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パーキンソンの法則とは。意味と事例&対策を解説

広瀬絵美

「パーキンソンの法則」という言葉を聞いたことはありますか? 時間とお金を無駄遣いする法則と聞けば心当たりがある人もいるかもしれません。今回は、臨床心理士の広瀬絵美さんがパーキンソンの法則を分かりやすく解説します。

「パーキンソンの法則」という言葉を耳にしたことはありますか? 人間は無意識のうちにこの法則に従い、時間やお金を浪費しています。

これを知ることで、時間を効率的に使い、無駄な浪費を防ぐことができるかもしれません。「もう時間とお金を無駄にしたくない!」という方は必見です!

パーキンソンの法則とは?

「パーキンソンの法則」とは、イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンの著作、『パーキンソンの法則:進歩の追求』の中で提唱した法則です。

この法則をざっくりまとめると、人間は、時間とお金はあればあるだけ使ってしまうことを示すものです。

「無駄な残業をしてしまう、なかなか貯金ができない……」といったあるあるには、名前がついていたのです!

この法則は、以下の2つに分けて提唱されています。

第1法則

「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」

これはつまり、「人間は、与えられた時間をギリギリいっぱいまで使ってしまう」ということ。

この法則は、パーキンソンがイギリスの役人の仕事を観察する中で導き出されました。著書の中では、なすべき仕事量と関係なく役人の数が増え続けていることを指摘。そこから「人数が増えて各自の仕事量が減っても、労働時間は減少しない」という法則を見出したのです。

第2法則

「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」

これは、「人間はお金をあればあるだけ使ってしまう」という法則です。

イギリスの財政状況を観察すると、常に財源が使い切られてしまい、税の負担が増え続けていく傾向が見えてきました。

このことから、「無意識のうちにお金を使い切ろうとする」人間の習性が提唱されたのです。

パーキンソンの法則の事例

時間とお金の無駄遣い……。思い当たる人も多いのではないでしょうか。

こんな無駄遣いを予防するには、どういった時にこの行動原則が発動するのかをあらかじめ知っておくことが大切です。

時間の無駄! 【第1法則】の事例

まずは、身近に見られる第1法則の事例から解説します。

(1)無駄な残業時間が多い

「9時~17時勤務」など、勤務時間が決まっているにも関わらず、なぜか毎日仕事が終わるのは20時、21時……なんてことはありませんか?

本当ならば定時までに終えられるはずの仕事量なのに、「2時間くらい残業して仕上げればいいや」と、残業ありきで考えると、無意識のうちに時間をゆっくり使ってしまうのです。

(2)〆切ギリギリまで作業する

本当だったら30分程度で終わるはずの資料作成に、なぜか1時間も2時間も掛けてしまう……なんてことはありませんか?

「明日の夕方まで」など、余裕を持った〆切を設定されると、なぜか〆切いっぱいまで時間を使い切ろうとしてしまう事例です。

(3)メンバーが増えても出来高が変わらない

「人が増えたから違う業務にも手が回るかな……と思いきや、何も変わらない!」という話、よく聞きますよね。

メンバーを増やして余裕ができたはずなのに、結果として出来高は変わらない。これも、「時間」という資源を全て使い切ろうとするこの法則の事例です。

お金の無駄! 【第2法則】の事例

続いて、第2法則の身近な事例を見ていきましょう。

(1)収入が増えたのに貯金額は増えない

転職や昇給をきっかけに収入が増えたのに、なぜか貯金額がいっこうに増えない! これも、パーキンソンの法則の事例に当たります。

収入が増えた分、外食の回数が増えたり、無駄な買い物をしてしまったりなど、お金をある分だけ使おうとする行動です。

「収入の割に貯金が少ない」なんて悩む人も多いかと思いますが、これもこうした法則が働いているのかもしれません。

(2)ボーナスが入ったのに一瞬でなくなる

「ボーナスが入ったから貯金をしよう!」と思っても全然貯まらず、気づいたら一瞬でなくなっていた……なんていうこともしばしば。

これも、お金が増えた分、無意識のうちに支出を増やそうとする事例の1つ。

さらに、もう1つ気をつけたいのが「メンタルアカウンティング」という法則。例えば、貯金用の口座に入っている1000円と、ご褒美でもらった1000円とでは、ご褒美の1000円の方を気軽に使いたくなるというもの。

つまり、ボーナスなどの臨時収入は、毎月もらう給料よりも気軽に使ってしまいやすいのです。パーキンソンの法則とメンタルアカウンティングの法則が同時に働くと、ボーナスが露と消えてしまうことも……。

(3)節約しているのに毎月の支出が変わらない

「今月は切り詰めてやり繰りしたはずなのに、結局支出は先月と一緒……」なんて経験もありませんか?

