をすることで全額免除や一部免除になることもありますが、単純に完済されないという意味では気がかりに感じるかも知れませんね。また、結婚後に、妊娠や出産、ケガ、病気など、今と同じように自分の収入から同じように返していけるかどうかもわかりません。そういう意味では、ゆいかさんが結婚前に完済しておきたいと思うのも頷けます。
とはいえ、結婚するにあたって貯蓄がゼロというのも避けたいところ。3年後までに400万円以上を貯めて、半分は完済にあて、200万円を手元に残すという思考は非常に健全です。
あわせて読みたい⇒人生の晴れ舞台「結婚」! 備えておくべき「お金」はどのくらい?●未婚女性の奨学金の返し方
・奨学金は優良な借入先、無理してまで繰り上げ返済すべきではない
・利息分をどう捉えるか、自分の状況に合わせて考えよう
・死亡した場合、自動的に完済されるわけではないことを知っておこう
・結婚後に自分の収入が大幅に下がって、結婚前と同じように返していけなくなる可能性があることにも注意しておこう
・結婚前の完済にこだわるあまり、貯蓄がゼロで結婚するのはオススメしない
★ゆいかさんプロフィール
通信関連企業で、販売職・サービス系の派遣社員として働く、社会人1年目の24歳。神奈川県在住で、ひとり暮らしをしている。手取り月収約19万円、手取り年収約240万円。学生時代に借りていた奨学金の返済と、在学中に猶予されていた年金保険料の支払いが残っているため、現在は手取り月収の75~80%で生活するように計画を立てており、奨学金を毎月1万円ずつ返済しているほか、月々4万円を貯蓄している。現在の自分名義の貯蓄額は、75万円以上~100万円未満で、3年後までに400万円以上の貯蓄を目標にしている。3年以上付き合っている彼がいて、いずれ結婚するにあたり、それまでに奨学金&学生猶予分の年金保険料を完済し、かつ200万円の貯蓄を手元に残しておきたいと思っている。
(ヨダヒロコ/六識)