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自分に自信がない原因は「親」? 自信を持つための7つの方法

笹氣健治(心理カウンセラー)

「自分に自信を持てない原因は親にあるのではないか」と感じている人もいるでしょう。この記事では、自分に自信を持てなくなる原因は親なのか、またどうすれば自信を持てるようになるか、心理カウンセラーの笹氣健治さんに解説してもらいます。

プレゼンをしなければならなくなった。

厄介な交渉を担当することになってしまった。

プロジェクトリーダーに指名された。

あなたがこのような状況になったら、どう感じますか? 「気が重い」「逃げ出したい」と思ってしまうでしょうか?

あるいは、彼氏や彼女が欲しいと思いつつ、「こんな私なんて誰も好きになってくれないだろうな」と諦めている、なんてことはありませんか?

もしそうなら、あなたは自分にあまり自信がないのかもしれません。

「自分に自信がない」という人の中には、「もしかして親の影響なのでは?」と考えている人もいるでしょう。

確かに、親の言動が子どもの性格形成に影響を与えるという心理学の理論もあります。この理論については、本文で紹介します。

そこで本コラムでは、子どもの自信に影響を与える親子関係について理解を深めながら、どうすれば自信を持てるようになるか解説していきます。

「自分に自信がない」とはどんな状態をいう?

さて、最初に確認しておきたいのが「自分に自信が持てない」とはどういう心理状態なのか、についてです。

まずは、自信がある人とない人、それぞれの特徴を見ていきましょう。

自分に自信がある人は自己肯定感が高い

自分に自信がないという心理状態を理解するために、正反対の「自分に自信がある人」について考えてみましょう。

自分に自信がある人とは、常に堂々としていて、失敗を恐れず積極的にチャレンジする人といえるでしょう。

失敗してもくよくよせず、「ダメならまた頑張ればいいや」と割り切って考える傾向があります。

これができるのは、「どんなことがあっても自分は大丈夫だ」といった自己肯定感を持っているからだと考えられます。

自信を持つには能力や実績も大切ですが、「自分で自分を肯定できているかどうか」も強く影響するのです。

自分に自信がない人は自己否定的な傾向がある

自分に自信を持てない人は、どこかビクビクしているところがあり、行動が消極的になりがちです。また、失敗を必要以上に恐れ、失敗するといつまでも引きずってしまう傾向があるようです。

そうなってしまうのは、「私は周りの人のようにうまくできない」「私には能力が足りない」といった自己否定感を持っているからだと考えられます。

こういう人は、心のどこかに「私は常にうまくできなければならない」「私は絶対に失敗してはいけない」といった意識があるのかもしれません。

その意識が強いと「うまくできなかったらどうしよう」「失敗したらどうしよう」という不安や恐れにつながる場合があります。

そして、その不安や恐れで頭の中がいっぱいになるとさらに自己否定感が強くなり、「やっぱり自分には無理だ」というように自信を持てなくなるのです。

自分に自信がない原因は「親」?

一体なぜ自己否定的になったり、自信を失ったりしてしまうのでしょうか?

その理由を、交流分析という心理学の理論をもとに考えてみましょう。

子ども時代の親との関係が性格に影響する

交流分析とは、精神科医エリック・バーンによって提唱された、コミュニケーションと人間心理の関係についての理論です。

交流分析では、人の性格形成は子ども時代の親(保護者)との関係に原因があると考えます。

例えば、「厳しく育てられたか自由放任で育てられたかによって、子どもは異なる性格になる」ということです。

ただし、親が厳しかったから子どもが自律的になり、放任されたからわがままになる、といった単純な話ではありません。

ポイントとなるのは、「親の態度を子どもがどう受け止めたか」です。

子どもが親の言動を自分なりに受け取った結果として性格が形成されるため、親の言動が全て直接的な影響を与えるわけではありません。

親の言動が子どもの性格形成に影響を与える例

例えば、小さな子どもが工作をして遊んでいる時、横で見ていた親が「あなたは本当に不器用ね」と笑いながら言ったとします。

親としては冗談で言っただけでも、感受性豊かな子どもは「ダメ出しされた」と受け止めて傷つく可能性があるでしょう。

別の日に、今度は子どもがうまく工作できたのを見て、親が「あら、とっても上手ね」とニッコリほほ笑んだとします。

親としては、今回も特別な意図はなく、思ったことを素直に口にしただけです。しかし子どもは親の笑顔を見てうれしく思い、「上手に作るのは良いことだ」と受け止めるかもしれません。

