今回の相談者は現在、貯蓄があまりないまま、産休・育休期間に突入してしまったといううりみさん。とはいえ、10年後の娘が小学校に入るまでにはマイホームがほしいと思っており、夫のボーナスを全額貯金にまわすなど、節約をがんばっているそう。夢をかなえるための家計改善のポイントをFP花輪陽子さんに聞いてみました。(取材・文/島影真奈美)
※うりみさん前編は
編集部 目的さえあれば、多少のストレスはたまるものの、ストイックな生活にも耐えられるという、うりみさん。現在は実家の別棟を借りて生活。あと10年くらいでなんとか頭金を貯めて、マイホーム購入に踏み切りたいと考えているようです。
花輪陽子(以下、花輪) 物件の予算なども具体的に決まっているんでしょうか。
編集部 希望は新築・一軒家で価格帯としては3,500~4,000万円、頭金として2,000万円ぐらい貯めたいと考えているとか。
花輪陽子 かなり多めに頭金を用意する予定なんですね。
編集部 一般的にはどれくらい用意するものなんですか?
花輪陽子 家を買うときは物件購入にかかる費用以外に、権利登記の費用や火災保険など諸費用がかかります。頭金としては、ほしい物件の3割程度を貯めておけばほぼ間違いありません。
編集部 3,500万円~4,000万円の物件だと、1,100~1,200万円あれば安心、ということですね。
花輪 もちろん、頭金を多く貯められるのであれば、それにこしたことはないのですが、ボーナスを全額貯金にまわすとなると、ご主人の不満が溜まりそうなのが心配です。
編集部 なるべく無理のない資金計画をたてたほうが、貯蓄も長続きするものでしょうか。
花輪 月々のローン返済額は、手取り月収の20~25%が目安になります。貯蓄も大切ですが、しっかり職場復帰し、これまで通りの収入を取り戻すのが先決かもしれません。
編集部 うりみさんが希望するローン返済期間は20年以内。定年を迎える前に返済し終えたいそう。
花輪 定年までにローンを返済し終えたいという希望があるなら、なおさら頭金を増やすことにこだわるのではなく、身の丈にあった貯蓄額を目指すことをオススメします。余裕を持って資金計画をたてれば、繰り上げ返済という選択肢もありますよ。
編集部 マイホーム資金を貯める上で、ほかにはどんなことに気をつければいいでしょうか?
花輪 家計の中でずば抜けて金額が増えているものに、保険料(月々2万円)があります。こちらの保障内容は……?
編集部 生命保険が月々1万5,000円、医療保険が月々5,000円で掛け捨てタイプだとか。
花輪 一般的にも、うりみさん同様、出産を機に保険をランクアップする方は少なくありません。ただ、貯蓄性がないタイプだとすると、少々高いですね。もし、保険について調べることが苦にならないならば、ネット生保などを組み合わせると、さらに安くあがると思いますよ。
編集部 食費もトータルの金額は変わらないのですが、産休中は食費3万5,000円、外食費5,000円だったのが、現在は食費・外食費ともに2万円。夫が平日は帰りが遅いため、外食が増えたのと、夫の実家に帰るときも、やはり外食の頻度が高くなるのが原因だそう。
花輪 子どもが小さいうちは手もかかりますし、ある程度、出費がかさむのは仕方ないとしても、夫婦2人で食費4万円はかなり使っているほうだと言えます。「菓子パンが好きなので、毎日1個買って食べる」などの食習慣は健康のためにも見直したいですね。そして、現状、うりみさんの支出に「自分のための出費」「家計」が混ざっている点は考えもの。現状の出費項目・金額を洗い出し、家計を月にいくら使っているのか把握することが、現実的なマネープラン策定への第一歩です。
マイホーム資金を貯めるなら、先取り貯蓄が必須
余ったお金でお金を貯めようと思っても、なかなか貯蓄できないものです。まずは「手取り月収の25~30%」を目安に先取り貯蓄をして、残ったお金で生活してみましょう。極端な節約に走るのではなく、日常の中で無駄なコストをカットし、家計をスリムにしていくのがポイント。現金で使うぶんは1カ月に1回まとめて引き出し、ポーチや財布などを使って予算管理するのもオススメです。(花輪陽子)