お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

「キャッチー」の意味は? 類語や対義語、使い方を解説(例文つき)

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「キャッチーなフレーズ」「キャッチーな曲」という表現はよく聞きますが、意味を正しく説明しろと言われると難しいかもしれません。今回はライティングコーチの前田めぐるさんに、「キャッチー」という言葉の意味や類語・対義語、使い方を解説してもらいます。

「キャッチーなメロディー」「キャッチーな色」など、「キャッチー」という言葉を聞くことが増えています。

「『キャッチ』は『つかむ』という意味だから、『うまくつかめる』みたいな感じかな?」と思う人は多いかもしれませんね。

一体どのように生まれた言葉なのでしょうか? また、これは誰にでも通じる言葉なのでしょうか? 意味や使い方を知って、効果的に使いたいですね。

「キャッチー」の意味と語源

まずは「キャッチー」の意味と語源を確認しましょう。

「キャッチー」の意味

「キャッチー」という言葉を辞書で引くと、下記のように記載があります。

キャッチー【catchy】
人目をひくさま。
印象的で記憶に残りやすいさま。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

「キャッチー」とは、「人目をひく。印象的。心をぐっとつかまれる」という意味です。

音楽や映画、広告、出版などの業界でよく使われる傾向があります。

「キャッチー」の語源

キャッチーは英語で書くと「catchy」です。

広告用語の「キャッチフレーズ(=catch frase)」「キャッチコピー(=chatch copy)という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

「心をつかまえるフレーズ」「心をつかまえるコピー(言葉)」という意味ですね。

これらの言葉は「つかむ、とらえる、受け止める、見つける」という意味の「キャッチ(=catch)」に由来します。

「キャッチー(=chatchy)」も、同じように「catch」からきた言葉で、「心をつかまえる」という意味があります。

「キャッチー」はどんな時に使えるのか?(例文つき)

私たちの感受性は、たくさんの言葉やメロディー、映像などから、ピンときたものや心ひかれるものを日々受け止めています。

そして、何かの機会にグッと心をつかまれたら、その対象に関心を持ち、人に勧めたり、自分で購入したりします。

ここで、作品や商品を送り出す側として考えてみましょう。

同じような商品が複数あっても、色やデザイン、名前など何らかの要素で消費者の心をつかまえることができれば、他の商品より優位に立つことができ、知られる機会が増えます。

そのために、何らかの要素をキャッチーにする工夫をするわけです。

例えば、「映画」を売りたければ、映画の要素である「曲」をキャッチーなものにしたいと考えるでしょう。

曲を売りたければ、曲の要素であるタイトルやメロディー、あるいはサビなどをキャッチーなものにしたいと考えるでしょう。

このように、キャッチーな要素を取り入れようと工夫をするのは製作側・提供側です。そして、最終的にキャッチーかどうかを決めるのは、受け手側だといえます。

もちろん、何の作為もなく、偶然や才能によって、キャッチーな作品や商品になることはあり得ますが、受け手側にとって必然か偶然かは関係ありません。

また、「キャッチー」は、初めは一部の業界に限って使われていた言葉でしたが、今では特に使えるジャンルや業界に決まりがあるわけではありません。

人の心をつかみたいと思ったら、ビジネスシーンでうまく「キャッチー」という言葉を使ってプレゼン力や発想力をアップしましょう。

では、何かを「キャッチー」にするにはどんな要素が考えられるか、具体的に紹介します。

「キャッチーなタイトル」

映画やドラマ、本などは、タイトル(題名)が勝負だとよく言われます。

「キャッチーなタイトル」は、題名を必要とする全てのものについて使えます。特に出版、映画、音楽などの世界で使われます。

例文

・その本が話題になったのは、中身はもちろんだが、何よりキャッチーなタイトルのおかげだ。

「キャッチーなネーミング」

物に名前をつけることを、広告用語でネーミングと言います。

ユニークな名前をつけて、認知度を高めようとすることはマーケティング的にもよく知られる方法です。

心に刺さる名前をつけてほしい場合に「キャッチーなネーミングをお願いします」などと使えます。

例文

・商品名で売れ行きが変わることもあるので、キャッチーなネーミングをしたい。

「キャッチーなメロディー」

「キャッチーなメロディー」とは、ヒット曲に含まれているイントロやサビなど、グッと心をつかむような部分を意味する言葉です。あるいは、メロディー全体を指すこともあります。

