「お知恵を拝借」とは、相手が持っている知恵を元に問題を解決する糸口が欲しい時に使うフレーズです。
「相手が持つ知恵を借りる」というニュアンスで、助けを求めたい時や上司に意見を聞きたい時に役立ちます。
この記事では「お知恵を拝借」の意味や使い方、言い換え表現を例文とともに紹介します。
■「お知恵を拝借」の意味
「お知恵の拝借」には、^「相手が持っている知識や考えなどを聞きたい」^とお願いする意味があります。
拝借とは「借りる」をへり下って伝える謙譲語であり、借りたい相手への敬意を示す言い方です。
物事をきちんと把握して、見極められる判断力や認識力がある相手に、問題をクリアするための方法を教えてほしいとお願いする意味を持っているのです。
◇「お知恵を拝借」は敬語?
「お知恵を拝借」は、「拝借」という謙譲語を含むため敬語といえます。
「お知恵を拝借できれば幸いです」など、丁寧な言い回しにすることで、より敬意を込めたフレーズになります。
◇「知恵」と「知識」の違い
「知恵」と「知識」はとても似た言葉ですが、細かい意味が異なる単語です。
「知恵」はトラブルなどに対して、^どのように対処すれば解決できるのかを筋立てて考え、処理する能力^のこと。
それに対して「知識」は、^とある事柄について知っていること^を意味する言葉です。
^「知識」は知っているだけで経験を伴ってはいないこと、「知恵」は知った上で処理するまでの能力を持っていること^であると覚えておくといいでしょう。
▶次のページでは、「お知恵を拝借」の使い方や例文、注意点を紹介します。
■「お知恵を拝借」の使い方と例文
「お知恵を拝借」は、自分で考えても答えを出せなかったり、どうすればいいのか分からなかったり、といった解決策を模索しているシーンで使います。
何かアドバイスを求める場面で、相手を敬う気持ちを伝えつつもお願い事ができる言い回しのため、以下の例文を参考にぜひ使い方をマスターしておきましょう。
◇例文
*・部長のお知恵を拝借したいのですがよろしいでしょうか?
・○○にくわしい○○さまにお知恵を拝借したいと思い、ご連絡しました。
・お忙しいかと存じますが、○○さまにぜひお知恵を拝借できれば幸甚です。*
■「お知恵を拝借」を使う時の注意点
「お知恵を拝借」を使う上で、知っておきたい注意点があります。相手にとって失礼にあたらないように十分気をつけましょう。
◇「ご拝借」は二重敬語になるため注意
^「拝借」はすでに1つで謙譲語になっている表現^です。そこに追加で新しく丁寧語を加えると、二重敬語になってしまうことがあります。
特に「ご拝借する」とすると、「ご~する」が謙譲語に該当するので、謙譲語「拝借」の二重敬語になります。
ちなみに「拝借させていただきます」は、通常であれば謙譲語「拝借」と「させていただく」の二重敬語になってしまいます。しかし現在ではビジネスシーンで浸透しているフレーズのため、^「拝借させていただきます」と使っても問題ないとされています。^
二重敬語が気になる人は「拝借したいです」や「拝借します」といったシンプルな敬語表現に変えましょう。
◇「お手数ですが」や「恐れ入りますが」などを添える
「お知恵を拝借」だけでなく、事前に相手に対して謝罪を含めた言葉を添えておくと丁寧です。
相手に手間をかけさせてしまうことを謝罪し、その上で教えてほしいというお願いをすることで、礼儀をわきまえた表現になります。
^「お手数ですがお知恵を拝借したいです」や「恐れ入りますがお知恵を拝借させてください」^といった断りを入れましょう。
◇後輩や年下など目下の相手には使わない
「拝借」は拝んで借りるという意味を持った言葉です。へり下った表現のため、^基本的に上司や先輩など目上の人に使いましょう。^
後輩や年下に使う時は、シンプルに「教えてほしい」といった言い方に変えることをおすすめします。
▶次のページでは、「お知恵を拝借」の言い換え表現を紹介します。
■「お知恵を拝借」の言い換え表現
「お知恵を拝借」は別の表現に言い換えることで、さらに丁寧な敬語表現になります。
「お知恵を拝借」の言い換え表現を覚えておくことで、シーンに合わせて使い分けられます。ここでは「お知恵を拝借」の言い換え表現をいくつか紹介します。
◇「お知恵を賜りたいです」
「お知恵を賜りたいです」は、「拝借」と似た意味を持った「賜る」に言い換えた表現です。
「賜る」とは目上の人からもらうという意味で、上司や取引先など立場が上の相手に依頼したい時に使えます。
^「拝借」よりもさらに丁寧な表現として、ビジネスメールや手紙などで役に立つ言い回し^です。
◇「お考えを伺いたいです」
「お考えを伺いたいです」は、相手の意見を聞きたいことをシンプルにまとめた敬語表現です。^知恵を授かりたいというよりも、単純に考えを聞きたい時にも使えます。^
知恵によって解決策を聞きたいよりも、誰かの意見を聞いて自分でも改めて考えたい状況の時に便利な表現です。
◇「ご教示ください」
「ご教示ください」は、相手の知っている情報や知識を自分に教えてほしい時に使うフレーズです。
上司や先輩、取引先など幅広い相手に使えるフレーズで、知恵をしぼって答えを教えてほしいだけでなく、^相手が知っている情報だけが欲しい状況でも役立ちます。^
「お知恵を拝借」が相手の知恵をもとに答えを出してほしいといったお願いの意味を含んでいることに対して、「ご教示ください」は情報のみを教えてもらいたい状況も含めて、相手にお願いしたいシーンで使えます。
■「お知恵を拝借」は相手に助けてほしい時に使える言葉
「お知恵を拝借」は、^自分では考えられない解決策や解決の糸口となるものを相手から教わりたい時^に使えるフレーズです。
ビジネスで問題を解決する際には、自分の力だけでは分からない、知らない情報もあります。
そんな中で、「お知恵を拝借したいです」とお願いをすることで、物事の解決につながっていくのです。
相手に教えてほしいとお願いするフレーズだからこそ、あらかじめ「お手数ですが」や「恐れ入りますが」など、手間をかけることを謝罪した上でお願いするなど、敬意を払った表現を心がけましょう。
(にほんご倶楽部)
※画像はイメージです