ウナギの刺し身がないのはなぜ?
土用の丑の日に思わず食べたくなるものといえばウナギ。かば焼きや白焼きで食べるのが一般的ですが、刺し身では見たことがないという人がほとんどのはず。そこで今回は、ウナギの刺し身がない理由に迫ってみましょう。
ウナギは毒を持っている
ウナギの血液にはイクチオヘモトキシンという成分があり、これがヒトなどの哺乳類に対して毒性を持っています。命に関わるほどではありませんが、食べると吐き気や呼吸困難を起こす可能性が。しかし60度で5分以上加熱すれば毒が抜けるため、ウナギは加熱調理が基本となっているのです。
ちなみに血液をすべて抜いて、酢でしめれば刺し身で食べることも可能であり、一部料理店などで振る舞われています。ちなみにこの毒はアナゴやハモなども持っているので注意しましょう。
夏の定番なのに夏はおいしくない?
ウナギは高たんぱくで消化が良いことから、夏バテ予防の定番としてよく食べられていますが、夏のウナギは味があまりよくないのだとか。その理由としては、冬眠に備える秋の終わりから冬のはじめが最も栄養を蓄えているから。
この時期にバテてしまうのは人間もウナギも同じなのかもしれませんね。
完全養殖でウナギ文化がかわる!?
現在一般的に食べられているウナギは、天然のシラスウナギを漁獲して養殖したものです。しかし年々乱獲や海洋環境の変化、河川環境の変化によりその数は減る一方であり、ウナギの値段はどんどんと高騰しているのです。
そんな中、日本で世界初めてとなる完全養殖が可能となり、2020年を目標に商業化がすすめられています。わたしたちが料理として口にできるまでにはまだしばらく時間がかかりそうですが、完全養殖のウナギが一般家庭で普通に食べられるような時代になれば、ウナギの毒に関する研究も進み、刺し身でも手軽に食べられるようになるかもしれませんね。
おいしいウナギ料理を食べれば、それだけでなんだか元気な気分になってしまう人も多いはず。たとえ刺し身ではなくても栄養は豊富ですから、ぜひ疲れたときは積極的に食べるようにしてみてくださいね。
※この記事は2015年01月12日に公開されたものです