【医師監修】おならは妊娠超初期の兆候? 妊娠とおならの関係と妊娠初期の変化

【医師監修】おならは妊娠超初期の兆候? 妊娠とおならの関係と妊娠初期の変化

妊娠しているかどうかまだ判断がつかない“妊娠超初期”と呼ばれる時期に「おならが増えるのは妊娠の兆候?」そんな疑問をもつ人が少なくないようです。妊娠すると女性の体にはさまざまな変化が現れますが、“おなら”もその1つなのでしょうか? 妊娠とおならの関係と、妊娠初期の体の変化についてまとめます。


“おなら”とは何者?

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おならは、口から飲み込んだ空気と腸内細菌が食物を分解するときに発生するガスで、そのほとんどは無臭です。

ガスの発生、そしてそのガスを出すことは体にとって大切な生理現象なので、おならは決して悪者ではありません。しかし生活の中では控えたい場面で出てしまったり、臭いが強かったりするとちょっと困ってしまいますね。

おならはなぜ、くさくなる?

本来は無臭なはずのガスがくさいのはなぜでしょうか?

それは悪玉菌と呼ばれる腸内細菌が関係します。悪玉菌が腸内の食物から作り出すガスはにおいがきつく、おならがくさくなるのです。

つまり腸内環境が悪いほど、おならはくさくなるということです。

近年の腸内細菌研究では、若い人と高齢の人を比べると、腸の動きが鈍い高齢な人ほど腸内環境が悪化しやすく、便やおならは臭くなると考えられています[*1]。ただし年齢にかかわらず腸の動きが鈍くなる生活をしていると腸内環境が悪化しやすく、おならはくさくなると考えられ、原因として偏食(特に肉類やファストフードに偏り、食物繊維が不足した食事)や運動不足があげられています。

また便が腸内(特にS状結腸や直腸など、腸の後半)に停滞する「便秘」も臭いを増悪させる原因になります。

妊娠とおならの関係

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一般的に、妊娠すると便秘になりやすくなります。

月経前症候群(PMS)の症状の1つとしても便秘になりやすい人がいるのと同じで、ホルモン分泌の影響で腸の動きが悪くなるため、腸内に便が停滞しやすいのです。

妊婦さんの便秘が増えるのは、子宮が大きくなることも影響する中期以降である場合が多いですが、妊娠初期から腸の動きが悪く、便秘しやすくなる人もいます。とはいえ腸のはたらきや腸内環境はそもそも個人差が大きいので、おならは「妊娠の兆候」とまでは考えられません。

一方、人によってはおならが出そうで出ない状態が続き、お腹が張った感じ(腹部膨満感)が続く場合もあります。

膨満感は苦しいし、つわりの消化器症状(吐き気やおう吐)が重なるとよりつらくなる可能性もあるでしょう。

松峯先生
「臭いがきつくても、おならが出るということは、腸が動いて機能している証拠。もともと便秘しやすい人は特に妊娠全期間を通じて、便秘予防の生活を。また、主治医に相談して、便秘薬を処方してもらうのもいいでしょう」

さらに、妊娠が進むとホルモンの影響で筋肉がゆるみ、トイレをがまんする時などにはたらかせる「恥骨直腸筋(ちこつちょくちょうきん)」のコントロールが効かなくなるので、おならは不如意に出やすくなります。

恥骨直腸筋は骨盤底筋群の一部なので、意識的に引き締める骨盤底筋体操(詳細後述)で鍛えることができます。

妊娠超初期の体の変化

“妊娠超初期”と呼ばれる期間は「次回生理開始日前(妊娠1ヶ月)」を示す俗語で、医学用語ではありません。

妊娠しているかどうか、まだ判断ができないこの時期に生じる心身の変化はとても個人差が大きいものですが、次のような変化がある・あったという先輩ママの声もあります。

月経以外の少量の出血(着床出血)
おりものが増える
乳房のハリ、痛み
つわりの症状、食欲や味覚・臭覚の変化
便秘
眠気・だるさ
微熱・風邪っぽさ
むくみ
感情の起伏が激しくなる(抑うつ状態になる)
頭痛

松峯先生
「妊娠超初期と呼ばれる時期も、その後のつわりも症状は人によって大きく異なります。特に感情や精神面の症状は、妊娠を前向きにとらえているか否かで差が大きく、つわりの程度にも影響することがあります。

妊娠や生活に対する不安などがある場合は、『産科で相談できるのは体のことだけ』とは思わず、主治医や助産師などに心を開いて話してみると、相談にのってもらえます。早期になるべく不安を解消して、つわりの時期を迎えましょう。

一方、めまいや立ちくらみ、脈の異常(脈が飛ぶ、ドキドキが治まらない)などの症状があるときは診察や検査が必要な場合もあるので、妊娠の可能性を告げて医療機関を受診してください」