同様のことが繰り返されると、子どもは幼いながらに「褒められるためには、うまくできなければならない」「うまくできないと、親が喜んでくれない」という人生の教訓を、自分の頭の中につくり上げる場合があります。

そして、その教訓通りに生きようとして「うまくやろう」「失敗しないようにしよう」と常に意識し、それが性格として定着していくことになるのです。

このような性格が形成されると、「うまくできなかったらどうしよう」「失敗したらどうしよう」という不安や恐れを感じ、自分に自信を持てなくなる可能性があります。

子どもが自信を持てない原因になる親の言動

子ども時代の親との関わりが、どのように自信を持てないことにつながっていくのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

自信が持てない原因になるかもしれない親の言動を以下に例示します。これらを参考にして、自身がどのケースに当てはまるか、またどう感じたかについて、ぜひ考えてみてください。

子どもの心の中でどんなことが起きているか知ると、自分の性格をより理解するのに役立ちます。

(1)満点に近い成績でも「あと少しだったのに」と残念がられた

せっかく頑張ったのに親から認めてもらえないことが続くと、子どもは自分で自分を肯定できなくなってしまう可能性があります。

親としては、「あなたはもっとできる子だ」という期待を込めて言ったつもりで悪気はないのかもしれませんが、子どもは以下のような教訓を心に深く刻む場合があります。

「もっと頑張らなければならない」

「完璧を目指さなければならない」

「現状で満足してはいけない」

この教訓には、「今の自分のままではダメだ」という意味も含まれるため、これに従って生きると、常に自己否定的な意識を持ち続けることにつながりかねません。

(2)「お姉ちゃん(お兄ちゃん)なんだから我慢しなさい」と言われて育った

妹や弟の面倒を見てもらったり、家事を手伝ってもらったりなど、自分の苦労を軽減するために長女・長男を頼りたくなる親はいるでしょう。

そのため、下の子に手が掛かっている時はつい「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」「お兄ちゃんなんだからしっかりしなさい」などと言ってしまう親がいます。

親が大好きな長女・長男だと、親の期待に応えようと頑張り続ける可能性があります。

その中で、「親(周囲の人)の期待に応えなければならない」「常にしっかりしていなければならない」といった考えが、心の中に芽生えることもあるでしょう。

これは、「期待に応えられなければ、私はダメな人間ということだ」という考え方のベースになっています。

そのため、「他人の期待に応えようとして頑張ってもできなかった」という経験が重なると、自己否定しがちな性格になってしまうのです。

(3)外出の支度中に「もたもたしないの」とよく怒られた

支度に手間取る子どもを急かすのは、親にとってよくあることかもしれません。

しかし、「もたもたしないの」と言われた子どもは、「急がなければ怒られる」と受け止めることがあります。

それが繰り返されることで「もたもたしてはダメだ」「迷惑を掛けてはダメだ」といった考え方が身につくのです。

そして、大人になってからも「早くしなきゃ」「急がなきゃ」と自分で自分を急かしがちです。

仕事やプライベートで何かをする時に、早くやらないと不安やイライラを感じる人は、「急がなくちゃダメだ」という考え方がしみついている可能性が高いでしょう。

「早くしなきゃ」と自分を駆り立てつつ、それができない時に「自分はダメだ」と思うことを繰り返すので、なかなか自信を持てない傾向があります。

(4)親が自分に無関心だった

親に事情があってあまり構ってもらえなかった時、とても寂しく感じて親の愛を渇望するようになる子どもがいます。

あるいは、本当はそれなりに親との接触があったにも関わらず、何らかのきっかけで「私の親はちっとも構ってくれなかった」と思い込む子どももいるようです。

このような状況に置かれると、子どもは「自分は愛されていないのではないか?」「愛されていないのは、自分のせいなのかも?」と不安に思ってしまう場合があります。

その結果、親の関心を引くため「良い子になろう」と心に決めて、優等生を目指すようになる人もいるようです。

しかし、親は子どもに優等生であることを望んでいないかもしれません。この場合、いくら良い子でいても親の態度は変わらない可能性があります。

この時、「構ってもらえないのは、私がダメな子だからなんだ」「もっともっと良い子になって、構ってもらえるようにならなきゃ」と考え、今後も常に良い子であり続けようとする子どももいるでしょう。

