「お言葉に甘えて」はビジネスでも日常シーンでも耳にするフレーズです。
「相手の厚意を受け入れて頼る」といった意味がありますが、本当に受け入れても良いのかなど見極めが必要な場合もあり、使い方や使う相手には注意が必要です。
この記事では「お言葉に甘えて」の意味や使い方を例文とともに紹介します。使う時の注意点など、ぜひ参考にしてください。
■「お言葉に甘えて」の意味とは
「お言葉に甘えて」は、相手からの提案や親切を受け入れるという意味を持った表現です。
「お言葉」は相手が自分に対してかけてくれた言葉のことで、例えば「手伝いますよ」といった相手の気遣いに対して、それを受け取ることです。
言葉に甘える
相手の親切・好意をそのまま受け入れる。「お言葉に甘えて頂戴します」
(出典:岩波書店『広辞苑 第七版』)
「お言葉」は、相手の申し出に遠慮せずに受け入れることを表しています。
この言葉は目上の人からの施しや気づかいなどを受け入れるお礼の言葉として使われますが、まれに年下や後輩に対しても感謝の意味を込めて「お言葉に甘えて」を使うことがあります。
■「お言葉に甘えて」の使い方と例文
「お言葉に甘えて」は、ビジネスシーンだけでなく日常生活でもよく使う言葉です。
相手からの気づかいや厚意を素直に受け取るときに、遠慮の気持ちを持ちつつもありがたく受け入れるといったニュアンスを伝えることができます。
目上の人や取引先にも使える言葉になるので、ビジネスシーンで活用できるよう、ぜひ例文を参考にしてみてください。
◇例文
・それではお言葉に甘えてお先に失礼します。
上司や目上の人から、早く帰宅するように声を掛けてもらった場合などには、素直に「お言葉に甘えて」と伝えることで相手からの厚意を受け取れます。
・お言葉に甘えてごちそうになります。次回はこちらがごちそうさせてください。
他にも、会食や食事会などでごちそうしてもらったなどの状況でも、「お言葉に甘えて」という言葉をよく使います。「お言葉に甘えて」は、相手からの言葉に対して、受け入れた上で任せるといった意味合いがあります。
中途半端に遠慮するのではなく、申し訳ないと思いつつも相手の厚意に感謝するために使う言葉です。また、相手から気遣いを受けた後は、「今度は自分がごちそうさせてください」など前向きな言葉を掛けることも、コミュニケーションで大切なポイントです。
■「お言葉に甘えて」を使う時の注意点
「お言葉に甘えて」はよく耳にする言葉ですが、使い方次第では相手を不愉快にさせてしまう可能性もあります。
「お言葉に甘えて」を使う時に気を付けておくべきことを覚えておきましょう。
◇相手からの申し出がないときは使わない
「お言葉に甘えて」は相手からの申し出があってはじめて、相手の厚意や気づかいに甘えるという意味を持っています。
こちらから一方的に甘えることはせず、相手から「早退してもいいよ」「資料作成手伝おうか」という申し出を受けてから使いましょう。
「忙しそうだけど大丈夫?」と気遣いで言っていることに対して、「お言葉に甘えて手伝ってください」などの返答は、厚かましい印象を与えてしまうので注意が必要です。
◇頻繁に使わない
「お言葉に甘えて」はとても便利なので、つい使ってしまいがちな言葉ですが、頻繁に用いるのも考えものです。
気遣いで目上の人が声を掛けてくれている場面で、毎回「お言葉に甘えて」の返答をしていると、頼りない印象を持たれてしまうかもしれません。
業務に対しての気遣いを受け、1人で解決できそうな場合には「お気遣いありがとうございます。あと1時間ほどで終わりますので1人で大丈夫そうです」など感謝とともに問題ないことを伝えましょう。
■「お言葉に甘えて」の言い換え表現
「お言葉に甘えて」の言い換え表現はさまざまなものがあります。
使う相手やビジネスシーンに応じて適切な言い換え表現を使えるようにしておきましょう。
◇「それでは遠慮なく」
相手から気遣いを受けたときの言い換えとして「それでは遠慮なく」というフレーズを使えます。
ただし、この表現は同等か目下の相手に対してのみ使える言い換えです。目上の人に対して使うと、言葉の通り遠慮がない人として失礼な表現になってしまいかねません。
目下の人に対して「お言葉に甘えて」だと、堅苦しい印象になってしまうので「それでは遠慮なく」に言い換えて使うことができます。
◇「ご厚意に甘える」
「ご厚意に甘える」は、相手からの親切、気遣いについて感謝しつつ、甘えさせていただくという意味を持った言い換え表現です。
目上の人が「今日は早退してもいいよ」といった申し出があったときに、ありがたく厚意を受け取ると同時に感謝の気持ちを伝えられます。
◇「お心遣いに甘えて」
「お心遣いに甘えて」は、相手が自然に取ってくれた行動や気遣いに対して使う表現です。
「お言葉」は、相手と対面中に掛けてくれた言葉や自分に宛てた文章に対して、その厚意を受け取るときの表現。それに対して「お心遣い」は、掛けてくれた言葉よりも、相手が何か施してくれた思いやりに感謝して受け取る意味があります。
■「お言葉に甘えて」は相手の気遣いを受け取るときに使える言葉
「お言葉に甘えて」は、相手からの「仕事を手伝おうか」「変わりに対応しておくよ」といった、優しさや気遣いに対して、それを受け入れて甘えさせてもらうという意味を持っています。
相手からの申し出に対して感謝しつつも受け入れる表現で、目上の人や同等の人に対して特によく使います。そのほかにも「ご厚意に甘えて」や「遠慮なく」など、相手に合わせた適切な言い換え表現に変えることで、スマートなやりとりができます。
(にほんご倶楽部)
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