寒中見舞いの時期は? 喪中や年賀状を出し忘れた時の例文も紹介
寒中見舞いを出す時期は、一般的には1月8日から2月4日の間とされていますが、関東と関西で違う場合も。今回はマナー講師の三上ナナエさんに、喪中の場合や年賀状を出し忘れていた場合など状況別の例文と、寒中見舞いのルールを紹介してもらいます。
寒中見舞いをどんな時に送るのか、いまひとつピンとこない人もいるかもしれません。
最近では、年賀状を出せなかった相手へのあいさつとして送ることも多い寒中見舞い。近況報告を兼ねているため、送ることで相手に安心してもらうことにもつながります。
「じゃあどんなふうに書けば良いの?」と迷う人のために、寒中見舞いの本来の意味や送る時期、注意点、文例などを紹介します。
そもそも寒中見舞いって何?
寒中見舞いは、元々は暑中見舞いのように気候が厳しい季節に相手を気遣い、近況を知らせるために送るあいさつ状の一種です。
「寒中見舞いは喪中の人へ出す」というイメージもありますが、相手が喪中でなくても寒中見舞いは出せます。
現在、寒中見舞いは季節のあいさつのほか、以下の理由で年賀状を送れなかった人へのあいさつとして多く用いられています。
・年賀状をもらったのに返事が遅れてしまった時
・年賀状の出し忘れなどで松の内以降にあいさつをする時
・相手が喪中の時
・こちらの喪中に年賀状をもらった時
手紙が一番丁寧ではありますが、はがきで問題ありません。その際、年賀はがきは使いません。
寒中見舞いの時期は通常1月8日~2月4日
寒中見舞いを出す時期は、正月飾りを出しておく期間である松の内が明ける日から、立春までの間とされています。
松の内をいつまでとするかは地域によって違いがありますが、寒中見舞いの時期は主に以下の2パターンがあります。
関東を中心とした「松の内は1月7日まで」とする地域
→相手に届くのが1月8日~2月4日
関西を中心とした「松の内は1月15日まで」とする地域
→相手に届くのが1月16日~2月4日
立春は年によって前後しますが、2月4日を基準にして問題ありません。
2月4日以降に到着するようならば余寒見舞いになってしまいます。早めにあいさつをする方が気持ちも伝わりやすいので、松の内が明けたらなるべく早い時期に寒中見舞いを送りましょう。
寒中見舞いの文例
ここからは、寒中見舞いの文例を紹介します。
どういう状況で寒中見舞いを送るかによって内容が変わるので、以下の4パターンそれぞれについて例文を挙げていきます。
パターン1:自分が喪中で年賀状を出せなかった時
パターン2:喪中の人に送る時
パターン3:年賀状を出し忘れた時や返事が間に合わなかった時
パターン4:季節のあいさつとして送る時
パターン1:自分が喪中で年賀状を出せなかった時
これは寒中見舞い全般にいえることですが、「拝啓」「敬具」などの頭語は入れません。
「年賀」という言葉はおめでたい意味なので、寒中見舞いでは「年頭」「年始」などの言葉に言い換えます。
基本構成
基本的な構成は以下の通りです。
(1)お見舞いの言葉
(2)時候のあいさつと先方へのお伺い
(3)年賀状をいただいたことへのお礼
(4)こちらの近況報告
(5)欠礼のお知らせをしなかったことへのお詫び
(6)今後のお付き合いをお願いする言葉
(7)差出月
(8)差出人名
例文
具体的な文章としては、下記のような例が挙げられます。
寒中お見舞い申し上げます。
向寒の折、皆さまにはお変わりございませんか。
このたびは丁寧なお年始状をいただきましてありがとうございます。
喪中のため、年頭のごあいさつを差し控えさせていただきました。
欠礼のお知らせを申し上げず大変失礼いたしました。
本年も変わらぬお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。
令和○年一月
○○ ○○(名前)
パターン2:喪中の人に送る時
喪中の人への寒中見舞いでは、お悔やみの言葉を伝えます。
もし結婚報告をしたい場合、喪中の相手に年賀状や結婚報告のハガキは送りにくいので、寒中見舞いで報告すると良いでしょう。
以下の両方のパターンの例文を紹介します。
ごあいさつとして送る
喪中の人へは新年を喜ぶ言葉を入れないことが大事です。相手を気遣う言葉を添えましょう。
基本構成
基本的な構成は以下の通りです。
(1)お見舞いの言葉
(2)年始の挨拶を控えた旨、また先方へのお伺い
(3)お悔やみの言葉
(4)相手を気遣う言葉
(5)今後のお付き合いをお願いする言葉
(6)差し出し月
(7)差出人名
例文