妊娠以外で「おならトラブル」をまねきやすい病気や生活習慣

おならのにおいが強くなったり、回数が増えると考えられている病気があり、また生活習慣の影響も大きいとされています。

慢性胃炎や過敏性腸症候群[*2]

ピロリ菌感染などから慢性的な胃炎で胃のはたらきが低下する「慢性胃炎」は、症状がない場合も多いですが、胃痛や胸焼けを感じることがあります。

また、ストレスの影響で腸が知覚過敏状態(痛みを感じやすい)になり、収縮運動も激しくなり、便通異常(便秘や下痢、またはそれらを交互に繰り返すなど)が起こる「過敏性腸症候群」という病気があります。

これらの病気になるとおならが増えることがあり、消化器症状(吐き気やおう吐)、排泄のトラブル(下痢・便秘、その混合)などにもつながるとされています。特にストレスが強いと無意識にも緊張のせいで唾液を飲む回数(俗に「固唾(かたず)を飲む」という状態)が増え、同時におならやげっぷのモトとなる空気も多く飲み込むため、おならやげっぷが増えるのです。こうした症状は「呑気症(どんきしょう)」と呼ばれます[*3]。

便秘

非妊娠時からの慢性的な便秘は女性に多い症状です。

そもそもどのような状態を便秘というかというと、2017年に日本初の、成人の便秘の定義が公表され、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とされました[*4]。つまり何日出ていないといったこと以上に“快便”という当事者の実感がとても重要で、実感がもてなければ便秘としてケアすることが推奨されています。

食生活

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食生活の影響も大きいものです。特に次の項目に関して食生活を見直してみましょう。

■ 食物繊維を十分にとる(豆や芋類はガスが発生しやすい食品ですが、食物繊維が豊富です。適度に食べましょう)。
■ 肉食に偏らないように食べる。
■ 腸内環境をよくする発酵食品を十分にとる。
■ 空気を飲み込みやすいため控えるとよいもの(呑気症防ぐもの)は炭酸飲料、ガム、麺類、汁物など。
■ 早食いは空気を飲み込みやすいので、ゆっくりよく噛んで。
■ ただし、つわりが始まったら「食べられるものを食べられるときに食べられるだけ、無理せず食べる」が大切。

松峯先生
「食欲不振の時期に無理に食べようとすると空気をたくさん食べてしまい、おならやげっぷを増やす原因になる可能性もあります」

恥骨直腸筋のコントロール力アップは⁉︎

骨盤底筋体操は妊娠中も行える体操です。回数はあくまで目安で、毎日無理のない範囲で続けてみましょう。妊娠中・後期に起こりやすい尿漏れ予防にもなります!

松峯先生
「体から自然に出るものが『出ない』より『出る』ほうが健康にいいので、本来はあまり気にしないでほしいところです。ただし仕事中など、控えたい場面もあるので、恥骨直腸筋を鍛える骨盤底筋体操をしてもいいかも」

やり方

1. 深呼吸やストレッチをして、まずリラックスする
2. テーブルや背もたれのあるイス、台所のシンクの縁など安定している場所につかまり、つかまった手に体重を預けるようにして立つ
 ※足幅、手の幅は肩幅程度にし、背筋を伸ばし、正面を見る
3. 肩やお腹の力は抜き、肛門や尿道・腟だけを3〜5秒間強くしめ、次いでゆっくりゆるめる
4. 3を10回繰り返す
5. 4を1セットとし、しばらく時間を置いて、もう2セット/日行う

まとめ

おならは体にとって大切な生理現象です。とはいえ、回数が増えたとしても必ずしも妊娠の兆候というわけではなく、その他の原因や食生活の影響であることが多いようです。ただし、妊娠中は便秘になりやすく、それがおならのにおいを強くすることもあるので、便秘予防の生活を心がけるとともに、内科や産婦人科で妊娠の可能性があることを告げ、相談してみましょう。

この記事の監修ドクター
松峯美貴先生
医学博士、東峯婦人クリニック副院長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(ともに東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします!どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。
http://www.toho-clinic.or.jp/

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]辨野義己著「大便革命」,p78,幻冬舎,2018.
[*2]日本消化器病学会ガイドライン 患者さんとご家族のための消化性潰瘍ガイド
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/pdf/02_kaiyou.pdf
患者さんとご家族のための過敏性腸症候群(IBS)ガイド
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/pdf/02_ibsr.pdf
[*3] 一般社団法人小郡三井医師会 病気と健康の話
http://www.ogorimii-med.net/column/腸が敏感になる病気・・・過敏性腸症候群の話
[*4] 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会「慢性便秘症診療ガイドライン2017」

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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