愛の種類は8つある？ アガペー・マニアなど代表的な愛について紹介
「愛」と聞くと、恋愛をイメージする人は多いでしょう。しかし、愛にはさまざまな種類が存在するのです。その種類については、ギリシャ時代の時点で考えられていたといわれています。本記事ではアガペー・マニアなど代表的な愛の種類について解説します。
普段なにげなく使っている「愛」という言葉。愛とは「他者といつくしみ合う気持ち」「特定の人を愛しく慕う気持ち」を意味します。「人が人を思うかけがえのない感情」といっても良いでしょう。
そんな愛は、使う人や向けられる対象によって込められた意味が大きく変わる言葉でもあります。
実際、「エロス」「アガペー」「ストルゲー」といったさまざまな種類の愛が古くから提唱されており、現代まで語り継がれています。
これらの愛について知ることは、私たちが経験してきた愛や今抱いている感情について知るのに役立ちそうです。そこで今回は、代表的な8種類の愛を紹介します。
愛の種類8つ
それではさっそく、代表的な8種類の愛を見ていきましょう。愛の種類については諸説ありますが、本記事ではその一部を紹介します。
（1）エロス（肉体的な愛）
「エロス」は聞いたことのある人が多いでしょう。これはギリシャ神話において恋愛を司る神である「エロース」に由来しています。
エロスは肉体的つながりを重視するタイプの愛。現代における恋愛でもしばしば見出されます。
一方、肉体的つながりをもって恋人へ夢中になると理性を失いかねないため、古代ギリシャにおいてエロスはやや危険な愛とみなされていたようです。
（2）フィリア（友人同士の深い愛）
フィリアは友人同士の深い愛を意味します。信頼に基づき精神的に強くつながったり、困難な時期を一緒に乗り越えたりした相手との間に生じるとされています。
例えば、部活や受験など学生時代の苦難を共に乗り越え、喜びを共有し合った仲間との間に芽生える深い愛情はフィリアといって良いでしょう。
フィリアに基づきお互いを信頼し合う関係は、長く続く可能性が高いといわれています。
（3）ルダス（遊びの愛）
ルダスとは遊びの愛を指し、恋愛の駆け引きをゲームのように楽しみます。
例えば、相手を次々乗り換えたり同時進行で複数の人と付き合ったり。そのために相手をだますこともあります。
ルダスでは「恋愛は楽しむもの」と考えるので、「自由に過ごしたい」「束縛されたくない」といったスタンスが特徴です。また、特定の相手に執着しないため、嫉妬や独占欲を示すことはあまりないでしょう。
世にいう「都合の良い関係」はルダスの上に成り立っているのかもしれませんね。
（4）アガペー（無償の愛）
アガペーは相手に見返りを求めない無償の愛のこと。キリスト教では、神の人間への愛と定義されています。
肉体的なつながりにとらわれない精神的な愛で、時に自己犠牲を伴う場合も。また、アガペーの背景には相手への深い共感や受容も存在します。
日常生活ではなかなか見出されない感情かもしれませんが、だからこそ尊いともいえますね。
（5）プラグマ（実用的な愛）
プラグマは実用的な愛を意味します。プラグマでは恋愛を自分の目的達成の手段として考えるのが特徴。
例えば、「付き合っていると仕事上有利な相手と交際する」といった恋愛はプラグマといえます。
このように、相手への純粋な好意ではなく成し遂げたいことのために恋愛するのがプラグマなのです。
（6）フィラウティア（自己愛）
フィラウティアとは、自己愛のこと。
自己愛というと、ネガティブな意味での自己陶酔をイメージする人はいるかもしれません。しかし、自分を愛せる余裕がないと、他人を愛するのは難しいもの。自己愛は、決して悪いものではないのです。
ただし、「ナルシシズム」といわれるレベルの自己陶酔に陥ると、自己中心的な考えになるなど悪い面も出てくるでしょう。
そうならないためには、自分を大切にすることと自分に酔うことの区別をつけるのが重要です。
（7）ストルゲー（家族愛）
ストルゲーとは、家族愛のこと。
家族愛とはいっても、親子や兄弟姉妹だけでなく昔から家族同然の付き合いをしていた友人との間にも育まれます。また、同じ国や企業、スポーツチームに所属する仲間の間にも生まれるのだとか。
ストルゲーはお互いを信じる気持ちや安心感、「助け合いたい」という気持ちに反映されます。
（8）マニア（偏執狂的な愛）
マニアという言葉は一般に普及していますが、愛の種類におけるマニアとは意味合いが異なります。
マニアは熱狂的かつ偏執的な愛です。マニアにとらわれている間は情緒が安定せず、恋愛の楽しい感覚と苦しい感覚が交互に訪れるとされています。
また、独占欲が強く嫉妬深くなるため、恋人からの愛情をいつも確認できないと不安を感じるでしょう。
マニアを抱いている人同士が恋に落ちると、お互いに依存するなど不健全な関係になる場合もあります。
あなたが経験した愛の種類は？
一口に愛といっても、対象や背景によってさまざまな意味を持ちます。
例えば、「相手に求める愛」もあれば「相手に与える愛」もあります。また、「条件付きの愛」もあれば「無償の愛」もあります。
さまざまな愛があるからこそ、人間関係において幸せを生み出すことも、憎悪を生むこともできてしまうのです。「かわいさ余って憎さ百倍」という言葉があることからも、想像できますよね。
そんな複雑な愛について理解するのは、簡単ではありません。しかし、本記事を参考に自分が経験してきた愛や今抱いている感情について考察してみるのは意義があることといえるでしょう。
（AKI SHOJI）
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