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「かねてより」は誤用? 使い方や間違えやすい漢字表記

kirara

ビジネスシーンで頻出する「かねてより」という言葉。誤用であるという説を聞いたこともあり、正しい使い方が分からない人も多くいることでしょう。今回は「かねてより」の意味や使い方、悩みやすい漢字での表記について解説していきます。

ビジネスシーンなどでよく使われる「かねてより」という表現は、どの程度前からのことを表しているのか分かりづらく、自分で使おうと思うとハードルを高く感じる人もいるかもしれません。

そこで今回は、「かねてより」の意味や使い方などを詳しく解説。この表現を使う際の参考にしてください。

「かねてより」の意味

ビジネスシーンだけでなく、ニュースや雑誌などでも見かけることの多い「かねてより」という表現は、自分で使おうと思うと意外に難しく感じることも。

まずは「かねてより」の意味から解説していくので、どのようなことを表しているのかチェックしてくださいね。

「以前から」「前もって」を表す意味

「かねてより」は、「かねて」と「より」という、2つの言葉からできている言葉。

「かねて」には「以前」「前」という意味があり、「より」は「動作などの起点」を表します。

そのため、「かねてより」には「以前から」「前もって」といった意味があり、現在よりも前から知っていることや行っていることに対して使われている表現になります。

かしこまった場所で使用する言葉

「かねてより」は幅広い場面で使われていますが、特にかしこまった場面で使うのが一般的です。

例えば、友人との会話で「かねてよりこのアイドルが好きだった」という表現はせず、「前からこのアイドルが好きだった」と言いますよね。

日常会話で使っても問題はありませんが、やや堅苦しい表現になってしまいます。シーンや話し相手との関係性に合わせて使うようにしましょう。

「かねてより」の使い方

「かねてより」は身近な言葉である一方、正しく理解しないと自分が間違った表現をしていることに気づかず使っている場合もあります。

ここからは「かねてより」の使い方を解説していくので、今までの使い方と照らし合わせ、間違っていないかチェックしてみましょう。

過去形の表現を付け加えて使う

「かねてより」を用いる場合、後に続く言葉は過去形の表現を使うのが一般的です。

これは、「かねて」が過去のことを表しているためで、今はまだ継続していることであっても「かねてより~だった」という表現で使用するのがきれいな言い回しです。

例文

かねてより希望していた職種について、もう一度ご相談のお時間をください。

かねてより準備していたことが、もうすぐ実現する。

「かねてより」は間違った表現?

「かねてより」の「かねて」と「より」には、どちらにも過去を表す「以前より」といった意味合いがあり重複していることから、「かねてより」が誤用だという意見があります。

しかし、「かねてより」は昔から使われていた慣用的な表現であり、一概に誤用だとも言い切れません。

この判断から、新聞や雑誌などでは基本的に「かねてより」ではなく「かねて」が使われていますが、スピーチや会話などの口語では「かねてより」が用いられることもあります。

さまざまな受け取り方があることを意識して、書類などで使用する場合には「かねて」を使うと良いかもしれません。

例文

かねて進行していたプロジェクトが来週終わる。

「兼ねて」と「予て」どちらの漢字が正しい?

「かねて」をメールで使おうとすると、「兼ねて」と「予て」の両方が予測変換に表れます。そのため、どちらの漢字で表記するのが正しいか、迷う人も多いでしょう。

結論としては「予て」と表記するのが一般的ですが、辞書によっては「兼ねて」とも書く、とされています。

そこで、どちらの漢字表記を使うべきか迷わないように、それぞれの漢字が持つ意味を理解しておきましょう。

「予て」の意味

「予て」の「予」には、「前もって」という意味の他に「与える」「ぐずぐずする」といった意味があります。

ただし、日常的には「前もって」という意味で多く用いられており、「予約」「予告」「予言」といった熟語もよく見かけますよね。

「兼ねて」の意味

「兼ねて」の「兼」には、「前もって」という意味に加え「2つ以上のものを組み合わせる」という意味があります。

複数の仕事をする「兼業」、複数の職をこなす「兼務」などが、この意味の例です。

基本的には、組み合わせる意味で「兼ねる」を用いることが多く、「前もって」という意味はあまり浸透していないようです。

使いやすいのは「予て」

「兼ねて」と「予て」、それぞれに「前もって」という意味があり、どちらの漢字表記を使っても間違いではありません。

ただ、「兼ねて」は「前もって」の意味よりも「組み合わせる」の意味が知られており、間違ったニュアンスを相手に伝えてしまう可能性があります。

そのため、漢字で表す時には「予て」を用いるようにして、相手に誤解させないようにするのが好ましいかもしれません。

迷ったらひらがなでOK!

「予て」は相手にきちんと意味を伝えるには適していますが、相手が漢字を読めず、きちんと意味が伝わらない可能性も。

一方、「兼ねて」は読みやすい反面、意味を間違えやすいため、結局どちらを使うか迷ってしまうことがありますよね。

そこで、どちらの表記を使うか迷った時は「かねて」とひらがなでの表現を使いましょう。

「かねてより」は、そもそもひらがなでの表現でも問題なく、漢字で表記しないといけないというルールもありません。

そのため、こだわりなどがない場合は、分かりやすさを重視して「かねてより」を使ってくださいね。

「かねてより」の類語

「かねてより」と似た意味を持つ言葉は他にもあり、複数の言葉を使い分けることで、相手やシーンに合わせた表現がしやすくなります。

そこで、代表的な類語も一緒に覚えておきましょう。

かねがね

「かねがね」は「以前から」という意味を持つ言葉。

漢字で表すと「予予」「兼ねがね」となり、「かねてより」と同じニュアンスであることが分かりますよね。

また、「かねがね」の使い方は「かねてより」と変わらないため、言い換え表現として使いやすいのがポイント。

「かねてより」を誤用に思われる心配がある時などに、「かねがね」を使って文章を作るのが良いでしょう。

例文

・彼の実力については、上司からかねがね伺っています。

かねがね思い描いていたことが、やっと実現する。

以前より

「以前」は「ある時点から前のこと」「近い過去」を表す言葉。

「かねてより」もストレートな表現になるため、分かりやすさを重視する時には「以前より」を用いるのが適しています。

例文

・私が赴任する以前より続いている案件です。

以前よりも積極的な姿勢に好感が持てる。

かねてから

「かねてより」と似た「かねてから」は、言葉の意味は変わらず形だけが変化した表現です。

ただ、「かねてより」と同じ理由で「かねて」と「から」では「以前から」という意味合いが重複し、好ましくないという意見があります。言葉に違和感を覚える人もいるため、同様に留意して使いましょう。

例文

かねてから伺っていた質問についての回答が用意できました。

「かねてより」を使いこなして自分の気持ちを伝えよう

「かねてより」は、前から思っていたことなどを表す時に使える言葉で、長い時間の経過に合わせた強い思いを表現することも可能です。

そのため、「かねてより」の意味や使い方をマスターして、きちんと自分の気持ちを表すことが大切。

特に、「かねてより」を使うのは、かしこまった場面が多いので、適切なシーンを選ぶよう意識しましょう。

(kirara)

※画像はイメージです

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