「お手数ですが」の役割とは? 正しい使い方と言い換え表現
「お手数ですが」という言葉が持つ意味や役割とは? 定型文のように使われている「お手数ですが」という表現。使い方のポイントを押さえながら正しく理解していきましょう。
何かを頼む時に使う「お手数ですが」は社会人なら誰もが使っていますが、クッション言葉として何となく使っていると、きちんと意味まで理解できていないことがあります。
そこで今回は、「お手数ですが」の意味や役割、使い方を解説していきます。この機会に最後までチェックして、ぜひ使いこなせるようになりましょう。
「お手数ですが」の意味と役割
「お手数ですが」は、使う場面が多いからこそ、誤って使っていると恥ずかしいですよね。
まずは、「お手数ですが」の意味と役割を解説していきます。自分がきちんと使いこなせているか、改めてチェックしてみましょう。
「相手に迷惑をかけること」を先に断る表現
「お手数ですが」の「手数」には「手間がかかる」ことを表す意味があります。
つまり、「お手数ですが」と表現することで「手間をかけてしまいますがお願いします」というニュアンスの申し出となります。
先に感謝やお詫びの気持ちを伝えることで柔らかく丁寧な印象を与え、相手に頼み事を受け入れてもらいやすくする狙いを持った言葉です。
クッション言葉としての役割
「お手数ですが」には、クッション言葉としての役割があります。クッション言葉とは、お願いやお断りなどをする際、トゲをなくしたニュアンスにするために添えるもの。
例えば、「○○してください」とだけ伝えてお願いすると、やや強く失礼な印象に感じられます。しかし、文頭に「お手数ですが」を加えることで丁寧な印象に。
へりくだった言葉とセットにして使うことで、失礼のない態度で相手に自分のお願いや要望を伝えることができるのです。
「お手数ですが」を使う際のポイント
「お手数ですが」は使い勝手の良い便利な言葉である一方、間違えた使い方をするととても失礼な表現になってしまいます。
そこで、「お手数ですが」を使いこなすポイントを解説していくので、しっかりチェックしておきましょう。
(1)「お忙しいところ」を添える
「お手数ですが」を使ってより丁寧な文章を作成するなら、「お忙しいところ」「お忙しい中」を前に加えて「お忙しいところお手数ですが」のような形で使いましょう。
クッション言葉を重ねて用いることでより丁寧な表現になり、また「忙しい」を用いることで「暇そうだからお願いする」といった失礼なニュアンスがなくなります。
さらに、「忙しい中で自分のために時間を使ってもらってありがとうございます」という、より強い感謝の気持ちを表すことに。
少し言葉を加えるだけでとても丁寧な表現になるため、場面によっては「お忙しいところお手数ですが」という形で使うのが良いでしょう。
(2)謝罪の言葉を添える
「お手数ですが」の後に謝罪の言葉を添えると恐縮している様子が伝わり、相手を気遣った丁寧な表現となります。
「お手数をおかけして申し訳ありませんが~」のような形で表現しましょう。
謝罪の言葉を加えることで、より謙虚な印象になります。そのため、対応するのが難しい内容や時間がかかるお願いに対して適した表現となります。
(3)メールの結びの言葉として利用する
「お手数ですが」の効果的な使い方として、メールの結びの言葉として用いる方法があります。
例えば、「お手数ですが、ご一読お願いいたします」「お手数ですが、上記内容についてメールにてご返信お願いいたします」のような表現で、メールの内容チェックを促したり、見た後の行動をお願いしたりすることができます。また、本文中は事実や疑問点などを書き、結びの言葉にて返信を促すといった表現も可能です。
何度も「お手数ですが」を使うと、文章全体が不自然になってしまうため、手間をかけることをまとめてお願いする際の結びとして最後に使用しましょう。
(4)目上の人に使う場合には注意が必要
「お手数ですが」はビジネスシーンで使うことができますが、目上の人に対してはやや丁寧さに欠けると判断される場合があります。
そのため、目上の人に使う場合は「お手数をおかけして」と、より丁寧な表現を使うようにしましょう。相手への敬意を払った言い回しを意識してみてください。
(5)自分のことに対しては使わない
「お手数ですが」の間違った使い方として多いのが、「お手数ですが、私がご連絡します」のように自分に対して使うことです。「手数」には、元々「迷惑をかける」というニュアンスがあるので、自分に対して使うのは誤用となります。
ただし、「相手の手間になるから自分が行う」といった意味では「お手数ですが」を用いることが可能。この場合は「お手数をおかけしてしまうので、私からご連絡いたします」のように文章を作り、相手への気配りや配慮を伝えましょう。
「お手数ですが」の言い換え表現
「お手数ですが」のように、何かを依頼する時に使用できる言葉は他にもあります。
そこで、「お手数ですが」の言い換えにも使える表現を紹介していくので、意味や使い方からシーンに合わせて使い分けられるようにしましょう。
ご面倒をおかけしますが
「面倒」は「手がかかり煩わしいこと」を意味し、より丁寧に表現したのが「ご面倒」です。
「ご面倒をおかけしますが」と言葉の初めに加えることで、「お手数ですが」のように迷惑を与えることを最初に伝え、感謝や申し訳ない気持ちを伝えられます。
例文
・ご面倒をおかけして申し訳ありません。
・ご面倒をおかけしてしまいますが、こちらのご対応をお願いいたします。
お手間を取らせてしまい
「手間」は「何かに費やす労力や時間」を意味することから、「お手間を取らせてしまい」と表現することで、相手へ苦労をかけさせてしまうことへの感謝やお詫びの気持ちを表します。
基本的な意味や使い方は「お手数ですが」と変わりませんが、「お手間」の場合には「お手間をおかけする」という表現は使いません。「お手間」は「取らせる」ものであるため、「お手数をおかけしますが」と混同しないよう表現方法に注意して活用してください。
例文
・お手間を取らせてしまい申し訳ありません。
・お手間を取らせてしまいますが、来週までに回答をお願いいたします。
ご足労
「足労」は「足を疲れさせる」「足を運ばせる」といった意味があり、「ご足労」と表現することで「その場所へわざわざ出向く」ことを表します。
そのため、自分の職場まで来てもらう時など、移動が伴うお願い事をする場合には「ご足労」を使いましょう。
例文
・こちらまでご足労いただきありがとうございます。
・ご足労おかけしますが、当店へお越しくださいませ。
「お手数ですが」の英語表現
英語で「お手数ですが」と似た表現をする時には、謝罪の気持ちを表す「sorry」を使い、「Sorry to bother you but~」「I’m sorry to trouble you but~」といった表現を使います。
「迷惑をかけて申し訳ありませんが~」といった意味になり、日本語の「お手数ですが」と近い意味を表しています。
文章を作る時には日本語と同じように謝る表現を先に置き、続いてお願い事を述べるという順番を覚えておくといいでしょう。
「お手数ですが」を使って頼みやすい雰囲気を作ろう
「お手数ですが」は、何かをお願いして迷惑をかける時に、感謝や謝罪の気持ちを先に伝えられる言葉。いきなりお願いするよりも柔らかい印象になり、頼みやすい雰囲気を作ることができます。
どうやって切り出すか悩むこともなくなるので、「お手数ですが」をうまく使いこなして、仕事を円滑に進めましょう。
(kirara)
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