夏至とはどんな日? 夏至の食べ物や風習も紹介
毎年6月ごろになるとニュースなどで耳にする「夏至」という言葉。何を示す言葉なのか知っていますか? 夏至とは、1年で最も昼が長く、最も夜が短い日。今回は、そんな夏至の意味や風習などを紹介します。
カレンダーに夏至とあっても、祝日ではないので、実際のところ一体何のための日か知らない人が多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、夏至とはどんな日なのかを、時期や日照時間、風習を含めて詳しく解説します。また、夏至を表す英語も例文と一緒に紹介します。
夏至とは?
毎年蒸し暑くなってくると、「夏至(げし)」という言葉を耳にするようになります。
夏至とは、昼間の時間が最も長くなる日です。ここでは、夏至とはどんな日か、いつのことを指すのかを詳しく解説します。
1年で最も昼の時間が長い日
夏至は、北半球において、日の出から日の入りまでの時間が1年で一番長い日です。
太陽に対する地軸の傾きが最も大きくなり、地球から見ると太陽が最も高い位置から北半球を照らす日となります。そのため、昼が最も長く、夜が最も短くなります。
夏至を過ぎると、夏に向けて暑さがピークに向かっていくと同時に、段々と日が短くなっていきます。
逆に、1年で夜が最も長い日のことは冬至といいます。冬至と比べると、夏至は昼の時間が約4時間以上長くあるとされています。
なお、北半球で夏至の時、オーストラリアやブラジルなどの南半球では、冬至となります。
毎年6月21日ごろ
夏至が1年のいつにあるかは、天文学的に決まります。毎年少し日にちが違いますが、例年大体6月21日ごろです。
ちなみに、2021年の夏至は6月21日で、2022年も6月21日です。
6月下旬頃に吹く季節風を、沖縄では「夏至南風(カーチーベー)」と呼びます。夏至は、本州では梅雨の最中ですが、沖縄では、ちょうどこの時期に梅雨明けを迎えます。
なお、天文学的には、特定の日にちではなく、太陽黄経(春分点を0度として1年を360度で表すもの)が90度になったちょうどその時刻のことを夏至と呼びます。
さらに、二十四節気では、夏至は10番目の節気です。二十四節気とは、古代中国で考案された、太陽の動きを元にした季節の指標です。1年を約15日ごとに24つに分け、それぞれを節気と呼びます。
したがって、二十四節気で夏至という時は、特定の日ではなく、6月下旬から7月上旬までの約15日間の節気を指します。カレンダーには、この節気の初日が夏至と表記されています。
10番目の節気は、春分の日と秋分の日のちょうど真ん中です。春分の日と秋分の日も天文学的に決められるため、夏至と同じように、毎年日にちが異なります。
夏至の日照時間は?
夏至は、日照時間が1年で最も長い日で、昼の時間が約14~15時間あります。
具体的な日照時間は、緯度によって異なります。北に行くほど日照時間が長くなり、同じ日本国内でも、緯度の高い札幌の日照時間の方が、低い那覇よりも約1時間半長いです。
また、札幌よりも緯度の高い北欧の一部では、白夜という、太陽が沈まず夜になっても昼のように明るい現象が起こります。
天文学的には日照時間が最も長い夏至ですが、日本列島の大部分では、夏至は梅雨の時期に重なります。太陽が雲に隠れている時間が長いため、実際には、日照時間の長さを実感できない年も少なくありません。
2021年の東京の場合は、夏至の日の出の時間は4時26分ごろ、日の入りの時間は19時ごろで、昼の時間は約14時間34分ありました。
午前中は雲に覆われていましたが、午後から晴れとなり、実際に太陽が照っている日照時間は4時間を超えました。東京で夏至の日に日照時間が4時間を超えるのは、なんと2011年以来、10年ぶりのことだそうです。
夏至の食べ物は?
