【助産師解説】産後の床上げっていつ?外出、水仕事、お風呂は?<ママ体験談>

【助産師解説】産後の床上げっていつ?外出、水仕事、お風呂は?<ママ体験談>

出産後、「産後の床上げ(とこあげ)」はいつできるのでしょうか? 先輩ママの体験と助産師さんのアドバイスをまとめました。産後はできるだけ安静を保ちたいものですが、なかなかそうはいかない場合もありますよね。床上げまでの期間を無理なく過ごす方法も参考にしてください。


産後の床上げはいつだった? ~ママ体験談~

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床上げとは、出産後いつでも横になれるよう敷きっぱなしにしておいた布団を片付けるさまから来た言葉で、産後(もしくは病後)の体を徐々に普段の生活に戻していく過程で使用されます。そのため、産後だけでなく、大きな病気から回復したお祝いの表現としても使われます。

では、産後の床上げはいつ頃行うのでしょうか? まずは、先輩ママたちに床上げした時期を聞いてみました。

私は里帰り出産をしたので、1ヶ月健診までは上げ膳据え膳でゆっくりしました。と言っても、おむつ替えと授乳で余裕はなく、あっという間の1ヶ月でした。

(30代、長男3歳、会社員)
上の子の時は里帰りしたけれど、保育園の関係で下の子は里帰りせず、産後1週間ほど実家の母に来てもらいました。産後2週間経って以降は、床上げとか考える暇もなく、保育園のお迎え(送りは旦那)も自分でやっていました。スーパーの宅配サービスは、注文から届くまでの時間や品ぞろえ、訪問時に出られなかったら置いて行ってくれるかなど、サービスに差があるので、複数登録しておくと便利ですよ。

(30代、長女5歳・次女1歳、会社員)
私の両親が他界しているので、産後は義理の実家にお世話になりました。「産後3週間は無理してはいけない」と義母に言われ、ゆっくり休ませてもらいました。ただ、来客が多い家なので、毎日赤ちゃんの顔を見に来る親戚や近所の人に気疲れして、いろいろ理由を付けて早々に自宅に戻りました。自宅の方がやることは多いけれど、気が楽です。

(20代、長男1歳)
両家とも両親が現役で働いているので頼れず、いろいろ相談して産後は主にパパが家事をして何とか乗り切りました。洗濯は乾燥まで全自動、ご飯はパパが帰宅時に買ってきて簡単なものを作り、食器洗いは食洗機にお任せ。掃除もパパがちゃちゃっと簡単に。育休明けの練習だ!と思い、がんばってもらいました。そんなこんなで、本格的な家事復帰=床上げならば、産後2ケ月ほどはパパにおんぶにだっこしていたかな?

(40代、長女8歳、会社員)

産後の床上げはいつからが正解? 体の回復と床上げ時期

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ママたちの体験を見ても、産後の床上げ時期は人によってさまざまなことがわかります。では、床上げにベストな時期はあるのでしょうか?ここでは、体の回復に沿った一般的な見解をお伝えします。

産褥期の体の様子と一般的な回復期間

出産後およそ6~8週間は体が妊娠・出産前の状態に戻ろうとする期間で、これを産褥期と呼びます。体がスムーズに元に戻れるよう、この期間はできるだけ負担のない生活を送ることが大切です。

妊娠・出産により変化した体の回復過程と期間には個人差がありますが、一般的には以下のように進んでいきます。

<子宮>
産後、子宮は収縮しながら元の大きさや状態戻っていきます。これを、子宮の復古(ふっこ)と言います。出産後しばらくは、後陣痛と呼ばれる痛みが現れることもあります。これは強い子宮収縮によるもので、初産より経産婦さんの方が痛みは強いともいわれます。個人差はありますが、子宮底(子宮のてっぺん)はおよそ10~14日でお腹の上から触ってもわからないくらいまでに戻ります。

