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『リトル・フォレスト』から学ぶ、身近なことから趣味を見つける方法

#金曜夜の映画トリップ

トモマツユキ

映画のなかにはいろいろな人生が存在し、自分では経験することができない世界がたくさんあります。そんなめくるめく映画の世界を、映画好きイラストレーターのトモマツユキさんが紹介。金曜夜は、映画の世界にトリップして、非日常を体験してみてはいかがでしょうか?

嬉し楽しいゴールデンウィークがやってきました! しかし、意外と友人と予定が合わなかったり、大型連休は旅行も高かったり、どこへ行っても混んでるんですよね……。

日頃から趣味がある人はこの休みを利用して楽しく過ごせると思いますが、趣味がなくてすることがない……なんて方もいらっしゃるのでは?

今回はそんなすることがなくて休日を無駄に過ごしてしまうと感じている人に観て欲しい映画『リトル・フォレスト』をご紹介します。

田舎の小さな集落でひとりスローライフ

『リトル・フォレスト』の主人公は、東北地方のとある村の中にある小さな集落“小森”に住むいち子(橋本愛)。

一度、都会で男の人と暮らしたこともありましたが、恋愛も人間関係もうまくいかず、小森に戻ってきて、母が残した小森の家で一人暮らしをしています。

いち子の家は山の上にあり、集落の中央にある小さなスーパーや商店まで行くのも一苦労。隣町の大型店舗に買い物に行くとしたら1日がかりになってしまうような、人里離れた場所に住んでいます。

そんないち子が畑で野菜や米を作り、山で木の実や山菜を採り、たまに日雇いで仕事を手伝いながら自給自足のような生活をしている様子を、春夏秋冬の4部構成で、『夏・秋』編、『冬・春』編の2作品に分けて上映されたのが、『リトル・フォレスト』です。

生きるために食べるということ

物語の大きな起伏はあまりない映画ですが、野菜を収穫したり、料理したりするシーンの美しさと心地よいBGMがとてもすてきで、いち子の生活を一度は体験してみたいと思うはず。

作中に登場する田舎のお家にぴったりな、素朴ながらもセンスのある調理道具やインテリア。おしゃれな食器に盛りつけられた料理は、どれも味を想像しては唾を飲み込むほど美味しそう!

生活音や料理の音がさらに食欲をそそるので、この映画を観る時はヘッドホンをつけることを推奨します。

ここまでの話だと、のほほんとしたスローライフを描いた映画だと思われてしまうかもしれませんが、美味しそうな料理を楽しむ映画や、自給自足の生活を美化した映画ではなく、雪が多くて作物が育たない冬に備えて、春・夏・秋に食材を準備する大変さがしっかりと描かれた作品となっています。

毎年同じ作業の繰り返しのように見えて、気候が悪くうまく育たなかったり、雨を心配しすぎて作りすぎてしまったりと、同じようにはいかない様子は、美化されていない現実の姿。

暑い日でも寒い日でも食材の手入れをして、食材を長期間食べれるように加工する。そして、生き物を自ら絞めて、命の重さを感じる。

「食べて生きる」ためには、誰かが「食材を作っている」こと。

そして、その大変さを実感することができる映画です。

とにかく自分でやってみる

「言葉はあてにならないけれど、私の体が感じたことなら信じられる」

(『リトル・フォレスト 夏・秋』より引用)

私が今回のテーマでこの映画を選んだ理由は、何でも自分でやってみないと気が済まない、いち子のセリフに共感したからです。

私は小さい頃から好奇心旺盛で、今までの人生で、やることがなくて暇だと感じたことがほとんどないのですが、やってみてすぐやめたことや、熱狂的にハマっていたのに、急に飽きたこともたくさんあります。

始める理由は、流行ってるからとか、周りがやってるからとかでも良いと思います。実際にやってみたら自分に合わないこともたくさんあるでしょう。それなら無理して続けなくってもいいんです。自分で繰り返し、繰り返しやってみて、続けたいと思えることが、いつしか自分の人生に欠かせないことになっていくんだと思います。

いち子は生きるために自給自足をしていますが、あの生活が肌に合わない人なら絶対に無理! 私だったら生きるために就職して、スーパーの近くに引っ越すと思います(笑)。

ある意味、生活すること自体が、いち子にとっての趣味なんです。

わざわざ習い事をしたりしなくても、料理や家事など身近な生活の中に、自分が人よりこだわれることが見つかるかもしれません。

まずは気軽な気持ちで、いつもとは違う食材を買ってきて丁寧に料理をしてみる……なんかもいいかもですね!

自分の「好き」を見つけよう

何をしたらいいかわからない時、自分の中の「好き」や「興味」を見つける一番早い方法は、とにかく映画を観たり、本を読むことだと思います

でもそれは、あなた自身の体験ではなくて、他人が感じたことの集合体を見ているだけ。

見て知った気になるのではなく、自分の知識を広げる中で興味を持てることがあれば、実際に挑戦してみる。そうすると自分の世界がもっと広がるはずです!

ゴールデンウィークは、観ようと思っていた映画や、積読になっていた本を読むところから始めて見ると良いかもしれませんね♪

(文・イラスト:トモマツユキ)

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