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テレワークで増えた電気代の節約方法は? 誰が負担する?

渥美功介

テレワークの機会が増え、電気代が上がった人もいるのでは? テレワーク中、電気代を節約するにはどうすれば良いのでしょうか。また、増えた分の電気代は会社に負担してもらえるのでしょうか? ファイナンシャルプランナーの渥美功介さんに解説してもらいます。

近年、テレワークを導入する企業が増加しています。

テレワークは通勤時間の削減になり、時間を有効に使うことができるというメリットがあります。

一方で、テレワークに必要な電気機器の電気代を自己負担しなければならないのは、デメリットといえるでしょう。そのため、電気代の増加が気になっている人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、実際にテレワークでどれだけ電気代が増えているか、またどうすれば電気代を節約できるか解説します。

テレワークで電気代はどれくらい増える?

テレワークの増加に伴い、実際に電気代はどの程度上がるのでしょうか。パソコン・エアコン・照明について、それぞれ試算してみたいと思います。

その前に、まずは電気代の計算方法を紹介します。1時間あたりの電気代は、下記のように計算できます。

1時間あたりの電気代=消費電力(W)÷1,000×1kWhあたりの電力料金

※この記事では、1kWhあたりの電力料金として全国家庭電気製品公正取引協議会が定めた目安単価である27円/kWhを使用します

では、さっそくテレワークで増える電気代を計算してみましょう。

(1)パソコンの電気代

機種によって違いがありますが、ノートパソコンとデスクトップパソコンそれぞれについて、標準的な電気代を算出してみます。

ノートパソコンの場合

一般的なモデルの標準稼働時の消費電力を20Wと想定すると、1日8時間の使用で電気代は約4.3円増となります。

20W÷1,000×27円/kWh×8時間=4.32円

デスクトップパソコンの場合

デスクトップパソコンの標準稼働時の消費電力を40Wと想定すると、1日8時間の使用で電気代は約8.6円増となります。

40W÷1,000×27円/kWh×8時間=8.64円

(2)エアコンの電気代

今回は、8畳のワンルームでエアコンを使用する想定で電気代を算出してみます。機種や風量、設定温度、運転モードによって変動しますが、ここでは消費電力を700Wとします。