そのうち、「親だけでなく周囲の人からも認めてもらうために良い子でいよう」というふうに考えが拡大していき、大人になってからも優等生であり続けようとする人もいます。

その努力の背後には、常に「私はダメな子だ」という自己否定的な意識が潜んでいるのです。

自信を持てるようになる7つのステップ

最後にいよいよ、自信を持てるようになる方法を紹介したいと思います。

ポイントは、自己否定的な思考パターンを変えることです。そのために役立つ考え方を、7つのステップにまとめました。

「自分に自信がない」と思った時は、順番に取り組んでみてください。

STEP1:自分が自己否定的になっていることを自覚する

私たちは普段、自分がどのような考え方をしているのか明確に意識していないことが多いです。

しかし、自分で自分の考え方を把握していなければ、それを変えることはできません。まずは、自分が自己否定をしていることに気づきましょう。

不安や恐れを抱いたり、「自分には無理だ」と思ったりした時には、まるで他人事のように自分を客観視して「ああ、自分は自己否定しているんだな」と自覚するように心掛けます。

STEP2:自己否定のプラス面とマイナス面を考える

自分に自信がない人は自己否定することに慣れてしまっているため、自分を肯定するよりも否定する方が居心地良く感じている傾向があります。

そういう人にとって、自己否定することにはメリットがあるのです。

例えば、積極的に行動しない理由になったり、責任ある仕事を任されないよう逃げるのに役立ったりします。

そのため、自己否定することは失敗して傷つくことから自分を守る上で好都合なのです。

しかし、当然ながら自己否定することにはさまざまなデメリットもあるわけですから、そこにも目を向ける必要があります。

例えば、自分を責めてつらい気持ちになってしまう、やりたいことに挑戦できない、などです。

自己否定することのプラス面とマイナス面を理解した上で、「今回は少し頑張って自己肯定することにチャレンジしてみようかな」と思えたら、次のステップに進みましょう。

STEP3:自分がどう自己否定しているか具体的に把握する

子どもが親と関わる中で、次のような人生の教訓をつくり上げる場合があることは既に述べました。

「もっと努力しなければならない」

「完璧を目指さなければならない」

「常にしっかりしていなければならない」

「他人の期待に応えなければならない」

「もたもたしてはダメだ」

「迷惑を掛けてはダメだ」

これらの教訓に従うことが、今までの人生における数々の場面で役立ってきたのは事実でしょう。

一方で、自分に自信が持てないことにつながっているのもまた事実ではないでしょうか。

「もしこの教訓通りにできなかったら、自分は誰からも愛されないダメな人間だ」という思考が不安や恐れを生み出し、自分で自分を信頼できない状態をつくり出しているのです。

