価格差5.5倍! 今話題?の「レッドキャビア」と「トビウオの卵」を食べ比べてみた!
今メディアを騒がせている阪急阪神ホテルズによる食材の偽装?誤表記?問題。「レッドキャビア添え」には、「トビウオの魚卵」が使われ、「芝海老料理」には「バナメイ海老」が使用されるなど、47のメニューに違いがあったそうです。ということは、ひょっとして高級ホテルで出されるレッドキャビアは「トビウオの魚卵」で代用できる? そこで、実際に買って調べてみました!
まずは、これらの食材について、おさらいしておきましょう。
「レッドキャビア」とは「鱒(ます)類の卵」。ネットの報道などでは、単に「キャビア」と書かれているものもありましたが、キャビアは「チョウザメの卵」ですからまったくの別モノです。
また、「トビウオの魚卵」もピンとこない人が多いかもしれませんが、これは回転寿司の種などにもよく使われている「トビコ」のこと。流通量の少ないレッドキャビアに対し、トビコはスーパーマーケットの鮮魚店にもよく置かれています。
それでは、レッドキャビアと比べてみましょう!
■外見の違いは一目瞭然
まず外見を比べてみると……。確かにどちらも「赤い卵」ですが、大きさの違いは一目瞭然(写真A)。
・写真A
測ってみると、レッドキャビアの粒の直径は約4ミリありますが、トビコは約1.5ミリしかありません。約4ミリという大きさが実はキーポイントで、キャビアの最高級品である「ベルーガ」というチョウザメのキャビアは結構粒が大きく、同じくらいの大きさです。このあたりに模して「レッドキャビア」という名前で呼ばれるようになったのかもしれませんね。
■価格差は約5.5倍!
レッドキャビアは、普通のスーパーマーケットや魚屋にはまず置かれていません(広義で鮭の卵であるイクラを含むケースは除きます)。少なくとも日本国内では希少な食材なので、価格もそれなりに高価。私が購入した東京・日本橋にある百貨店では、レッドキャビアは50グラム入り1,764円(税込)、トビコは75グラム入り457円(税込)でした。同量で計算すれば価格差は約5.5倍。これで同じ味を出せれば、トビコはかなりお得な食材といえそうです。
■ねっとり系とプチプチ系
気になるお味ですが……。まずは単にクラッカーにのせ、レモンを添えて食べてみました(写真B)。
・写真B
レッドキャビアのほうは、原材料名を見ると卵と塩の他、砂糖、アンチョビエッセンス、レモン汁が入っていますが、「やや脂質を抑えたイクラの塩漬け」という印象で、イクラに比べるとねっとり系の風味。レッドキャビアは、柑橘系などの酸を加えると乳化して美味しさが増すようで、実際にレモンをかけてみたところ、舌の上でまろやかなコクが広がり、私好みの味に!
次にトビコを食べてみましたが、レッドキャビアとの違いは圧倒的なプチプチ感。脂味はほとんど感じません。ばらした味付け数の子という印象でしょうか。ただ、レモンを絞っても、さっぱりするだけで乳化による効果はあまり感じられないよう。ちなみに原材料名には、さまざまな添加物の名前が並んでいました。
■レッドキャビアの美味しさ
結論でいえば、味は全然違いました。そして値段の差はあるにせよ、それぞれに「別の味」で美味しい食材でした。
レッドキャビアは高いといっても、キャビアには比べるべくもないので、自宅にお客さんを招いて華のある前菜をつくるときなどに使ってみるといいかもしれません。キャビアと勘違いしてくれる人もいそうですし(笑)。
柑橘系などによる酸を加えて乳化させる美味しさは、前述したとおりですが、ここではさらに脂肪のテイストを加えた、お酒に合う簡単な酒肴をご紹介しましょう。
まず、茄子(なす)のソテーの上に、パルミジャーノチーズ風味の玄米リゾットをのせます。そして最後にレッドキャビアを盛ったら完成です(写真C)。
・写真C
レッドキャビアには、やや淡水魚にあるような独特の匂いがありますので、パルミジャーノの風味に合わせるとグッと食べやすくなりますし、食感も本来の味も負けずにちゃんと残ります。代わりにトビコをのせたものも食べてみましたが、こちらは食感の強さだけが際立ち、悪くはないですが……この調理には向かないよう。トビコにはもっと食感を活かした、癖のない料理のほうが向いているかもしれませんね。
みなさんもこれを機会に、レッドキャビアとトビコを美味しく召し上がる料理を試してみてはいかがでしょう。
(西益屋ハイジ/サイドランチ)
※この記事は2013年10月25日に公開されたものです