結婚前の親への挨拶! 知っておきたい服装・手土産・言葉のポイント
彼との結婚が決まった時、「彼の親への挨拶って、どうしたらいいんだろう?」と悩む人も多いのではないでしょうか。彼の親へ挨拶する際に気を付けたいポイントなどについて、マナーアドバイザーの松本繁美さんに教えてもらいました。
結婚が決まったカップルにとって、「親への挨拶」は最後の難関といっても過言ではないでしょう。
結婚は当人同士だけのことではありません。これからの長い付き合いを思えば、やはり結婚前にはきちんと両家へ挨拶すべきであり、また、なんとか成功させたいところでもあります。
ここでは、この「親への挨拶」という緊張のシーンをうまく乗り切るための方法をご紹介いたします。
彼の親に挨拶へ行くタイミングは?
実際に親へ挨拶をするとなると、タイミングや、どちらの親から先に行うと良いのかなど、迷ってしまいますよね。
この項目では、それらのポイントを一つずつ解説していきます。
結婚の約束をしてから1カ月ごろまでが良いタイミング
二人が結婚の意思を固めたら、親にはなるべく早い時期に報告します。
親元から離れて生活している場合や、すでに二人で一緒に住んでいる場合も、まずは親に報告することが大切です。相手を親に紹介済みというカップルも、改めて結婚するという挨拶は必要。
お互いが結婚を誓ってから、1カ月ごろまでが良いタイミングです。
お互いの都合に合わせて日程を調整
以前であれば、先に女性側の親へ挨拶(結婚の宣言)に行くのが普通でした。
しかし現在では、実家が離れている、仕事が忙しい、親も共働きであるなどの理由で、必ずしも女性の親への挨拶が先とは限りません。
結婚する二人とそれぞれの親の都合、実家の場所が遠方であれば休みの日で調整するなど、状況に合わせて無理のない日程を優先しましょう。
事前にお互いの親に電話を
メールやLINEなどだけではなく、自分の声で報告する方が親も安心するでしょう。
二人で一緒にいる時にビデオ通話などで顔を合わせておけば、実際に会う時に少し緊張がほぐれるかもしれません。
まずは「彼の親」について知ることが大事
挨拶に出向く前に、彼の親が「どんな人」かよく知ることが大切です。
人柄や趣味、食事の好みや好物、仕事の内容などについて聞いておきます。健康状態なども知っておくとなお良し。
彼の親の情報は、多ければ多いほど良いのです。口にしてはいけない、または、やってはいけないタブーがあれば、必ず彼から教えてもらいましょう。
そして、彼の親の情報は自分の親にも伝えます。そうすることによって、両家の顔合わせや、しいては結婚式までの流れもスムーズになるでしょう。
自分の親に結婚相手のことや相手の親の情報を話しておく
前述の通り、彼自身のことはもちろん、彼の親についての情報は自分の親にも報告しておきましょう。
彼が挨拶に来た時の話題作りにも役立ちますし、気まずい雰囲気を取り去り、彼に対して親しみを持ってもらうためにも重要です。
第一印象をアップさせる服装
多くの人が考えるであろう、挨拶に行く時の服装。
どのようなものがベストなのか悩むところですが、「無難で清潔感のある服装」が一番です。
おすすめの服装
パンツスタイルであればジーンズではなくスラックス、スカートであればワンピースなど、できる限り清楚なデザインのものを。
あらたまった服装で、真摯な気持ちを伝えましょう。
避けるべき服装
あまりに個性的なデザインや目立ち過ぎる色味などは避けます。また、普段着にしか見えない服装や、肌の露出が多いものも避けた方が良いでしょう。
スカートやワンピースの場合、丈が短すぎると座布団やソファに座った時に困ります。相手が目のやり場に困るような短さではNG。ある程度の丈の長さが必要です。
その他の注意点
髪型にも気を配ります。清潔感はもちろんですが、個性の強い色味や明るすぎる色は避けるようにしましょう。
メイクも、パールやラメ感が強すぎるものは避けた方がベター。なるべく色味を抑え、アイシャドウも薄めのピンク系やブラウン系で、全体的にナチュラルメイクが無難です。
もしネイルをしていれば、そこも少し気を使いたいところ。派手なデザインや色はちょっと我慢してなるべくシンプルなものを選び、ネイルをしない人は、長さや汚れに気を配りましょう。
靴は、かかとが擦り減っていたり、つま先に傷や汚れが付いていたりしないよう、きちんと手入れしたものを履きます。
気を付けたいのは、靴の内側。日本人家庭では大抵の場合、玄関で靴を脱ぎます。そこで内側の汚れに初めて気付いたら、ドキッとしてしまいますよね。
ストッキングの場合、伝線していないかを確かめ、念のために1足、替えを用意しておきましょう。
サンダルなど、素足で出向いたとしても、カバーソックスを用意し、彼の実家や和食店などで座敷に上がる時には着用しましょう。
手土産選びのポイント
彼の実家に持参する手土産。センスや思いやりの見せどころですね。
準備する前に、好物を聞き出しておきましょう。
日持ちの良い食べ物などは、当日慌てる必要がないように、前日までに用意しておきましょう。
ケーキなど生ものを選ぶ場合も、事前に予約をして、当日は確実に持参できるようにしておきましょう。
