「取り急ぎお返事まで」とは、いったん相手にメールを返信したい時の締めの言葉として使います。しかし、実はビジネスシーンでは「取り急ぎお返事まで」を使うと、相手にとって失礼になってしまうこともあるのをご存じでしょうか。
この記事では「取り急ぎお返事まで」の正しい意味を解説した上で、使用時の注意点や言い換え表現を紹介します。
■「取り急ぎお返事まで」の意味
^「取り急ぎお返事まで」とは、相手からメールなどをもらった際に、現時点では急ぎで簡単な返事をしたいという時に使う、締めの言葉^です。
例えば、外出中でしっかりと納品物の確認ができない中、送られてきたメールはチェックしたとの意味で「取り急ぎお返事まで」を添えるといった状況で使います。
「取り急ぎお返事まで」は、本格的に相手が求めている内容を確認するには時間が足りない状況で、まずはメールを受け取ったことなどを知らせる目的で返信するというニュアンスを含んでいるのです。
「まで」にはさまざまな意味がありますが、ここでは「動作や事柄がこれ以上に及ばない」、つまり「(簡単な)返事にとどめる」という意味を表しています。
■「取り急ぎお返事まで」の使い方と例文
「取り急ぎお返事まで」は、^相手からのメールに対して、できるだけ早くリアクションしたい時^に使えます。特にビジネスでは、相手をなるべく待たせずに対応することが求められます。
例えば出先でどうしても丁寧なメールの返答ができない場面でも、「取り急ぎお返事まで」を使ってまずは連絡を受け取った旨を伝えるようにすると、相手に安心してもらえるでしょう。
また相手から質問が送られてきてその答えだけを急ぎで送りたい時や、添付された資料を後ほどじっくりと確認したいがまずは「届いた」と伝えたい際などに使えます。いずれにしても、^後で改めてしっかりと連絡を取ることが前提で使うフレーズ^です。
◇例文
下記で具体的な例文を紹介するので、ぜひビジネスで使う際の参考にしてください。
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・「メールを拝受しました。ありがとうございます。取り急ぎお返事まで」
・「ご質問ありがとうございます。詳細を確認の上、またご連絡いたします。取り急ぎお返事まで」
・(会議の開始時間を質問するメールに対し)「○日の会議は○時開始の予定です。取り急ぎお返事まで」
・「納品物を受領いたしました。恐れ入りますが出先のため、取り急ぎお返事まで」
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■「取り急ぎお返事まで」を使う時の注意点
「取り急ぎお返事まで」を使う際は相手に失礼のないように、正しい意味や使い方を知るとともに、次のような3つのポイントに注意してください。
◇(1)目上の相手には使わない
「お返事まで」は、ビジネスでよく見掛ける表現ではあるものの、言い切りの形で完了しており、文末を省略しているといえます。そのため^不躾な印象があり、敬意を払うべき目上の人に使うには不適切だと捉えられかねません。^
また「取り急ぎ」にも「間に合わせの処置」といったニュアンスがあるため、良く思わない人もいるでしょう。よって「取り急ぎお返事まで」は、同僚や立場が近い人など、カジュアルな連絡をしても問題ない相手にのみ使うのが安心です。
◇(2)時間が空いている返信には使わない
前述のように、「取り急ぎお返事まで」は急ぎで簡単な返事をしたいという時に使うフレーズです。そのため、^メールをもらってから数日たっているような場合に使用するのは避けた方がいいでしょう。^
相手はすでに数日待っている上に、詳細を知るにはさらに待たなければいけない状況にさせてしまい失礼です。返信まで数日空いているメールには、「取り急ぎお返事まで」を使わずに、1通で相手が知りたい情報をきちんと記載して送りましょう。
◇(3)口頭や電話では使わない
「取り急ぎお返事まで」は主に、メールなどで急いで相手に返事をしたい時に使うフレーズです。^実際に対面している場面や電話などにおける話し言葉では、あまり使用しません。^
「詳細については改めてご説明いたしますが……」などと伝えるといいでしょう。
■「お返事まで」と「ご報告まで」の違いは?
「お返事まで」と同様にメールの締めの言葉としてよく使われるフレーズで「ご報告まで」があります。どちらも同じような言葉のため、使い分けが難しいですね。
^使用シーンの違いは、相手からの連絡の有無^です。「お返事まで」は相手から連絡をもらった後に返信する場面で使うため、連絡がない状態では使えない言葉です。
一方で「ご報告まで」は、相手からの連絡はないけれど、取り急ぎこちらから物事の経過や結果だけでも知らせておきたい場面で使えます。「報告する」ことが目的のため、返事ではなく誰かに何か伝えたい情報がある時に便利です。
■「取り急ぎお返事まで」の言い換え表現
「取り急ぎお返事まで」を効果的に使うための、言い換え表現を紹介します。
「取り急ぎお返事まで」ではそっけない文章になってしまう時や、目上の人に同じような意味の言葉を添えたい場合は、次のような言い換え表現を活用していきましょう。
◇(1)「まずは用件のみにて失礼いたします」
相手から聞かれた質問への回答をする際や、急いで返答したい情報がある時に、特に重要な部分だけを伝える表現です。
^「用件のみを伝える形になって申し訳ない」という意味合いをコンパクトにした表現で、「取り急ぎお返事まで」よりも具体的で丁寧なフレーズ^です。
◇(2)「まずはご案内申し上げます」
^相手からの質問に対して、「こうである」という情報や「このようにしてほしい」という希望を伝えるフレーズ^です。案内したい情報のみを、取り急ぎ返信したい時に使えます。
例えば「○日の会議は何時からですか」といった質問に対して、「○時開始予定です。会議の詳細は改めて書類をお送りいたしますが、まずはご案内申し上げます」と返答することで、相手が知りたい特に重要な情報のみをスマートに伝えられます。
■「取り急ぎお返事まで」は急いでいる時の返答に使える言葉
「取り急ぎお返事まで」は、相手からの連絡に取り急ぎ返答したい時の、締めのあいさつとして使えます。
連絡をもらってから数時間以内に返答したいものの、外出中で長文のメールを返すのが難しい場合や、納品物までは目を通せないといった場面で、「取り急ぎお返事まで」と伝えることでひとまず相手に安心してもらえます。
しかし「取り急ぎお返事まで」はやや不躾な印象があるため、目上の人に対しては使用しない方が無難です。今回紹介したような、より丁寧な言い換え表現を使うといいでしょう。
(にほんご倶楽部)
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