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産後入院ってなに?「出産後、専門家の力を借りて子育てを学べる」

近年、痛ましい児童虐待のニュースは減ることがない。なかでも、自分の子どもに対する育児放棄(ネグレクト)は年々増加の傾向にある。

【いざ入院というときやるべき「お金」のこと】

その原因のひとつに、育児が孤独であることが挙げられる。高齢出産や核家族が増え、さらには親戚同士の付き合いが少なくなった現代では、育児で困ったときに年長者を頼ることができにくくなっているからだ。

そこで登場したのが産後入院だ。ここでは産後のからだをケアしつつ、専門家の力を借りて子育てを学べる。育児に自信を持って退院すれば、虐待など無縁の幸せな家庭が築けるのだ。

産後ケアセンターは新米ママの味方!

ひとは自分の気持ちが相手に通じないときに孤独を感じる。とくに、まだ会話できない赤ちゃんとの意思疎通は難しくて当たり前だ。次第に、うまくいかない育児にストレスが溜まってしまい、産後うつや育児放棄などの悲しい状況へ導かれてしまうのである。

厚生労働省の資料によると、平成20年の児童虐待相談は4万2千件にものぼる。虐待者の内訳をみると、

・実父 … 24.9%

・実母 … 60.5%

と、目を疑いたくなるような結果となっている。愛憎のことば通り、血肉を分けた母親こそが、虐待者になりやすいのだ。

それを防ぐのが産後入院だ。出産後も入院を続け、産後のからだを休めつつ体調変化と上手に向き合いながら育児指導を受ける。それが可能な施設は「産後ケアセンター」と呼ばれ、助産師を中心に臨床心理士や看護師などが24時間体制でケアに当たってくれるのだ。

入院中は、栄養バランスを考えた食事が提供され、ときには赤ちゃんを預けてゆっくり眠ることもできるので、産後のからだが大きく変化する時期に、慣れない育児と家事の板挟みになることがない。実家や親戚を頼ることができない場合でも、きちんと休養が取れるため、気持ちに余裕を持って過ごすことができるようになる。

多くの人が抱える悩みに、母乳の問題がある。たくさん出してあげたいのにもかかわらず思うように出ない、そんな精神的な焦りから、さらに出にくくなってしまうパターンが多い。産後ケアセンターでは、母乳のケアもしてくれるため、きちんと出るうえに、乳腺炎にもなりにくいのだ。

たくさんの母乳を赤ちゃんにあげることができるのは、母として一番の自信につながるだろう。

問題は入院費

産後ケアセンターは保険適用外のため、1泊でも数万円と高額な費用がネックだ。

出産にかかる費用は平均45~50万円で、ほとんどは補助されるとはいえ、これから子どもを育てていくうえで、できるだけ出費は抑えたい。良いとわかっている産後入院だが、手が届きにくいのが現状だ。

そこで自治体も少しずつ動き始め、たとえば横浜市は、2013年10月から市内8カ所の助産院への産後入院費用を補助する制度を始めた。正規料金の13パーセント程度と、格段と利用しやすくなったのだ。世田谷区では、武蔵野大学に委託し産後入院専門の施設「産後ケアセンター桜新町」を開設した。

区民なら利用料の9割が補助され、1泊2日6,400円でカウンセリングや指導を受けながら、からだを休めることができるのである。

厚生労働省による出産育児一時金の支給額も年々増額され、市区町村も産後入院に注目し始めている。少しずつではあるが、子どもを産みやすく育てやすい環境へと変化してきているのだ。

まとめ

・児童虐待のおよそ6割は、母親による

・上手に育児できないストレスが、虐待の大きな原因

・産後入院で、からだを休めながら育児が学べる

・費用を負担する市区町村が増加中

子どもを産み育てることが、女性にとって肉体的にも精神的にもハードルの高いことであってはいけない。

子育てって楽しい!と思える環境こそが自然だ。家族が笑顔で過ごすことができる世の中であれば、悲しい事件も減ってゆくだろう。

(沼田 有希/ガリレオワークス)

※この記事は2014年03月20日に公開されたものです

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