冬至にはかぼちゃや小豆を食べる習慣がありますが、夏至には、全国的に決まった食べ物はありません。
しかし、地域ごとによく食べられている物ならあります。食べる物は異なりますが、夏至は田植えの季節のため、豊作を願った食べ物を食す地域が多いです。
例えば、関東地方や奈良県、和歌山県では、半夏生餅(はんげしょうもち)というもち米と小麦で作った餅を食べます。
これは、田んぼの神様に半夏生餅を捧げて豊作を願ったり、無事に田植えができたことを感謝しながら餅を食べたりした昔の風習の名残です。
また、関西地方の一部では、「作物がタコの足のようにしっかりと根を張り広げるように」という願いを込めて、タコを食べるそうです。
他にも、無病息災を願って、京都では水無月という和菓子を、愛知県の一部では無花果田楽(いちじくでんがく)を食べます。
このように、地域によって夏至に食べる物は全く異なり、バリエーション豊かです。
なお、「冬至は南瓜(かぼちゃ)、夏至は冬瓜(とうがん)」といわれることがありますが、夏至に冬瓜を食べるのは、全国的な習慣ではありません。
夏至の風習は?
冬至には柚子風呂に入る風習がありますが、夏至には、特別全国的に行われている行事や習慣はありません。
ただし、夏至祭というお祭りがある地域があり、特に、三重県の二見興玉(ふたみおきたま)神社で毎年行われる夏至祭が有名です。朝3時半から祭典が始まり、日の出に禊行事が行われます。
二見興玉神社には、海面から飛び出して見える夫婦岩があります。夏至前後の早朝には、この夫婦岩の間から太陽が昇る美しい瞬間が見られます。
世界的には、夏至と冬至の両方にキャンドルナイトが行われます。
キャンドルナイトとは、カナダで始まった環境問題を考えるためのイベントです。電気を消して代わりにキャンドルを使い、省エネや省電力を呼びかけます。日本では、東京タワーや増上寺のキャンドルナイトが人気です。
他にも、ヨーロッパでは、6月24日の聖ヨハネの日と合わせて夏至が祝われたり、魔除けのために火を焚いたりします。
また、特に日照時間が長くなるスウェーデンやフィンランドなどの北欧では、夏至祭は1年の中で特に重要なイベントの1つです。
広場で歌って踊ったり、お酒を飲んだりして、朝まで盛大に祝います。夏至祭の前から休暇を取って、家族や友人と旅行に出かける人もいるそうです。
夏至の英語表現は?
最後に、夏至の英語表現や言い換え表現を、例文と一緒に紹介します。
夏至は、英語で「the summer solstice」といいます。
《例文》
The summer solstice is on June 21 this year.
(今年の夏至は6月21日です)
The longest day of the year is called the summer solstice.
(1年で最も長い日を夏至と呼びます)
また、冬至は「the winter solstice」といいます。
《例文》
The shortest day of the year is called the winter solstice.
(1年で最も昼短い日を冬至と呼びます)
solsticeは「支点」という意味ですが、普段なかなか使わない単語のため、パッと思い出すのは難しいかもしれません。
そうした時は、夏至という単語を、「1年で最も長い日」に置き換えて表現すると良いでしょう。
《例文》
Today is the longest day of the year.
(今日は1年で最も長い日です)
同様に、冬至は「1年で最も短い日」に置き換えられます。
《例文》
Today is the shortest day of the year.
(今日は1年で最も短い日です)
昼の長さと夜の短さを体感できる日
夏至は、毎年6月21日ごろにある、1年で一番昼の時間が長い日です。
夏至の食べ物や風習は、地域によってさまざま。夏至祭が行われる地域がいくつかありますが、日本ではマイナーなイベントです。
一方で、北欧では盛大に祝われます。映画『ミッドサマー』もスウェーデンの夏至祭を舞台に描かれていますね。
また、世界的には、夏至に省エネを呼びかけるためのキャンドルナイトが行われます。ぜひ、おうちでも、夏至の夜は電気の代わりにキャンドルで過ごしてみてはいかがでしょうか。
(佐矢りん)
※画像はイメージです