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蒸したほうが栄養は失われる!? 常識がかわる野菜・魚・肉、調理法による栄養価の違いは?

料理の主な調理法といえば「蒸す」「焼く」「煮る」「揚げる」ですが、「面倒だから揚げ物はやらない」「焼くことが多い」など、同じような調理法に偏っている人もいるのでは?

しかし、栄養素の中には熱に弱かったり、油に溶け出しやすかったりするものもあります。調理法によっては食材が本来もつ栄養が溶け出してしまうこともあるそうです。そこで、野菜・肉・魚それぞれの栄養が奪われやすい調理方法を、管理栄養士の岸麻衣子さん(渋谷DSクリニック)に教えてもらいました。

「たとえば野菜と一概に言っても、食材によって持ち合わせている栄養素は異なります。また各栄養素によって、調理法の影響も異なるもの。そのため、以下の一定の条件を前提として比較します」と岸さん。

・切り方によって栄養の損なわれやすさが変わるため、全食材において一口大を基準とします
・煮物は食材のみを食べるものとします(煮魚を含む。煮汁は食べない)
・「焼く」というのは、油を使用しないグリルで比較します
・「揚げる」とは、衣はつけない素揚げを指します
・塩、砂糖などの調味料は加えないで調理したとします

それでは、もっとも効果的な調理法を発表します!

<栄養を損なわない、一番効果的な調理法>

○葉物野菜、青魚、赤身魚……蒸す
○一口大に切ることのできる野菜、白身魚、肉類……揚げる

※全食材がこの順位に当てはまるわけではありません

「野菜」にベストマッチな調理法は、火が通りやすいかどうかで決まる

野菜にとって効果的な調理法は、火が通りやすいかどうかによって決まるそうです。

「ほうれん草や小松菜、白菜など、火の通りやすい葉物野菜は蒸すのがベストです。次いで、揚げる、焼く、煮るの順となります。葉物野菜にはビタミンCのような熱に弱い水溶性ビタミンを含むものが多いので、これらの栄養の溶出を防ぐには、蒸すのが最適ですね。

サツマイモ、レンコン、かぼちゃなどの火の通りにくい野菜は、蒸すよりも揚げたほうがいいでしょう。なぜなら、一口大に切ることができる野菜は、ビタミンAのような熱に強い脂溶性ビタミンが豊富なものが多いから。これらのビタミンは加熱調理による損失が少なく、油と一緒に調理すると吸収率が高まるため、揚げるのがおすすめです」

蒸し野菜こそ栄養価が保たれているイメージですが、それは葉物野菜のみに当てはまるのですね。

さらに、白菜やほうれん草など繊維を切ってしまう野菜は、栄養を損なわないために「繊維に沿って切ると良い」とのこと。「大きめに切る方が栄養素は逃れにくいです。また、加熱しすぎないこともひとつの方法ですね」と岸さん。調理法だけでなく、切り方や大きさにも注意しましょう。

「魚」青魚と赤身魚 vs 白身魚

魚の調理法は
(1)青魚と赤身魚
(2)白身魚
という括りで大まかに含まれている栄養素が異なるため、それぞれ栄養素を逃さないための調理法も変わります。

(1)青魚と赤身魚

1 蒸す
2 揚げる
3 焼く
4 煮る

の順番で調理による栄養流出が少ないそう。これらの魚にはビタミンEが豊富に含まれていて、これは脂溶性のビタミンなので、油に溶け出しやすいため。サンマは焼き魚の定番ですが、第3位と栄養素は奪われやすいなんて、知らなかった人も多いのでは?

「魚から摂取しやすいEPAやDHAは、加熱では失われないものの油とともに落ちてしまいます。今回は素材そのものの栄養を比較しているのでこのような結果になりましたが、効率的に摂取するのであれば、煮物にして煮汁とともに食べるといいですね」

(2)白身魚

1 揚げる
2 蒸す、または、焼く(ほぼ変わりません)
4 煮る

一方、白身魚はタウリンが豊富ですが熱に強いためこのような順番が適しているとのこと。

ちなみに、「圧力鍋による調理は栄養素の失活が大きいですが、通常摂取しにくい『カルシウム』が骨ごと食べられるようになるというメリットがあるため注目です」といいます。カルシウムを多くとりたい場合は圧力鍋調理を心掛けるなど、求めている栄養素に合わせて調理法も工夫したいですね。

「肉」の鉄分は煮汁と一緒にとる

1 揚げる
2 焼く
3 蒸す
4 煮る

「肉」に含まれる脂溶性ビタミンA、ビタミンE、ビタミンKと、ミネラルは熱に強いため、揚げたり、焼いたりしても大丈夫だそう。これは、牛、豚、鶏のいずれも変わりません。肉は焼いて食べることが多いですが、揚げるほうが保たれやすいのですね。

「肉から多く摂取できる鉄分は煮ると落ちやすいので、そのときには煮汁も一緒にとりましょう」。鉄分は女性にとって大事な栄養素。鍋や煮物にするときには、煮汁も一緒にしっかりとりたいですね。

まとめ

「食事同様、偏りなく、いろんな方法で調理をしたほうがいいです」と岸さん。調理法を1つに絞ってしまっても、摂取できる栄養素が偏ってしまうそう。今回の結果を参考に、さまざまな調理法で食事を楽しみましょう。

参考文献 『食材を活かす調理学』(アイケイコーポレーション)

「医療痩身専門クリニック」渋谷DSクリニック
専門医師を始め、管理栄養士・漢方薬剤師・整体師・看護師・施術者によるトータルサポートで、医学的根拠に基づいた健康的なスタイルづくりを提案。最新3D身体測定器や超音波皮脂厚計、体質遺伝子検査などを用い、一人ひとりに合わせたオーダーメイドプランを作成している。初の監修書籍『ダイエット専門クリニックが教える 正しいダイエットメソッド』(成美堂出版)刊行
http://www.dsclinic.jp/cnt/bookkansyu/

(OFFICE-SANGA)

※この記事は2014年03月17日に公開されたものです

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