「常にプレッシャーだった……」 相沢が言ったその言葉が妙につっかかった。 私は男に常にプレッシャーを与えてしまう女なのだろうか？ そして、あんな田舎くさい女にも、クネクネした半田に

「あの！　あなたは誰ですか？」 キレイでおしゃれで都会的でスッとしたその女の人に 私はおもいきって聞いた。 「相沢さんに聞いてみたら？」 と、その女の人は言った。 「浩樹、この人誰

「家に女の人でも待ってるの？」 おもいきって相沢に聞いてみた。 「い、いや、そんなんじゃないけど……」 相沢はなんてウソをつくのが下手なんだろう。 「ウソつくなら、もうちょっと上手

「トラブルがあって、銀座に寄らなくちゃいけなくなったんだ。 ちょっと遅くなる。先にご飯食べてて」 次の日、上司と約束があるからと出かけた浩樹から そんなメールがあった。 私は妙に気

日本一不幸な25歳の女なんじゃないか……。 自分で自分のことをそう思った。 彼氏はクネクネした女に盗られ、 そのせいで、プロジェクトリーダーという仕事も失った。 唯一の救いは、私に

おしゃれな洋服におしゃれなバッグ……。 東京に来て、浩樹のファッションセンスが磨かれたのだろうか？ それとも選んでくれる女性が現れたのだろうか？ しかし、引越しのときにAV機器に貼

やっと新しい会社が決まった。 私が選んだ仕事は、一般事務だった。 転職活動は意外にも厳しく、妥協の末に選んだ会社だった。 満員電車に揺られて出勤し、定時に退社する生活。 自分の時間

「すいません……ちょっと熱が39度も出ちゃって……。 今日はお休みさせてください」 「柏木さんが体調崩すなんて珍しいね。大丈夫？ 明日は土曜だし、ゆっくり休んで。また月曜日に元気な

亮介から、久しぶりに会おうと電話があった。 そういえば私と亮介はきちんと別れ話をしていない……。 会おうと言ったのは、別れ話が目的なのだろうか？ 久しぶりに会う亮介は、 相沢よりフ

「連絡先……別に教えてもいいけど……」 「じゃあ、真理子のケータイの番号とメアド、教えちゃうよ！　 たまには他の男とデートも気分転換になっていいんじゃない？」 と玲子が言った。 他

退職当日、私は相沢と約束をしていた。 待ち合わせ場所にあらわれた相沢は、 亮介と比べると垢抜けないファッションをしていた。 それに気づいたら、 相沢のファッションがやたらと気になっ

浩樹はそんなに忙しいのだろうか？ 電話に出るヒマもメールを返信するヒマもないくらい 仕事が忙しいのだろうか？ 仕事じゃなくて他のことで忙しいのだろうか？ 他のこと……それは新しい東

送別会の翌日……。 二日酔いの私は会社でもぐったりしていた。 それを見た半田が 「先輩、その様子だと、 きのうの本間先輩の送別会、相当盛り上がったみたいですね。 私も行きたかったな

「あれ……真理子さん？」 トイレの前で電話をかけていたら、見覚えのある男に会った。 引越しを手伝ってくれた、浩樹の後輩だった。 「どうしたんですか？　こんなところで……」 「う、う

最初は楽しかった送別会だったが、 亮介と半田のことを聞いてからは、 何かを忘れるように飲んでしまった。 気がつけば終電の時間。 足元がふらつきながらも終電に乗った。 私がこんなに酔

無い知恵を搾り出していろいろな浮気防止策を企てている。 でもやっぱり離れていると不安になる。 そんな私を心配してか、 高校の同級生の玲子が合コンに誘ってくれた。 合コンなんて初めて

コピー機が直り、会議資料もなんとか間に合った。 余裕がなかったわりに、会議でのプレゼンも上手くいった。 そんな自分を自画自賛していたら本間先輩に言われてしまった。 「いつもそう上手

普通の女性だったら思うかもしれない。 遠距離恋愛の彼氏の洗濯モノをわざわざ洗ってあげるなんて、 人が良すぎると……。 大好きな人の洗濯モノを洗う。 私はそこにこの上ない幸せを感じる

案の定、半田は使えない女だった。 コピーをとってもホチキスを止める位置が違っているし、 見積書を作らせても計算が合わないし、 仕事が残っていようが、12時になるとランチに出かけてし

2週間ぶりに会った浩樹は、なんだか垢抜けていた。 スーツのネクタイも初めて見るモノだった。 「そのネクタイ、どうしたの？」と私は聞いた。 「これ？　転勤が決まった時に東京で買ったん

私がプロジェクトリーダー!? 先輩の目は冷ややかだった。同期の松本の目も冷ややかだった。 喜んでくれると思っていた恋人の亮介は「おめでとう」とは言ってくれたものの、 その言葉は心か

浩樹が東京に行ってからというもの、黒磯がさらに田舎に感じて仕方ない。 会社でも、お料理教室でも、茶道教室でも浩樹のことばかり考えちゃう。 案の定、浩樹のメールの返事の回数も減ってき

ドラマは諦めよう……。 忘れたカギを取りに会社に戻ることにした。 すると、牧村社長が居眠りをしていた。 髪はボサボサ、小太りの課長はお世辞にもカッコイイとは言えないが、 寝顔はもっ

浩樹の引越しは、浩樹の後輩と東京本社勤務の同僚、 そして私の3人が手伝った。 後輩と同僚が帰った後、私は、 テレビやエアコンのリモコン、そしてAV機器にかわいらしいシールを貼った。

なんとなく入った今の会社。 なんとなく配属された今の企画マーケティング部門。 入社して3年。恥ずかしい話、本格的な企画書なんて書いたことがない。 来週までに企画を挙げろと言われても

「一緒に東京に来てくれないか？　結婚しよう」 浩樹から出るそんな次の言葉を待った。 笹岡以外おっさんしかいない財団法人を辞めるチャンスだ！ 憧れの東京生活ができる！ 表参道ヒルズだ

私は珍しくワクワクしながら出社した。 だって今日はあの新しい課長がやってくる日。 私は勝手に、雑誌「LEON」を愛読するようなちょい悪オヤジを想像していた。 が……違った。 新しい

「大事な話がある……」 彼氏にそんなコト言われたら、 ドキドキするに決まってる！ 期待するに決まってるじゃない！ 今日はお料理教室と茶道の稽古があったけれど、当然キャンセル！ 時計

松本によれば、 新しい課長は業績が下がりつつあるウチの会社を建て直すために、 あのソフトモバイルから引き抜かれ、やってくるらしい。 しかもウチの会社はその課長に来てもらうために か

「柏木さん、これとさっきの資料、 会議までに人数分コピーしといてもらえます？」 入社3年目の営業の笹岡くんが入社5年目の事務職の私に命令をした。 むっかぁぁ！　結婚までの腰掛けだと