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先取り貯金が自動でできる? やり方と金額の目安を解説

片根竜哉

先取り貯金とは、給料が入ったら使う前に一定額を貯金に回すこと。自動的に貯金ができる方法もあるため、確実に貯金をしたい人におすすめです。今回ファイナンシャルプランナーの片根竜哉さんに、先取り貯金のやり方や金額の目安、コツを解説してもらいます。

「将来のためにお金は貯めておいた方が良い」とは分かっていても、実際に貯金を始めると思ったように貯まらない。そんな経験がある人は多いかもれません。

だからといって、宝くじを買ったり、複数の副業をして自分の時間を減らしたりするのはあまり良い方法とはいえません。それよりも、まず初めにやるべきことが「先取り貯金」です!

先取り貯金とは「給料から一定額を先に貯金する」こと

給料日にお給料が振り込まれて、カードの支払い、交際費等で好きなだけ使って、残った分を貯金する……という方法だと、貯金できない月もあるでしょう。

そんな時に「また来月頑張れば良いか」などと理由をつけて、結局貯金ができないまま、というのはよくあることです。

だからこそ、給料が入ったら先に貯金をして、残ったお金で生活をしていく。そうすることで、貯金が着実にできるだけではなく、計画的にお金を使えるようになって無駄使いが減っていきます。

先取り貯金の目安はいくら? 給料の何割まで?

目標がないまま何となく貯金をしても、達成感や充実感が得られません。

例えば、車の購入代金なのか、家の頭金なのか、何のための貯金かを明確にしましょう。その上で、いつまでにいくら貯めるか逆算し、達成までの年数や毎月の貯金額を決めていってください。

「貯金の習慣がなく、まとまった額を貯金し続ける自信がない」という人は、貯金を習慣化するためにまずは無理なく始められる金額として給料の1割を先取り貯金に回しましょう。それを3カ月、6カ月、1年……と続けていくことで、先取り貯金を習慣化できるはずです。

実際には、実家暮らし、一人暮らし、同棲中など、ライフスタイルによってどれくらいなら貯金に回せるか変わってきます。

しかし、まずは「給料の1割を貯金する」ということに慣れて、先取り貯金を習慣化することが大切です。

先取り貯金が自動でできる! おすすめの方法6種類

ひとくちに先取り貯金といっても、方法はいろいろあります。中には給料から天引きされて自動的に先取り貯金ができる方法もあるので、「自分の意思で貯金をする自信がない」という人は検討してみてください。

(1)自動積立定期預金

自動積立定期預金とは、あらかじめ自分で指定した金額を、普通預金口座から定期預金用の口座へ自動的に積み立てることです。

積み立て元を給料が振り込まれる口座に指定しておけば、給料が入った後にそこから一定額を自動で貯金できます。

銀行によってルールは異なりますが、金額の増減や追加入金ができる場合もあります。

メリット

給料のうちの一定額が自動で定期預金口座に積み立たてられるため、自分で振替をする手間がかかりません。また、普通預金よりは金利が良いです。

デメリット

普通預金より金利が良いとはいえ、お金を増やす効果はほぼ期待できません。

また、解約する場合は窓口で手続きしなければならない場合も多く、解約までに数営業日かかります。このように、お金が必要になった時すぐ引き出せないのがデメリットです。

(2)つみたてNISA

つみたてNISAは、少額から、長期的に積立投資ができる制度です。年間40万円までの範囲で、毎月自分で決めた金額を投資できます。

メリット

通常、投資で得られた利益には20%ほどの税金がかかりますが、つみたてNISAなら20年間は税金がかかりません。

つみたてNISAの銘柄は金融庁の基準に沿うものに限定されており、銘柄を1つ選ぶだけで複数の株式や債券などに投資をすることができます。

そのため、投資に慣れていない人でも比較的投資先の選定がしやすく、リスクの分散もしやすいといえます。

デメリット

あくまでも投資なので、市場の状況によっては元本割れ(保有資産が積み立てた金額よりも少なくなること)の可能性もあります。

また、つみたてNISAの銘柄は株の銘柄よりも種類が少ないです。決められた商品の範囲内でしか投資ができないため、投資上級者の中には物足りない人もいるかもしれません。

(3)iDeCo

国民年金や厚生年金、共済年金は、職種により加入する年金制度に違いはあるものの、日本に住んでいる全ての人に加入義務があります。これらに加入し、支払いをしていれば、将来年金(公的年金)を受け取ることができます。

この公的年金に加えて給付を受けられる私的年金制度の1つがiDeCoです。自分で積み立てて運用した掛金を、60歳以降に一定期間ごとの年金、または一時金として受け取ることができます。