具体的な内容は、以下のようにすると良いでしょう。
寒中お見舞い申し上げます。
ご服喪中と伺い年始の挨拶を控えさせていただきましたがいかがお過ごしでしょうか。
〇〇様のご逝去心よりお悔やみ申し上げます。
寒さの厳しい時期ですのでどうぞご自愛くださいませ。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和○年一月
○○ ○○(名前)
結婚報告など近況報告をしたい場合
結婚の報告など、喪中の人へお知らせすることがある場合は寒中見舞いで報告することができます。この場合は、文面とデザインはシンプルにしましょう。
1枚のハガキにめでたい内容とお悔やみの言葉をまとめることは良くないとされているので、この場合、お悔やみの言葉は入れません。
ただし状況や関係性によっては寒中見舞いではなく別にあいさつ状を出すのが望ましい場合もあります。寒中見舞いはあくまでも相手を気遣うためのものだからです。
基本構成
基本的な構成は以下の通りです。
(1)お見舞いの言葉
(2)時候のあいさつと先方へのお伺い
(3)近況報告
(4)今後のお付き合いをお願いする言葉
(5)差出月
(6)差出人名
例文
内容としては、以下の例文のようなものが良いでしょう。
寒中お見舞い申し上げます。
厳しい寒さが続きますがいかがお過ごしでしょうか。
私事ですが昨年○月○日に結婚いたしました。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
令和○年一月
○○ ○○(名前)
パターン3:年賀状を出し忘れた時や返事が間に合わなかった時
年賀状の代わりとして送る際は、時候のあいさつを入れずに年賀状を頂いたお礼、そして年賀状を出していなかったり、返事が遅れたりしたことに対するお詫びの気持ちをすぐに述べます。先方の健康を喜ぶ言葉も書き添えましょう。
基本構成
基本的な構成は以下の通りです。
(1)お見舞いの言葉
(2)年賀状をもらったことへのお礼
(3)年賀状を出さなかったことへのお詫び
(4)相手の近況を喜ぶ言葉
(5)自分の近況報告
(6)今後のお付き合いをお願いする言葉
(7)差出月
(8)差出人名
例文
以下に基本構成をもとにした例文を紹介します。
寒中お見舞い申し上げます。
このたびは丁寧な年賀状をいただきましてありがとうございました。
ごあいさつが遅れまして大変申し訳ございません。
皆さまが良いお年を迎えられたご様子、心よりお喜び申し上げます。
おかげさまで私も元気にしております。
本年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
令和○年一月
○○ ○○(名前)
パターン4:季節のあいさつとして送る時
近況などは、相手との関係性によって具体的な内容も入れると気持ちも伝わりやすくなります。
この場合の寒中見舞いに使うはがきは、季節の風景や花などが描かれている落ち着いたものが良いでしょう。
基本構成
基本的な構成は以下の通りです。
(1)お見舞いの言葉
(2)先方へのお伺い
(3)こちらの近況報告
(4)先方の健康を願う言葉
(5)今後のお付き合いをお願いする言葉
(6)差出月
(7)差出人名
例文
以下に具体的な近況報告なども入れた例文を紹介します。
寒中お見舞い申し上げます。
厳しい寒さが続いておりますがお元気でいらっしゃいますか。
おかげさまで私ども家族一同元気に過ごしております。
昇進が決まったとのこと、誠におめでとうございます! さすがですね!
私は相変わらずバタバタしておりますが今年こそはランニングなど体力づくりに力を入れたいと思っております。
しばらくは寒さが続きますので風邪などひかないようお過ごしくださいませ。
今年もどうぞよろしくお願いします。
令和○年一月
○○ ○○(名前)
これからも変わらぬお付き合いのために
押さえるべきポイントがいくつかあるので難しいと感じるかもしれませんが、年賀状を出せなかった時に代わりに出すことができる寒中見舞いはとても便利なものです。
また、四季の移り変わりを楽しむ文化がある日本。季節のあいさつは心のゆとりも感じさせます。
「どうしているだろう?」と気になる人に自然に思いを伝えられる季節のあいさつは、マナーの観点のみならず、良好な人間関係を築く上でも大事です。
これからも大切にしたいお付き合いがある人には、寒中見舞いを送ってみてはいかがでしょうか。
(三上ナナエ)
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