スポーツ選手の年俸に「推定」がついているのはなぜ?
プロスポーツ選手のオフシーズンや移籍時などには、よく年俸の額がニュースで話題になりますよね。でも、どのケースでも必ず「推定」という言葉がついてきます。それは一体なぜなのでしょうか? 今回は、そのカラクリについてご紹介しましょう。
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スポーツ選手の年俸は、正式発表されない
一般人の私たちにとって、「プロスポーツ選手は一体いくら年俸をもらっているのだろう?」ということは、かなり関心の高いネタの1つです。しかし、それを公開するのは、サラリーマンで言えば年収というプライバシーを周りの人に言いふらすようなもの。
そんなこと、普通はしませんよね。お給料の話は、本人と会社の間のみでなされるものであり、社外には当然公表されません。それと同じで、スポーツ選手の年俸は所属チームと選手が個々で契約を結んで決まるので、正式発表されることはないのです。
公表される年俸は、各新聞社が独自に割り出したもの
新聞やニュースで「今季は○億円!」などと取り上げられるスポーツ選手の年俸は、新聞社などの各メディアが独自に割り出し、「大体これくらい」と予想したもの。だから、あくまで「推定」なんですね。そしてその推定方法は、かなり地道な作業になってきます。
たとえばプロ野球選手なら、選手の成績だけでなく、球団の成績や財政状況なども基準にして、まずおおよその予想額を導き出します。そして、契約更改の記者会見で選手本人の言葉や様子を見て、最終的な金額を「推定」するのです。
このとき、選手の機嫌の良し悪しなどのメンタル面も、重要な判断材料となります。
選手が年俸を公表しないもう1つの理由
自分の年収を好んで周囲に言いふらす人なんて、会社員にもなかなかいませんよね。だから、多くの選手が自分の年俸についてハッキリと言わなくても、別に不思議なことではありません。しかし、選手側が具体的な金額を教えないのは、実はもう1つ大きな理由があります。
それは、自分から正直に公表してしまったら、それを見た他の選手が、契約更改時に自分の年俸を上げる交渉材料として使う可能性があるからです。そういう意味でも、多くのスポーツ選手にとって、具体的な年俸について明言を避けるのが一般的になっています。
中には、記者会見などでハッキリ自分の年俸を公表する選手もいますが、どのスポーツ界においても、ごく少数派のようです。でも、報道側は、読者や視聴者にとって関心の高いことは、何としても報道したいと思うもの。その熱意が、「推定」という形になって公表されているわけですね。
※この記事は2014年10月04日に公開されたものです