メリット

iDeCoの掛金は、全て所得控除(=所得から差し引くことができる金額)の対象となります。

給与などの所得には所得税がかかります。また、所得が高くなるほど、住民税も高くなります。

iDeCoの掛金は所得控除の対象になるため、積み立てた金額を所得から差し引くことで計算上の所得が減り、その分支払うべき税金も少なくなります。

また、積み立てNISAと同じく運用して得られた利益は非課税で、将来年金や一時金として受け取る時も、それぞれ所得控除が受けられます。

デメリット

iDeCoは原則として60歳まで引き出しができません。「いざという時に崩す」ということはできませんので注意しましょう。

(4)社内預金

社内預金とは、会社が社員の給料の一部を天引きして預金するもので、会社が決めた利率にもとづいて利子がつきます。

会社の福利厚生の一環であるため、この制度がない会社で社内預金を利用できません。

メリット

労働基準法により、下限利率が0.5%と定められています。金融機関の定期預金の利率は0.01~0.1%程度なので、50倍ほど金利が高いことになります。

デメリット

元本保証がされていないため、預金を取り崩す時に預けた金額が丸々戻ってくるとは限りません。また、会社が倒産したら預けたお金が返ってこない可能性もあります。

(5)財形貯蓄

会社が給料の一部を天引きして、金融機関に貯金してくれるのが財形貯蓄です。

財形貯蓄には、用途を問わない一般財形貯蓄、家の購入を目的にした財形住宅貯蓄、60歳以降に年金として受け取るための財形年金貯蓄があります。

会社の福利厚生の一環であるため、この制度がない会社では財形貯蓄を利用できません。

メリット

給料から天引きされるため、確実に貯金をすることができます。

また、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄には、税金面での優遇(550万円までの貯蓄の利子は非課税)があります。

デメリット

普通預金と同じ程度の金利しかつかないため、お金を増やのには向いていません。

また、引き出す際は窓口で手続きをしなければいけない場合も多く、予約が必要なこともあるため、^急に資金が必要になった時にすぐ引き出すことができません。

もし転職した時、転職先に財形貯蓄制度がない場合、継続するには自分で手続きしなければならず手間がかかりというのもデメリットです。

(6)変額保険

変額保険とは、保険会社の資産運用の実績に応じて受け取れる保険金や解約返戻金、満期保険金が変動する生命保険のことです。

保険会社は、支払った保険料から、保険金の支払いや運用にかかる費用などを差し引いた資金を元手に株式や債券を中心に資産運用を行います。

変額保険には、一生涯続く終身型と、期間の定めがある有期型があります。

メリット

高度障害状態になった時に保障が受けられます。

また、年末調整などで控除の申請をする時に、支払った金額分の生命保険料控除が受けられます。

デメリット

解約返戻金は保険金額の保証がないため、元本割れのリスクもあります。

また、10年以内に解約した時は返戻金から一定の金額が差し引かれるため、払った保険料よりも返戻金が少なくなってしまいます。

先取り貯金を上手に続けるコツ2つ

ここからは、先取貯金を続けるためのコツを紹介します。

(1)無理のない金額を積み立てる

毎月の貯金額を高く設定しすぎると、生活費に回せる分が極端に少なくなり、貯金を切り崩すことになりかねません。

まずは、無理のない金額として給料の1割を貯金する習慣をつけることが大切です。

そして貯金を習慣化できてから、あとどれくらい貯金が増やせそうか、毎月の支出と見比べて金額を調整しましょう。

(2)目的別に口座を分ける

貯金する口座は、目的別に分けることがとっても大切です。

なぜならば、お金は無限にあるものではなく、目的をはっきりさせて区別しておかないと、将来必要な分まで使い切ってしまうリスクがあるからです。

そうならないよう、自分の目的にあった口座を設定していきましょう。

例えば、以下のように分けると良いでしょう。

短期的な貯金の口座

給料が振り込まれ、家賃や光熱費などの固定費が引かれる口座。何かあった時に生活できるよう、生活費の約6カ月分は置いておくことをおすすめします。

短期的な貯金の口座としては、自動積立定期預金、財形貯蓄、社内預金を考えておくと良いでしょう。

中期的な貯金の口座

この口座には、5~10年先に必要になるお金を貯金します。

中期的な貯金の口座としては、自動積立定期預金、財形貯蓄、社内預金、変額保険、つみたてNISAを考えておくと良いでしょう。

長期的な貯金の口座

この口座には、15年以上先のためのお金を貯めます。その時のために確実に貯金できるよう、^目先のことで解約したり下ろしたりできないようにしておきましょう。

長期、積立、分散投資として、つみたてNISAや変額保険、原則として60歳まで解約できないiDeCoの口座を、長期的な貯金の口座と考えておくと良いでしょう。

「できるようになったら貯金しよう」は要注意!

今の自分に合った金額を継続的に貯金していく習慣をつけていくことで、お金が貯まるだけでなく、普段の生活で何にお金を使うかの優先順位がつけられるようになってきます。

「やり繰りできるようになったら……」「余裕ができたら……」と思っていると、貯金のスタートが遅れてしまいます。それよりは、まずは自分ができる範囲で先取貯金を始めましょう。

(FP Office 片根竜哉)

※画像はイメージです

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