これも、就業時間と同様に、心の中で「この金額までは使えるから大丈夫」と、見えない締め切り(予算)をつくっていることが原因かもしれません。

また、心理学では「現状維持バイアス」と呼ばれるものもあり、人間は無意識のうちに今までと同じ状態を維持しようとする癖があるのです。

つまり、これまで「収入の分、めいっぱいお金を使う」という生活をしていると、その生活スタイルが癖として定着していきます。

収入の全てを使い切ろうとするパーキンソンの法則と、それを維持しようとする現状維持バイアスが絡み合うと、悲惨な末路が待っています。

パーキンソンの法則を対策する方法

時間やお金といった資源は有限です。可能な限り節約し、有効な使い方をしたいですよね。無駄遣いを阻止するため、具体的な方法を解説します。

第1法則の対策方法

時間の無駄遣いを防ぐために、以下のようなことに気をつけましょう。

(1)自分の中で〆切を設定する

他人から〆切を設定されると、時間をギリギリいっぱい使ってしまいます。

それを避けるために、他人が設定した〆切ではなく、自分で決めた少し厳しめの〆切を基に動くことを意識してみましょう。

〆切まで本来は3時間あるとしても、「30分で終わらせよう」と決めれば、それを目標に時間を有効に使えるようになりますよ。

(2)タスクを「見える化」する

時間の無駄遣いを防ぐため、タスクを明確にすることはとても重要です。

今日1日のうちに行うべきタスクと、それをそれぞれいつまでに終わらせる必要があるのかを、紙やアプリなどを使って見える化しましょう。

こうすることで今自分がやるべきことが明確になり、無駄な時間の浪費が減っていきます。

(3)目的をはっきりさせる

例えば会議がダラダラ続いてしまう時や、時間ギリギリまで仕事をしてしまう時。そんな時は、「今日の会議で決めること」「今日1日でやるべき仕事」が何か、目的をはっきりさせましょう。

こうすることで、「今これは話すべきではない」「今はこれをやる必要はない」と判断できるようになります。

第2法則の対策方法

続いて、お金の無駄遣いを防ぐ方法をご紹介します。

(1)貯金用口座を作る

意識的に「貯金」という予算枠を作らないと、あるだけ使い切ってしまいます。貯金用口座を作成し、その口座に入れたお金は“ないもの”として捉えましょう。

例えば、給料が入った瞬間に毎月5万円は貯金用口座に回すなど。さらに、簡単には引き出せない定期貯金にすることで、より効果的に貯金ができるかもしれませんね。

「今月の生活費から残った分だけ貯めよう」という発想だと、永遠に貯金できない……なんてことにもなりかねませんよ!

(2)家計簿をつける

お金も、見える化するのがとても大切です。成り行きに任せていると、これまでの収入額と同額まで無意識に使ってしまいます。

家計簿をつけて支出を見える化することで、今自分がいくらお金を使っているかがはっきりします。

家計簿をつけると、切り詰めて浮いた分のお金がいくらあるかも分かるようになります。こんなお金こそ使いたくなってしまうのが人間の心理なので、浮いたお金があると分かったら、その瞬間に貯金用口座に入れるなど工夫しましょう。

(3)本当に必要な支出かを考える

「これができたら苦労しないよ!」と思われるかもしれませんが、やはりここが一番重要になってきます。

パーキンソンの法則が働くことで、不必要なものを買ってしまったり、衝動買いをしてしまったりします。お金を使う前に、「これは本当に自分にとって必要な物か?」をよく考えてみてください。

もちろん時には衝動買いをしてしまうこともあるかもしれませんが、それで自分が幸せになれるなら、それは「必要な物」だったということ。

ただ、「何でこんなもの買ってしまったんだろう……」と後悔してしまうなら、それを買った分の支出分何かを我慢するなど、自分の心にストップをかけましょう。

時間とお金は有限! 無意識に流されると損をする

人は時間やお金を無意識のうちに無駄使いする傾向にあります。ここまで読んでくださった皆さんなら、どんな時に注意すべきか、どう対策するべきかをご理解いただけたはずです!

あとは行動に移すのみ。自分が何にどれだけお金・時間を使いたいのかという夢を描き、資源の適材適所を目指していきましょう。

(広瀬絵美)

※画像はイメージです

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