曲を構成するイントロや歌詞については「キャッチーなイントロ」「キャッチーな歌詞」などと表します。

例文

・曲がヒットするには、タイトルや歌詞などいろいろな条件があるが、キャッチーなメロディーは必須だと思う。

「キャッチーなフレーズ」

広告などでよく使われる言葉です。

その商品の特性や魅力を一言で分かるようにするフレーズもあれば、詳細が分からなくてもキャッチーであることを第一にする、インパクト狙いのフレーズもあります。

どちらの場合でも、心をつかまえるフレーズのことを、「キャッチーなフレーズ」と呼べます。

例文

・キャッチフレーズは、文字通りキャッチーなフレーズのこと。キャッチフレーズ次第で売り上げが変わることもある。

「キャッチーな言葉」

社会にはさまざまな言葉があふれています。

広告や芸術の世界だけでなく、人の心に残るキャッチーな言葉を使えれば、ビジネスでも役立つでしょう。

例文

キャッチーな言葉を使える人は、政治家や経営者などリーダー向きかもしれない。

「キャッチー」を使う時の注意点

「キャッチー」という言葉は、現在は業界に関係なく通じる言葉になりつつあります。

それでも、年齢や仕事のジャンルによっては通じないこともあり、万人に通じる言葉とまではいえません。

「相手との共通語だと良いけれど、今は意味が通じないかもしれない……」

そんな不安な場面では、「ぐっと心をつかまれるような、キャッチーなタイトルはありませんか?」というふうに、他の言葉を添えて分かりやすくする工夫をすると良いでしょう。

あるいは、これから紹介する類語や言い換え表現の中から、通じやすい言葉を選ぶのもおすすめです。

「キャッチー」の類語(例文つき)

「キャッチー」と似たような意味を持つ類語を紹介します。

「つかみのある」

「catchy(キャッチー)」を直訳すると「つかみのある」という言葉になります。

「つかみのある」は、「キャッチー」と同じで、「心をつかまれる、印象的な」という意味です。

商品や作品だけでなく、展示会やイベントへの案内状、SNSの文章など、さまざまな場面で使えます。

例文

・○○さんのツイートは、いつもつかみがあって、気づけば“いいね”を押してしまっています。

「引きつける」

キャッチーと同じニュアンスで「人を引きつける」という意味です。

「キャッチー」と同じく商品や物についても使えますが、「引きつける」は人の魅力について褒め言葉として使うこともできます。

例文

・あの人には、人を引きつける不思議な魅力がある。

「フックのある」

「フック」は、英語で「hook」と書きます。物を留めたり、掛けたり、つるしたりするための道具である、フックやホックのことです。

それに由来し、「フックのある」は広告用語で「引っ掛かりがある。気になる」という意味です。

「どこか気になる」というニュアンスなので、心をぐっとつかむ「キャッチー」よりも、弱いイメージです。

例えば、上司から部下に次のように使えます。

例文

・ちゃんとフックのあるコピーになっていますか? 他のスタッフにも読んでもらうようにしてください

「キャッチー」の対義語(例文つき)

次に、「キャッチー」の対義語を紹介します。

「目立たない」

「キャッチー」は「引きつける」という意味なので、その反対は直訳すれば「引きつけられない。印象的でない」ということになります。つまり「目立たない」わけです。

主に、視覚的な魅力がないというニュアンスになるので、色やデザイン、服装などが「目立たない」というふうに使えます。

例文

・今度の化粧箱は全然目立たないと思います。キャッチーなところが、1つもないじゃありませんか。

「パッとしない」

「冴えない。目立たない」という意味です。キャッチーと正反対のニュアンスです。

何かの仕上がりを検討したり、評価したりする時に使います。

例文

・全体としてはきれいなメロディーだし、どこがどう悪いわけではないけど、いまいちパッとしないんだよね。

「素通りする」

キャッチセールスという言葉があるように、「キャッチー」とは「心がつかまれて、立ち止まる」のと同じです。

その反対に「素通りする」ということは、キャッチーな要素が1つもない、というニュアンスです。

例文

・この表紙だと少しも目立たないので、お客さまが素通りしてしまうのではと心配です。

「キャッチー」は成長過程にある言葉

言葉は日々生まれ、中には消えていくものもあります。

生まれたばかりの言葉は、初めは限定的な範囲で使われていますが、徐々に周囲に広がりながら成長し、やがて市民権を得ます。

「キャッチー」はその意味では、まだ万人向けの言葉とはいえないかもしれませんが、感覚的に分かりやすく、比較的通じやすいといえるでしょう。

さらに広い範囲で使われる言葉になっていく可能性はありそうですね。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

SHARE