選挙に出るには、いくら必要?「都知事選に出るなら、およそ1億円必要」

いつの世にも絶えない政治とお金の話題。どうしてそんなに必要なのか不思議に思うかもしれないが、選挙だけでも大金がかかるのはご存知だろうか。
【松井玲奈(SKE48/乃木坂46)のAKB48 選抜総選挙ポスターには別カットが存在】
都道府県知事選になると、活動費用はおよそ1億円も必要になる。立候補する際には保証金とも呼べる供託(きょうたく)金が必要になるので、なるべく安く済ませたくても、多額のお金が必要なのだ。
知事選に出るなら1億円用意しよう!
政治活動はもちろんのこと、選挙活動費も収支(しゅうし)報告書に記載しなければならない。これは政治資金規正法で定められ、政党や政治団体のすべての収入/支出を報告書に記載し、提出する義務がある。ニュースで報じられる多くは、収支報告書に記載されていないお金が発覚したからだ。
選挙活動に使えるお金には上限額が定められ、これを法定選挙費用と呼ぶ。金額は選挙区によって異なり、規模や範囲が大きいほど高額になる仕組みだ。
ほとんどの選挙は、固定額と、その選挙に投票できるひとの数をあらわす「選挙人名簿登録者数」から算出され、
・都道府県知事選 … 固定額2,420万円+選挙人名簿登録者数×7円
・町村長選 … 固定額130万円+選挙人名簿登録者数×110円
で、人口の多い東京都は選挙人名簿登録者数が1千万人を超すため、それだけで7千万円以上が使える計算となる。今年の都知事選では1.05億円もの選挙活動費が認められていたのだ。
もちろん「上限」なので、それ以下で済ますのはOKだが、できるだけ大規模に活動したいのも人情で、資金に余裕がある=当選しやすい、の構図になりかねない。そこで候補者の負担を減らす「公費負担制度」が導入され、ポスターの作成費、選挙カーのレンタル代やガソリン代、演説会での公的施設の利用料など、活動費の一部を国や地方公共団体が負担してくれるのだ。
徒歩や自転車で選挙区をめぐる立候補者を見かけるが、自分は公費をムダづかいしません!のアピールでもある。
票が集まらないとペナルティ?
1円もかけずに立候補できるのか? 答えはNoで、ほとんどの選挙では出馬する際に供託(きょうたく)金を預ける必要があり、例えば、
・都道府県知事選 … 300万円
・町村長選 … 50万円
で、もっとも高額な衆議院・比例代表選の場合、600万円を支払う必要がある。もしゼロ円選挙を目指すなら、供託金不要の「町村議会議員選挙」限定だ。
供託金は一種の「保証金」で、いったん預け、条件をクリアすると返還される仕組みで、多くの選挙では、有効投票総数のうち10分の1以上が集められたかが基準となる。得票数が少なかったひとは没収されてしまうのだ。
これは対立候補を増やして選挙を混乱させる「妨害行為」や、目立ちたいだけの「売名行為」を防ぐのが目的で、真剣にやらないひとにはペナルティ!の意味から始まっている。ただし、特定の候補者に票が集まった場合も同様で、まじめな立候補者でも得票数が基準に達しないと、やはり没収されてしまう。
この2月の都知事選では16人中12人の供託金が没収されたのも、票が極端に偏ったのが原因だ。
まとめ
・都知事選に出るなら、およそ1億円必要!
・選挙活動費の一部を、国や自治体が負担する公費負担制度もある
・選挙妨害や売名行為を防ぐための保証金として、供託金が必要な選挙が多い
・得票数が基準を下回ると、供託金は没収されてしまう…
票が集まらずに落選、はあきらめもつくだろうが、供託金が没収されると公費負担制度も受けられないので、まさにふんだりけったりの状態となる。
政治家を目指すなら、まずは貯金からスタートするのが良さそうだ。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年06月27日に公開されたものです