1日8時間エアコンを使う場合、テレワークにより電気代は1日約151.2円増となります。

700W÷1,000×27円/kWh×8h=151.2円

(3)照明の電気代

エアコン同様、8畳用の照明の電気代を算出します。

照明は、蛍光灯とLEDで消費電力がだいぶ違うので、それぞれについて電気代を算出してみます。

蛍光灯の場合

機器による差が比較的大きいですが、ここでは蛍光灯の消費電力を70Wと想定します。

1日8時間使用する場合、テレワークにより電気代は1日約15.1円増となります。

70W÷1,000×27円/kWh×8h=15.12円

LED照明の場合

標準的な機器の消費電力を30Wと想定すると、1日8時間使用した場合、テレワークにより電気代は1日約6.5円増となります。

30W÷1,000×27円/kWh×8h=6.48円

テレワークで増える毎月の電気代は最大約3,800円

パソコン・エアコン・照明の電気代は、テレワークによって合計で1日あたり最大約175円増加します(デスクトップパソコン+エアコン+蛍光灯の場合)。

1カ月の勤務日数を22日とすると、毎月最大3,850円ほど電気代が増加する可能性があります。

総務省の2020年家計調査によると、単身世帯の働く34歳以下の平均電気代は1カ月あたり3,665円です。

ここに、先ほど求めたテレワークによる増加分3,850円が上乗せされると、1カ月の平均電気代は7,515円まで上がる可能性がある、ということになります。

テレワーク中の電気代を節約するには

では、テレワークによって上がる可能性のある電気代をいかに節約するか、考えてみましょう。

(1)パソコンの電気代を節約する方法

パソコンの電気代を節約する方法としては、以下の3つが挙げられます。

省電力モードの設定をする

パソコンの電気代を節約するには、省電力モードの設定をしてみましょう。

省電力モードの設定をすることで、消費電力が抑えられるので、その分電気代の削減につながります。

ディスプレイの明るさを調整する

ディスプレイの設定で画面の明るさを調整するのも、電気代の節約に役立ちます。

見えにくいほど暗くするのは良くありませんが、部屋が明るい時は画面の明るさを少し抑えるなど、適宜調整すると良いでしょう。

使っていない時は電源を切るかスリープモードに

パソコン未使用時にはディスプレイの電源を切ったり、スリープ状態に移行するように設定したりするのも、節電には効果的です。

(2)エアコンの電気代を節約する方法

エアコンの電気代を節約する方法としては、以下があります。

設定温度を見直す

エアコンの電気代は、まずは設定温度がポイントになります。

環境省のwebページによると、冷房時の温度設定を1℃高くすると約13%、暖房時の温度設定を1℃低くすると約10%の消費電力を削減できます。

つまり設定温度を1℃意識するだけで、10%程度の節電ができるということです。

1日あたり15円程度の電気代削減が見込めるので、ぜひとも意識してみてください。

部屋の断熱性を高める

これは冬場限定の方法になりますが、部屋の温度を快適に保つという点では、プラスチック段ボール(プラダン)や断熱シートの活用も検討してみる価値があります。

どちらも断熱性に優れた素材なので、窓に貼ることで冬場に室温が下がるのを抑える効果があります。

体感温度を上げれば、前段で紹介した「エアコンの設定温度を1℃下げる」ということもしやすくなります。

プラダンはホームセンターや100円ショップ等で、断熱シートは通販などで安価に購入できるので費用対効果も高いといえるでしょう。

ただし、網入りガラスなど、窓の種類によってはプラダンや断熱シートを貼ると熱割れ(窓内面のワイヤーとガラスの温度差で自然に割れること)する可能性もあります。自宅の窓は熱割れの恐れがないか、事前に確認しましょう。

(3)照明の電気代を節約する方法

照明の電気代を抑える方法としては、以下があります。

蛍光灯をLEDに変える

まず、現在設置している照明が蛍光灯であれば、LEDに変えることを検討してみましょう。

蛍光灯からLEDに変えることで、電気代を1日あたり約8.6円、1カ月(22日稼働の場合)あたり約190円削減できます。

自然光を利用する

仕事をする机が窓の近くにあるなら、自然光を利用することもできます。

部屋の環境条件によりますが、例えば晴れている日の午前中は照明を使用しないという手段もあります。

あるいは部屋の照明とデスクライトを同時に使用している場合、外が明るい時はどちらかを消すというのも選択肢の1つです。

テレワークで増えた電気代は誰が負担する?

「テレワークで増えた分の電気代は、会社が負担してくれても良いんじゃないの?」と思っている人もいるかと思います。

電気代はプライベートで使っている分との線引きがしにくいため、会社で負担するかどうかの判断に難しさがありました。

それに答える形で、2021年1月に国税庁が「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を発表しました。この中で、テレワーク時の電気代を支給する場合の計算法や支払い法についても解説されています。

つまり、現実に従業員にテレワーク時の電気代を支給している、あるいは支給を検討している企業があるということです。今回の国税庁の発表を機に、今後そういった企業も増えてくるかもしれません。

まずは、会社に電気代支給の制度があるかを確認してみましょう。

テレワーク中も小さな工夫で節電を

テレワークをしていれば、ある程度電気代が増加するのは避けられないかもしれません。

しかし、パソコンであればスリープモードの設定をする、エアコンであれば設定温度を1℃上げ下げするという簡単な工夫で、電気代を削減することが可能です。

まずは日常生活を見直し、できる範囲で節電を意識してみましょう。

(FP Office 渥美功介)

※画像はイメージです

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