<悪露(おろ)>
分娩後、子宮内膜からはがれた組織には血液、リンパ液、粘液、創傷分泌物などが含まれ、それが悪露の成分となって排出されます。産後2~3日は粘り気のある赤い血が多く出ますが、徐々に量は少なくなり、色も褐色から黄色、白色と変わっていきます。産後1週間もすれば、量はだいぶ少なくなります。悪露が完全になくなる時期には個人差があるので一概には言えませんが、おおよそ4週間を目安になくなってくことが多いでしょう。

<会陰(えいん)>
分娩時にできた傷は縫合され、しばらくは痛みますが、個人差はあるものの1週間以内ほどで楽になることがほとんどです。抜糸の必要がない溶ける糸を使っていなければ、退院時に抜糸します。

<子宮頸管(しきゅうけいかん)>
分娩により開大した子宮頸管は1週間程度で指1本分まで閉じ、4~6週間かけてほぼ閉鎖します

床上げの時期は?

では、床上げは具体的にいつ頃行えばいいのでしょうか?実は、床上げの時期については明確な答えはなく、ママの体調によって異なってきます。ただ、昔から多く言われているのは、出産の疲労が多く残っている産後3週間(約20日間)はゆっくり体を休め、その後体の回復具合を見ながら徐々に生活に慣らしていくのが良いというものです。つまり、基本的には体がほぼ回復に向かっている産後3週間が過ぎる頃を床上げの目安とし、あとは個々人の体調や回復状態に合わせて調節することが勧められるというわけです。

まだまだ体調が万全とは言えない時期。人によっては回復が遅いこともあるので、決して無理はせず、疲れたらすぐ休むようにすることが大切です。また、完全に普段通りの生活に戻るのは、1ヶ月健診後まで待ちましょう。ここで異常がないか医師の判断をあおぎ、問題ないと診断されたら少しずつ普段通りの生活に戻してください。

産褥期の注意点と生活のアドバイス

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前述のように、産後6~8週間は体が元の状態に戻るよう回復していく産褥期にあたります。この期間は、できるだけ自分と赤ちゃんのことだけを考えゆったりと過ごすことが勧められます。そうすることで、先々のさまざまなトラブルや体調不良のリスクを少なくすることができるからです。

ある研究では、床上げまでの期間にゆっくり休めなかった経験が、産後の尿失禁の要因のひとつになっているといわれています[※]。床上げの目安とされる産後3週間を過ぎるまでは、自身の体と赤ちゃんの育児を優先した生活を送るよう努めましょう。

産褥期に注意したい事柄と、助産師さんからの生活のアドバイスをお伝えします。

「水仕事はOK?」家事・育児について

昔は、重い水を運んだりする必要があったことから、産褥期の水仕事はNGとされていました。今ではもうそのようなことはありませんが、産後のダメージが残った体にはちょっとした家事も負担になります。できるだけ産後2週間目(退院後1週間)は、パパや他の家族の方に協力してもらいましょう。2人目以降の出産であれば、ご飯やお風呂など、上の子の育児もお願いしましょう。手伝ってもらえる人が近くにいない場合は、地域のサポート制度を上手に利用することをお勧めします。特に、里帰り出産でない場合は、自分が暮らす地域の子育て支援制度などを事前にしっかり調べておくと安心です。

産後3週目に入ったら、体の様子を見ながら負担の少ない家事からちょっとずつ始めていくといいでしょう。疲れたらすぐに休むようにし、無理のない範囲で体を慣らしていってください。体調に問題がなければ、3週間目の終わりには床上げすることもできます。ただ、まだ万全ではないので無理は禁物。完全に普段通りの生活に戻るのは、1ヶ月健診でOKの診断をいただいてからにしましょう。経過が順調であれば、産後8週間を過ぎた頃からは職場復帰も可能です。とはいえ、くれぐれも一般的な目安時期だけで判断はしないように。自分の体と相談しながら、少しずつ進めていきましょう。

