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女子うけする「大人向け炭酸飲料」が人気のわけ―「炭酸水」「カロリーゼロ」を経て「甘くない炭酸」「香りつき炭酸飲料」が来てる!

安部徹也

今年もさまざまな新商品が登場した炭酸飲料。全国清涼飲料工業会「清涼飲料品目別生産量推移」によると、炭酸飲料の生産量は2006年には約270万キロリットルでしたが、2011年には350万キロリットルを突破と右肩上がりが続いています。また、2014年上半期も前年比3%増程度と好調だそう。なぜ今、炭酸飲料が人気なのでしょうか。All About「マーケティング戦略を学ぶ」ガイドの安部徹也さんは次のように解説します。

■健康志向の人向けの炭酸飲料が続々登場

「炭酸飲料人気の背景には美容や健康、ダイエットのために炭酸水がいいということも大きく影響していると思います。炭酸水を飲むだけでなく、洗顔などで利用する女性が増えたことも炭酸飲料のイメージアップに一役買っていそうです。自宅で手軽に炭酸水を作れるマシンを購入する人が増えるなど、炭酸が身近になったことも、炭酸飲料人気を後押ししているのではないでしょうか」(安部さん)

もともと、子どもや若者が好きな飲み物という印象が強かった炭酸飲料のイメージが変わったのは2007年ごろ。きっかけは、カロリーゼロなどを売りにしたゼロ系炭酸飲料でした。

2006年にはサントリー食品(現・サントリーフーズ)が「ペプシネックス」、2007年には日本コカ・コーラが「コカ・コーラ ゼロ」を発売。飲みたくても太ると敬遠してきた人を取り込むマーケティングを展開し、各社が次々と新商品をリリースする様子は“ゼロ戦争”と話題になります。さらにキリンビバレッジが2012年5月にコーラ製品で初の“トクホ”である「キリンメッツコーラ」を発売して大ヒットを記録すると、2012年11月にはサントリー食品(現・サントリーフーズ)が「ペプシスペシャル」で対抗するなど、今度は“トクホ戦争”が勃発します。

「子どもの頃は炭酸飲料を飲んでいたけれども、大人になってからカロリーを気にして飲むのを控えていたという人たちが“ゼロカロリー”や“トクホ”と聞いて、再び炭酸飲料を手にとるようになったことが大きな要因のひとつと言われています」(安部さん)

一方、女性を中心に無糖の「甘くない炭酸」ブームが起こったのも同じころでした。火付け役となったのはキリンビバレッジの「NUDA」。2006年2月に発売され、6月には100万箱以上を売り上げる大ヒットを記録したとか。

「じつはキリンビバレッジよりも先に無糖炭酸飲料に注目していたメーカーがあります。大塚ベバレッジは発泡天然水『クリスタルガイザー スパークリング』を2004年に九州地区で先行販売し、その後、販売エリアを首都圏に拡大。これまであまり炭酸飲料を手にしていなかった30歳前後の女性を中心に購入され、品切れが続出するなどこちらも予想外の売れ行きを記録しました」(安部さん)

そして、2012年3月には海外生まれの柑橘系炭酸飲料である「オランジーナ」(サントリー)や「シュウェップス ブリティッシュ レモントニック」(日本コカ・コーラ)が発売され、話題になります。オランジーナのターゲットは20代~40代男女で、“甘さを控え目にした微炭酸”という大人向けのコンセプト。一方の「シュウェップス ブリティッシュ レモントニック」は低カロリーに加えて、甘みが残らずさっぱりとした後味が特徴。100mlあたり12kcalと低カロリーで、40代以上の大人をターゲットにした炭酸飲料として注目を集めました。

こうした中、ゼロカロリーや無糖からさらに一歩進み、健康でありつつ嗜好性を重視した大人向け炭酸飲料が次々と登場しています。

日本コカ・コーラが2014年7月に発売した「シュウェップス フルーツビネガーゼロ マスカットレモン」(日本コカ・コーラ)はその名の通り、カロリーゼロのゼロ系炭酸飲料のひとつ。果汁から醸造して爽やかな果汁感を残したぶどう酢と、ワインから醸造した香り高いワインビネガーを絶妙にブレンドした「ぶどう酢」、レモン果汁を醸造した「レモン酢」を配合。カロリーを気にせずに、炭酸の爽快感とおいしさを楽しめるのが特徴です。

「シュウェップス フルーツビネガーゼロ マスカットレモン」410ml入りペットボトル、希望小売価格140円(税別)

「シュウェップス フルーツビネガーゼロ マスカットレモン」410ml入りペットボトル、希望小売価格140円(税別)

一方、「甘くない炭酸」の進化形である、ほのかな香りがついたフレーバータイプの炭酸飲料も人気です。

キリンビバレッジが2014年6月に発売した無糖炭酸水「世界のKitchenから Sparkling Water」(キリン)は、ほのかな花の香りが特徴。モロッコの家庭では母親が季節の花を蒸留して作ったフラワーウォーターを調味料として飲み物や食べものに振りかけたり、おもてなしにお客様にふりかけ香りを楽しんだりするという生活習慣に着目。ハーブの一種であるエルダーフラワーとレモンピールを上流して作ったオリジナルのフラワーウォーターを炭酸水に配合。「花を味わう炭酸水」という新しいカテゴリーを提案し、注目を集めています。

「キリン 世界のKitchenから Sparkling Water」500ml入りペットボトル、115円(税別)

「キリン 世界のKitchenから Sparkling Water」500ml入りペットボトル、115円(税別)

また、2014年8月には「世界のKitchenから」シリーズの第一弾である「世界のKitchenから ディアボロ・ジンジャー」が復活。ディアボロというのはフランスで好んで飲まれる飲み物で、シロップをソーダで割ったものだとか。高知県産のしょうがをふんだんに使用した、ぴりっとした香りと深い味わいが特徴です。

「キリン 世界のKitchenから ディアボロ・ジンジャー」500ml入りペットボトル、希望小売価格115円(税別)

「キリン 世界のKitchenから ディアボロ・ジンジャー」500ml入りペットボトル、希望小売価格115円(税別)

一方、エナジー系炭酸飲料も活況です。2014年6月には、日本コカ・コーラとセブン&アイ・ホールディングスがブラジル生まれの炭酸飲料「KUAT(クアッチ)」を発売。陽気で前向きな国民性のブラジル人の元気の源として飲まれているガラナエキス入りのガラナ炭酸飲料。食事との相性がよく、リフレッシュにもぴったりな飲み物としてブラジルで幅広い層に親しまれている国民的炭酸飲料だとか。

「KUAT(クアッチ)」490ml入りペットボトル、希望小売価格138円(税別)。セブン&アイ・ホールディングス限定発売

「KUAT(クアッチ)」490ml入りペットボトル、希望小売価格138円(税別)。セブン&アイ・ホールディングス限定発売

次々と登場する大人系炭酸飲料。あれこれ試して、自分の好みやニーズにぴったり合うものを見つけたいですね。

(ミノシマタカコ+ガールズ健康ラボ)

※この記事は2014年09月18日に公開されたものです

安部徹也

株式会社MBA Solution代表取締役、一般社団法人日本MBA協会の代表理事。『ワールド・ビジネス・サテライト』(テレビ東京)を始めとした多くのニュース番組出演を始め、日本経済新聞、週刊ダイヤモンドなどのビジネス系メディアにも登場多数。All About「マーケティング戦略を学ぶ」ガイドも務める。近著に『「やられたら、やり返す」は、なぜ最強の戦略なのか』(ソフトバンク新書)。http://www.mbasolution.com/

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