おすすめの手土産
自分のふるさとの銘菓は、話題が広がるのでお薦めです。
また、自分が食べてみて美味しかったと実感したもの(もしくは口コミで評判のもの)を選ぶことも重要です。
平均的な予算は3,000~5,000円程度で、高すぎず安すぎないものを選ぶのが良いでしょう。
避けた方がいい手土産
ずばり、相手の家の近所で買ったもの。これは、値段も分かってしまいますし、間に合わせで買ったようにも思われます。
また、セットで売っているものは別として、ケーキや和菓子などの個数を選ぶものは、個数にも注意を。
家族の人数を確認し、かつ4個や9個という忌み数は避けて、1個足して、5個、10個にしましょう。
渡すタイミングと気を付けるべきフレーズ
玄関先でなく、通された部屋で、一呼吸置いた後に渡すようにしましょう。
その際、「つまらないものですが」は禁句。「お口に合うと良いのですが」「お好みと伺いまして」「評判が良いのでお持ちしました」などと添えると良いでしょう。
親への挨拶「こんな時どうする?」
結婚相手の親への挨拶は、誰もが緊張し、何を言うべきかためらうものですね。
しかし、親の立場からすれば、スラスラと「立て板に水」というような挨拶を受けるより、しどろもどろになっても、まごころがこもってさえいれば好感が持てるものです。
とはいえ、しっかりとした物言いを好む親もいるでしょうから、やはり自分なりに挨拶の練習はしておく方が良いでしょう。
(1)玄関先での挨拶
初対面の場合:
「はじめまして。○○○○(フルネームで)と申します。本日は、お時間をいただき誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます」
すでに面識がある場合:
「お久しぶりです。本日は結婚のご挨拶に伺いました。とても緊張しておりますが、改めまして、よろしくお願い申し上げます」
いずれにしても、手に汗を握る瞬間です。まごころを込め、真摯な態度で臨みましょう。
(2)部屋に通されたら
部屋の入口で「失礼致します」と一言挨拶をして、入室します。
相手の親にとってはお客様なので、上座を勧められるかもしれません。しかし、自分が一番目下だと心得て、入口に近い下座に座ることがマナーです。
「本日はご挨拶に伺いましたので、こちらの席にお願い致します」と、下座に座るようにします。
それでも上座を勧められるようなら、しつこく断らず、お礼を言ってから座るようにしましょう。
(3)全員がそろい着席したら
改めて、挨拶と自己紹介をします。この時、和室なら座布団を外した状態で、畳に膝をつき、洋室では椅子から立ち上がって挨拶します。
猫背になったり、姿勢が崩れたりしないように気を付けることも大切です。
「改めまして、○○○○(フルネーム)と申します。○○(男性のファーストネーム)さんとお付き合いしておりますが、この度、結婚することになりました。ふつつか者ではございますが(※言葉に抵抗があれば外す)、どうぞ、よろしくお願い申し上げます」
挨拶の後は、深くてゆっくりとしたお辞儀をすることで好印象を得るでしょう。
(4)別れ際
やっと緊張から解放される瞬間ですが、最後までしっかりと気を抜かずに挨拶をしましょう。
「本日は、お忙しい中、私(わたくし)どものために、お時間をいただきまして、誠にありがとうございました。これから、長いお付き合いになりますが、何とぞよろしくお願い申し上げます」
最初から終わりまで、必ず笑顔で挨拶することを心掛けましょう。
笑顔はトレーニングが必要です。数日前から、鏡に向かって、あるいはセルフィーで自撮りして笑顔チェックするなど、自然な表情を練習しておくと良いでしょう。
彼の親との会話に困った時のネタ
緊張しているのはあなただけではなく、相手も緊張しています。そんな場面をほぐすには、このような方法があります。
1.相手の趣味などを聞き、話を膨らませる。
2.彼の小さい頃のエピソードを聞いたり、写真を見せてもらったりする。
3.お茶やお茶菓子を下げる時に、思い切って、お手伝いを申し出る。
4.あらかじめ近隣情報を調べておき、興味深い場所や気になるお店について話題を振ってみる。
5.彼の友人で、親も知っている共通の人がいたら、その人の話をする。
自分の話ばかりするより、相手(彼を含む)のことを聞く役に回ると、意外と会話が盛り上がります。話し上手は聞き上手です。
また、オウム返しも効果的です。
例えば、「小さい頃はやんちゃだったのよ」という話を聞いたら、「やんちゃだったんですね」というようにオウム返しをすれば、相手も気持ち良く話をしてくれるはずです。
あなたの「まごころ」が見えれば大丈夫
結婚の挨拶に行って得たいのは、ご両親(親御さん)からの祝福や信頼ですよね。
そのためには、相手とその家族を知るために聞き上手になって、話をよく聞きましょう。
そして、明るい笑顔と少し遠慮がちな態度。これに勝るものはありません。
何よりも、必要以上に自分のことを良く見せようと思わないことです。
ありのままの自分で大丈夫。まごころを持って接すれば、あなたの良さはきっと伝わるはずです。
(文:松本繁美、イラスト:itabamoe)