「いつから出かけられる?」外出について

産後の外出は、一般的に1ヶ月健診後からが勧められます。特に、長時間の外出や遠出は、産褥期には避けるようにしてください。

ただ、1ヶ月の間家にこもりきりでは気が滅入ってしまうのも事実です。退院後1週間は家で安静にし、その後は天気の良い日に家の周りを散歩するなど、気分転換がてら近所に短時間だけ、というぐらいなら問題はありません。産褥期が過ぎれば、体の様子を見ながら少しずつ遠出も可能です。

【医師監修】外出はしてもOK? 生後1ヶ月の赤ちゃんの特徴

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1206

生後1ヶ月になると、授乳や睡眠の頻度も徐々に安定してきます。そろそろ外出したいと思うママも多いのではないでしょうか。今回は、生後1ヶ月の赤ちゃんの特徴とともに、この時期の外出についてのポイントを紹介します。

「お風呂はOK?」その他の生活について

お風呂は、1ヶ月健診までは湯船につかることを避け、シャワーですませましょう。足湯ならOKなので、疲れをいやしたいときはこれで我慢しましょう。

また、夫婦生活も産褥期はNGです。少なくとも、1ヶ月健診で問題ないと診断されるまでは避けるようにしましょう。

この他、出血や褐色のおりものが出ている間は、悪露のパット交換を定期的(4時間ぐらい毎)に行う、清浄綿を使って清潔を保つなどを続けるようにしてください。また、産褥期は疲れやすいだけでなく、授乳やオムツの交換で夜中もゆっくり休めないので、テレビやインターネット、読書などは疲れない程度にとどめ、赤ちゃんが寝ている間はできるだけママも横になって休むようにしましょう。

産褥体操について

産褥期は、心身の回復や肥満、尿失禁、静脈血栓症などのトラブル予防のために、産後すぐから産褥体操を始めることが勧められます。具体的には、産褥体操には以下のような効果が期待できるとされています。

1. 妊娠によりゆるんだ腹筋や骨盤底筋の回復をスムーズにする。
2. 全身をリラックスさせる。
3. 血行を良くして、静脈内のうっ血や血栓を予防および乳汁分泌を促進する。


この他、疲労回復や便秘予防の効果も期待できるとされます。また、腹筋や骨盤底筋を鍛えることは、尿もれや子宮が下がることによるぽっこりお腹の予防にもつながります。

最初は軽い運動から始め、様子を見ながら徐々に強度を高めていきましょう。ただ、もっとも大切なことは、できるだけ毎日続けることです。回数やレベルはその次の問題なので、続けられる強度で習慣化することを心がけ、産後のトラブル予防の一助としましょう。少なくとも産後4~6週間、できれば3ヶ月ほど続けることが勧められます。

まとめ

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床上げの時期に決まりはありませんが、一般的には産後の疲労からある程度回復する産後3週目以降が目安とされています。ただ、回復のスピードには個人差があるので、一般的な流れを参考にしながら、自分自身の体調と相談して判断することが重要です。また、産後は体の回復は順調でも、育児や授乳などにより睡眠不足になりがちで、慢性的に疲労が蓄積されやすいものです。体調がいいからと決して無理はせず、パパや家族の協力、地域のサポートなどを得ながら、少しずつ普段の生活に体を慣らしていくようにしましょう。

この記事の解説助産師
佐藤 裕子先生
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院の総合周産期母子医療センターで10年勤務。現在は助産院マタニティハウスSATOにて、妊娠から出産、産後のトータルケアを担っています。「日々ママや赤ちゃんに寄り添い、笑顔になってくれるのが何よりのやりがいです 」

(文・構成:マイナビウーマン編集部、監修・解説:佐藤裕子先生)

※画像はイメージです。

参考文献
[※]河内美江,出産後3年以内の女性の尿失禁と出産の関連性,日本看護研究会雑誌,32(1),p47-57, 2009

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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