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主婦が夏目漱石になっちゃう!? ハラハラなのにさわやかなドラマ『吾輩は主婦である』

和室こんにちは。テレビレビュアーの光里です。

去年12月まで放送していたドラマ『ごめんね青春!』にハマりすぎて、『ごめ春』ロスに陥っていたため「な、何か同じようにワクワクするドラマを……」という気持ちで見はじめたのが、同じ脚本家&プロデューサー(宮藤官九郎&磯山晶)が手がけた『我輩は主婦である』(2006年5月~7月放送)。テイストは全然ちがうのですが、やっぱりおもしろかった!

●昼ドラっぽいハラハラ感もあるけど、奇想天外な内容!?

嫌がらせ、二股、浮気、音信不通だった義妹が突然登場……なんていう昼ドラにありがちなハラハラなエッセンスを散りばめているのに、それがちっとも嫌味に感じない不思議なドラマです。というのも、きっとストーリーが奇想天外だから。
主人公の主婦・みどりは、レコード会社に勤める夫と子ども2人と都内郊外のマンションで幸せな生活を送っていたところ、夫が突然仕事を辞めたことで、一転。おかげで、夫の母が住む古本屋へ転居することに。そして、お金のやりくりに苦心する毎日を送り続けたストレスのせいか、突然、みどりに夏目漱石が乗り移ってしまう! というファンタジックな内容なんです。
今までおっとり大らかだったみどりから、偏屈・頑固・横暴な性格である夏目漱石になってしまい、そしてなぜか頻繁に家族やご近所の面倒くさいトラブルに巻き込まれてしまうのですが、大抵、漱石になったみどりのおかげでそれらの問題が解決してしまう……という、最後にはハッピーな結末が待ち受けているのも魅力!

●漱石になったみどりの発言の中には胸に響くセリフも……

みどりには小説家である漱石が乗り移っているので、劇中ではみどりとして文壇デビューを試みるのですが、そのためか、いろいろな出来事を俯瞰で見て、正論を言う漱石のセリフには胸に響くものも。
個人的に心打たれたところは、息子のじゅんが将来の夢についての作文を書かなければならなかったときの話。夢が思い浮かばず、近所の人に子どものころの夢を聞いてまわっても、CMモデル(なぜ簡単にCMモデルになれたのかは本編をぜひ!)などの仕事を体験させてもらっても、どれもピンと来ないとじゅん。そこで、漱石となったみどりが、「37歳で小説家になるまでどの仕事もピンとこなかった。37歳になってようやく定職に就けたと思ってる。それくらい、働いてお金を稼いで生活するということは簡単なことではないんだ!」と言うようなセリフを!
お金を稼ぐことが簡単ではないことは身にしみて感じているのですが、「37歳になってようやく自分に合った仕事が見つかったってことは、『もう年だから諦めよう』なんて考えなくていいんだ!」と感じたわけです。
って、あれ? ちょっとセリフ自体に感動したとはちがうか……。でも、ほかのシーンでも「そう、そう、そうだよね!」と思えるセリフは数々あったので、きっとみなさんにとってのグッとくる言葉も見つかると思います。

●パロディなネーミングが多すぎる!

3度の飯よりパロディ好きなので、心踊るのは私だけなのかもしれませんが(苦笑)、「その名前……!」と感じるパロディネームが多数登場します。たとえば、夫・たかしが勤めていたレコード会社は「バニーキュニオン」。みどりが小説を連載することになった雑誌は「女性タブン」。途中で登場する芥川賞作家・夜しずかの作品名は「キャミソール」。パロディではないけれど、みどりとたかしがよく訪れる喫茶店の名前は「ジャンバルジャン」(『レ・ミゼラブル』の登場人物より。というのも、みどりとたかしは大学時代同じミュージカル研究会で、この喫茶店の店長は、ミュー研のOBという設定のため)……などなど。探せばまだまだ出てくると思うので、そんな細かい部分をチェックするのも楽しいドラマです!

ちなみに昼ドラ枠で放送していたものなので、全40話というボリュームがありつつ、1話約30分とサクッと見られる作品。だから、帰宅後のお楽しみとして毎日1話分ずつ見るもオススメのドラマ!
それにしても、せっかく『ごめ春』ロスを埋めるためにと思って選んだ『吾輩』もすべて見終わってしまった今。今度は『吾輩』ロスに陥っております……。また、このロスを癒してくれる作品を見つけないと……。

<プロフィール>
光里(ひかり)/テレビレビュアー。といいつつ、ドラマ、バラエティ番組以外に映画もウォッチングし、新旧問わずおもしろい作品を探し続けているライター。幼稚園児ながら、『にこにこぷん』よりも『夕やけニャンニャン』のほうが好きだった過去を持つ、アラサー女子。

※この記事は2015年02月03日に公開されたものです

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