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創業122年の歴史を誇る街のそば屋「あさだ」―手間ひまかけた小柱のかき揚げが人気「天もり」850円

小柱かき揚げが人気の「天もり」850円

まずもって、その店構えにひかれる店である。近代的なオフィスビルが建ち並ぶ一角に佇む戦後のなごり。ひところ流行った昭和レトロなどという作り物ではなく、完全なる戦後からの時間が現在進行形で刻まれている店。店内に入ると、その印象は一層強くなるだろう。

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聞けば終戦後間もない建物のままで、創業はなんと明治25(1892)年というから八丁堀で122年の歴史を刻むそば店である。

「いや、単に古いだけの店ですよ」と謙遜するのは4代目の中田暉(なかだ・あきら)さん(72)。そうはいっても、家族経営の街のそば屋が移り変わりの激しい東京でこれだけ続くのは並大抵のことではない。現在は5代目になる息子と、その嫁とで店を切り盛りしている。

●茶そばではない(?)茶そば
文化財級の店舗もさることながら、ここ「あさだ」のそばで特徴的なのは、出されるそばが茶そばのみだということ。「本来はこれ、茶そばじゃないんですよね」と謎めいたことをいうご主人。

聞けば、その起こりは終戦直後、製粉事情も悪く粗悪な小麦粉が多く品不足だった時代に、少しでもうまいそばを提供しようと思い、茶の粉を混ぜたのが以来、伝統となったという。

その後、茶そばを出すそば屋として評判になってきたことから、京都伏見の抹茶を打ち込むようになっているが、ご主人の美学としては茶そばではないらしいところもおもしろい。

●手間ひまかけた小柱のかき揚げが人気
人気の品は、小柱のかき揚げと海老天のいずれが選べる「天もり」850円。中ぶりな海老2匹が付く海老天より、常連客の注文は圧倒的にかき揚げが多い。大ぶりな蕎麦猪口に半身を沈めたかき揚げは、むっちりした歯応えの小柱がぎっしり詰まっており人気の理由も納得。

「小柱は砂や汚れの洗い出しなど海老よりずっと手間ひまがかかるから、もっと海老が売れてほしいんだけど、お客さんはよく分かっていらっしゃる」と笑う、ご主人。そば粉7割・つなぎ3割を基本に店で打つ中細のそばは、のど越しなめらかでコシの強い逸品。

抹茶の色合いも鮮やかで、目でも楽しめることはいうまでもない。
つゆはカツオのほか醤油と砂糖、みりんだけで味を決めており、昆布も化学調味料も使わない昔ながらのやり方だ。やや甘口ながら変なクセもなく、どっしりとした味わいで茶そばをたっぷりとつけていただくのが正しい。小柱は5~6月にかけて、身も太くなり、まさに旬。

「うどん、丼物もありますが注文の95%以上がそば」と笑う、ご主人。界隈の街そば屋としては良心的な値付けで個性あふれる茶そばを、歴史を感じつつ味わってみたい。

【店舗データ】
店名:あさだ
所在地:東京都中央区八丁堀3-21-6
営業時間:11:00~19:30
定休日:土・日・祝
【その他メニュー名 価格】
・もりそば500円
・かしわ南ばん850円
・冷とろろそば900円
※ドリンク=日本酒550円、ビール550円

※この記事は2014年05月06日に公開されたものです

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