自分に自信を持てるようになるには、この教訓に縛られている状態を解消する必要があります。

そのためにも、自分の頭の中にある「○○でなければならない」「○○してはダメだ」という教訓を具体的に把握することが重要です。

自分に自信が持てないことに気づいた時、頭の中にどのような教訓があり、どのように自己否定しているのかを探ってみてください。

STEP4:自己否定的な思考の誤りを正す

自分を縛っている教訓が分かったら、それが現在本当に役立つのかどうか、自己検証します。

「○○でなければならない」「○○してはダメだ」という理想があるのは悪いことではありませんが、人間は完璧ではないので常にそうできるとは限りません。

つまり、「絶対に」「常に」そうでなければいけない、ということはあり得ないのです。

ところが、教訓に縛られている時は「絶対に○○でなければならない」「常に○○してはダメだ」といったように、いつのまにか極端な考え方になってしまっています。

そのことに気づいたら、次のように教訓を言い換えてみましょう。

^「○○できる時もあれば、できない時もある」

「○○は努力目標であって、できない時があっても良いのだ」^

この言い換えは、自己否定的な思考の誤りを正すことにつながります。

こうやって自己否定の根拠を崩していくと、自己否定をする必要がないことに気づくでしょう。

今の自分は、もう親の顔色をうかがって生きる無力な子どもではありません。自立した大人として、子どもの自分がつくり上げた教訓を修正することができます。

その教訓が役に立つ時はこれからも十分に活用すれば良いですし、マイナスに働く時には、視野を広げて違う考え方で行動すれば良いのです。

STEP5:自分の存在価値に条件をつけない

自分がつくり上げた教訓に縛られているのは、「もしその通りにできなかったら、自分は誰からも愛されないダメな人間だ」などと無意識に思っているからです。

しかし、本当にそうでしょうか? 次はここにメスを入れます。

前述したように、子どもは親から愛されるため、認められるために、「○○でなければならない」「○○してはダメだ」という教訓をつくり上げました。

これには、当たっている部分とそうでない部分があります。

「○○ができれば愛される、認められる」というのは当たっているかもしれませんが、親はそもそも「○○できないと愛されない、認められない」と言っていません。

それなのに、なぜか頭の中では「○○できないと愛されない、認められない」という思い込みができ上がっているのです。

ここで、なぜそんなに愛されたいのか、認められたいのか、という点が重要になってきます。

愛されること、認められることは、自分自身の存在価値に関係しています。「愛される自分、認められる自分には存在価値がある」と私たちは思い込みがちです。

私たちは誰もが、自分に存在価値があるという証明を、心の中で強く求めています。自分自身の存在価値を実感することは、生きていく上で欠かすことのできない重要な感覚です。

だからこそ、自分の存在価値を感じようとして、自身でつくった教訓を従順に守ろうとしてしまうのです。

この思い込みを訂正するためには、次のように考えてみると良いでしょう。

^「私の行動は私の一部であって、私自身ではない」

「他人からの評価は私の一部分に関するものであって、私自身の存在価値とは無関係である」^

自分には無条件に存在価値があり、何があっても揺らぐことはありません。この真実を、常に忘れないようにしたいものです。

STEP6:ありのままの自分を肯定的に受け入れる

自分の存在価値を常に感じるためのもう1つの方法は、ありのままの自分を肯定的に受け入れることです。

そのためには、次のように考えてみることが役立ちます。

人間ですから失敗することもあります。
初めてやることが、うまくできないのは当然です。
以前はできたことが、今回はうまくできない場合もあります。
以前できた時と今回とでは、条件や環境が微妙に異なっています。

人は子どもながらに考えた教訓を大切にして生きていきます。
親の期待に応えよう、親を喜ばせようと、必死に考えた教訓です。
教訓通りに生きてきたことで、うまくいった時もあります。

一方、自分に自信を持てなくなってしまったかもしれません。
いずれにしろ、一生懸命に生きてきました。
つらいこともいろいろありましたが、なんとか乗り越えてきました。

なんて前向きで、強い存在なのでしょうか。
うまくできても、うまくできなくても、自分に存在価値があることには変わりありません。
自分には存在価値があると常に思えたら、とても素晴らしいことです。

STEP7:「どんなことがあっても自分は大丈夫だ」と思えることを目指す

冒頭で、自分に自信が持てる人は、「どんなことがあっても自分は大丈夫だ」といった自己肯定感を持っていると述べました。

この感覚は、成功体験を積むことで身についていきますが、ここまでの6つのステップを繰り返し行うことでも身につけられます。

自分に自信が持てるようになる最終ゴールは、「どんなことがあっても自分は大丈夫だ」と常に思えるようになることですので、日々それを意識してみてください。

長年に渡って自己否定してきた思考の癖はすぐに解消できませんが、ここで紹介した取り組みを繰り返すことで、確実に前進していくはずです。

あとは、本気で変わりたいかどうかという本人の決断にかかっています。

自分次第で自信を持つことができる

子ども時代に受けた親の影響で、自分に自信を持てなくなってしまうことがあります。

しかし、親の言動を受け止めた自分が、自信を持てない今の自分をつくり上げたのもまた事実でしょう。

だからこそ、自分次第で自信を持てるようになることは可能です。

そのためには、「何があっても自分は大丈夫だ」と常に思えることを目指しましょう。ありのままの自分を肯定的に受け入れることを意識してみてください。

きっと自信を持てるようになる日が来るはずです。

(笹氣健治)

※画像はイメージです

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