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雑学 生活

長さの定義―1mの決め方ってどうやってるの?「真空中で光が1/299,792,458秒間に進む距離」

2014年3月、大阪市に超高層ビル「あべのハルカス」がオープンしました。300mという高さは、日本国内では634mの東京スカイツリー、333mの東京タワーに続く第3位を誇り、ビルとしては296mの横浜ランドマークタワーを抜いて国内で最も高いことになります。

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さて、このように普段の生活の中で当たり前のように使っている「高さ」や「長さ」という概念。
今回は、そんな高さや長さを表す単位である「メートル(m)」の定義について、あらためて考えてみたいと思います。

■ 昔の1mの定義

そもそも1mの長さというのは、どのように定められてきたのでしょうか。

最初に長さの単位を決めようとしたのはフランスでした。その際、案として以下の3つが出ています。
1つ目は北緯45度の地点において1秒の周期で揺れる振り子の長さ、2つ目は地球の赤道一周の長さの4千万分の1、3つ目は北極と南極を通って地球を一周する子午線(しごせん)の長さの4千万分の1というものでした。

しかし、このうち1つ目の案は測定場所によって地球の重力は異なっていること、2つ目の案は測定地域が海だったり熱帯地域だったりして測りに行くのが難しいという理由から却下されました。その結果、3つ目の案が採用されることとなったのです。

実際の測量は、18世紀末にパリを起点としてフランス本土最北端の都市・ダンケルクからスペインの都市・バルセロナ間で行われています。この結果をもとにして、北極から赤道までの距離を計算によって求め、それを1000万で割った値を1mと定めました。

ちなみに、地球は球体だから赤道一周と子午線一周って同じなんじゃないの?と思うかもしれません。ところが、実際には地球の自転の影響によって赤道付近では遠心力が働くため、長さは異なります。現在、赤道一周は約40,077kmですが、子午線一周は約40,009kmとなり、赤道一周の方が68kmも長いのです。

■ 現在はどう定義されている?

以前、1秒という時間の定義はセシウム原子時計によって正確に定められているとご紹介しましたが、現在の1mの定義はこれに基づいて決められています。

具体的には、光の進む距離と時間との関係に着目し、1mの長さは「真空中で光が1/299,792,458秒間に進む距離」であると1983年の「国際度量衡(どりょうこう)総会」において定義されました。なんだかものすごく中途半端な数字だなぁ…と思うかもしれませんが、もともとの地球の子午線から定めた長さにできるだけ合わせるためにこのような値になっています。

よく光は1秒間に地球を7周半すると言われますが、上の定義に基づけば、光は1秒間に299,792,458m≒300,000km進むことになりますので、たしかに1周40,000kmの地球を1秒間に7周半することができますね。

ちなみに定義の中に、「真空中で…」という条件がありますが、これは物質中と真空中とでは光の進む速度が違うためです。たとえば、水中では光の速度は真空中の75%程度に落ちます。

■ ゴルフはどうしてヤードなの?

メートル以外の長さの単位として、ゴルフでよく使われている「ヤード」や、テレビやスマートフォンの画面サイズを表す時に使われる「インチ」という単位を聞いたことがあると思います。これらは西洋では何千年も前から利用されていた単位で、現在でも主にアメリカを中心に利用されています。

ちなみに、1ヤードはメートルに換算すると0.9144mで、その3分の1が1フィート(0.3048m)、さらにその12分の1が1インチ(0.0254m=2.54cm)となります。

かつてゴルフ場をすべてメートル表示にしたこともあったのですが、それ以前のヤード表示に慣れていたゴルファーたちから苦情が相次いだために、再びヤード表示に戻しています。

■ まとめ

私たちがよく使っている「メートル(m)」という長さの単位。
かつては地球1周の長さをもとにして定められていましたが、現在ではより正確に求めるため、光の速度と時間の関係性を使って定義されています。

とはいえ、そのような定義になったのは今からわずか30年前のことだったのです。

(文/TERA)

●著者プロフィール
小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

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