牧場の牛の胃には磁石が入れてある!
牧場の牛は、いつまでも牧草をモグモグと食べているイメージがあります。そんな牛の胃の中に、磁石が入れてあるってみなさん知ってますか? なぜ磁石が入れてあるのか、それは牛の健康を守るために重要なアイテムだったのです。
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キラキラ光る鉄は鉄分補給に必要!
牛の性質として、牧草と一緒に鉄を食べるという悪癖があります。もともとは牧草だけでは不足する鉄分を得るためです。鉄が含まれる小石を食べることでその微量な鉄分を吸収し、また消化できないお腹の中の石を用いて牧草をすりつぶ、消化吸収をさらに良くするという働きもあって食べてしまうようです。
キラキラしているものに鉄が含まれているという本能があるせいか、鉄くぎなども食べてしまいます。
釘が刺さって死んでしまう?
しかし、牛の胃は激しく収縮を繰り返しています。そんな中に先の尖った鉄くぎや金属片が入ると、胃袋や腸壁に突き刺さり、結果牛が死んでしまうことがかなりあるのです。農家の方もそんな危険物がないように牧草地の見回りをしていますが、完全になくすことは出来ません。
また、牧草地の広さもあって、毎日チェックすることは非効率です。
磁石で危険物から胃腸を守る
そこで考えだされたのが、強力な磁石を胃に入れておき食べてしまった鉄くぎや金属片をくっつけることでした。特殊なパイプを使って牛にとって安全な形の磁石を胃に入れます。後は胃の反芻運動によって、食べてしまった金属は自動的に磁石にくっつき、それ以上胃を傷つけずにすむのです。
たまった鉄くぎを取り出す方法
さて、磁石が鉄くぎなどをくっつけるとして、そうすると胃に金属物が大量にたまることになってしまいます。それではおなかがいっぱいで、肝心の牧草が食べられなくなってしまいます。そのため、この磁石は定期的に取り出し交換されます。
その方法がユニークで「胃の磁石よりも強力な磁石をつかって、磁石ごと強力な磁石にくっつけて取り出す」のです。至ってシンプルです。これも磁石の作用を利用した方法なのです。
磁石は鉄をくっつけるという当たり前の作用が、こんなところで役に立っているなんて不思議ですね。当たり前のものも、実はシンプルな構造で出来ているのかもしれません。
※この記事は2015年01月09日に公開されたものです