大学生、”主体的な授業”でも受身傾向に。教員・保護者への依存も強まる
ベネッセコーポレーションの社内シンクタンク「ベネッセ教育研究開発センター」は、全国の大学1~4年生4,911人を対象に、大学での学習や生活に関する意識・実態について調査を実施。その結果、「主体的な授業」は増えているものの受け身な学生が多く、教員・保護者への依存傾向も強まっていることがわかった。調査期間は2012年11月3日~8日。
●主体的な参加が必要な授業を経験している学生が増加
「ディスカッションの機会を取り入れた授業(54.2%)」、「教室外で体験的な活動や実習を行う授業(39.1%)」、「プレゼンテーションの機会を取り入れた授業(57.6%)」といった、学生の主体的な参加が必要な授業(アクティブ・ラーニング=能動的学修型授業)の、経験割合(いずれも、「よくあった」+「ある程度あった」の%)は、08年度比でそれぞれ7ポイント前後増加している。
●授業に受け身な姿勢の学生が多く「主体的な学び」に転換していない
授業に対しては、「あまり興味がなくても単位を楽にとれる授業がよい(54.8%)」とする割合が、5.9ポイント上昇し半数を超えた。また、学生が調べ発表する演習形式の授業より、「教員が知識・技術を教える講義形式の授業が多い方がよい(83.3%)」とする割合も依然として高い値となっている。
●保護者への依存が増加。男子にその傾向が顕著
「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」とする学生が、08年度比5.8ポイント増で45.9%。「困ったことがあると、保護者が助けてくれる(49%)」とする割合は7.2ポイント増でいずれも5割近くとなった。
性別にみると、「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」とする割合は男子7.6ポイント増の43.2%、女子は2.8ポイント増の49.5%。女子の方が全体の割合は高いものの差は縮小しつつある。
さらに、大学に対しても「学生生活については、大学の教員が指導・支援するほうがよい」とする割合が14.7ポイント増え、30%となった。
同社では、学生の学びに対する姿勢が受け身になっている傾向について「授業の形式に加えて、学生の意欲を喚起する教授方法のあり方や、大学・学部全体としてどのように位置付けるのが効果的なのかということを考えていくことが重要だ」とコメント。
また、学生の自立に関しても「大学の努力だけでなく、社会や家庭においても自立に向けた関わり方はどうあるべきか、見直してみることが必要」とまとめている。
※この記事は2013年04月23日に公開されたものです