あさりは食べ過ぎても大丈夫?1日の適量は?鉄分の種類や保存方法【管理栄養士監修】
潮干狩りなどであさりをたくさん食べる機会もあるかと思いますが、あさりは食べ過ぎても大丈夫なのでしょうか? あさりといえば鉄分の摂取源にもなってくれますが、1日にどのくらい食べるのがちょうどよいのか、一緒に見ていきましょう。そのほか、下処理のやり方や保存方法などもお伝えします。
あさりは鉄分が豊富な食材!
あさりには鉄分(鉄)が多く含まれていますが、鉄分は、おもに肉や魚などに含まれるタイプと、野菜などに含まれるタイプとに分けられます。あさりに含まれるのはどちらなのでしょうか。
あさりは非ヘム鉄を多く含む
食品に含まれる鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄という種類があります。鉄分は血液中のヘモグロビンの構成成分であり、ヘム鉄は動物の血液に由来するものです。一方、ヘム鉄以外の無機鉄のことを非ヘム鉄と呼びます。
一般に動物性食品の鉄分はヘム鉄、植物性食品の鉄分は非ヘム鉄と思われていますが、一概にそうとは言えません。あさりなどの貝類の鉄分をヘム鉄としている文献と、非ヘム鉄としている文献の両方が見られます。他の肉や魚と比べてあさりに非ヘム鉄が多めとなる理由としては、あさりは海底のコケなどのエサから非ヘム鉄を吸収しているため、ヘム鉄よりも非ヘム鉄のほうが多いのではないかとされています[*1]。
あさりは効率よく鉄分を摂れる
ヘム鉄と非ヘム鉄では吸収される過程が異なり、ヘム鉄の方が吸収率が高いです。そのため、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方が含まれているあさりは、他の肉や魚と比べて効率が悪いのでは、と思うかもしれません。しかし、非ヘム鉄はたんぱく質やビタミンCを一緒に摂ることで吸収率が上がります。そして、あさりにはたんぱく質が含まれています[*2]。つまり、あさりはそのままで十分、鉄を効率よく摂取できるのですね。これは大きな魅力でしょう。
また、鉄分の吸収率は体で必要とされているかどうかでも変わってくるため、一概には言えません。吸収率の高さなどで食べるものを決めるのではなく、栄養素はいろいろなものから摂るようにしましょう。
あさりを食べ過ぎたらどうなる?
あさりに含まれる栄養素は過剰摂取の心配が低いものなので、たくさん食べたからといって何かすぐに体に害がでるわけではありません。しかしながら、あさりだけで鉄分を補おうとするなど、1つの食品に偏った食べ方はしないようにしましょう。
下痢や腹痛の可能性
あさりは身が硬いのでしっかり噛まずに飲み込むことも多くなりがちです。不十分な咀嚼でたくさん食べ過ぎると消化不良になり、腹痛などを起こす可能性もあるかもしれないので、注意しましょう。量を食べ過ぎないのももちろんですが、咀嚼が消化を助けるので、しっかり噛んで食べるといいですね。
食中毒に注意
貝類はとれる季節などによって、貝毒という食中毒を発生することがあります。熱に強い毒なので、普通の食中毒と違って加熱調理により防ぐことはできません。一般的に売られているものは定期的に検査されていますが、自分でとったりする場合は、貝毒の危険性もあることを知っておくといいでしょう。
また、貝毒という特殊な食中毒ではなくても、魚介類は食中毒をおこす細菌やウイルスをもっていることもあります。特に貝類は足もはやいので、しっかり中まで火を通して食べるようにしましょう。食べ過ぎが食中毒の直接原因になるわけではありませんが、貝類は十分に加熱することを忘れずに。
あさりの1日の適量はどのくらい?
潮干狩りなどで一度にたくさんとると、食べ過ぎてしまうこともあるあさり。1日にどのくらい食べてもいいものなのでしょうか。
水煮|1日30~60gが適量
食事バランスガイドによると、主菜(肉や魚など)から、成人は1日に3~5単位とるようにとされています[*3]。1単位はたんぱく質6gをあらわすので、あさりの水煮なら30gが1単位の目安になります[*2,3]。
あさりを1日に1~2単位くらい摂ると考えると、あさりの適量は水煮のもので1日30~60gといえるかもしれませんね。なお、これは食べられる部分(可食部)の重さで、水煮の汁は捨てた状態で考えています[*2,3]。
ちなみに、主菜の1単位の食品例として他を挙げると、たとえば、納豆1パックや卵1個で1単位です。
むき身(生)|1日100gが適量
水煮の缶詰ではなく殻付きの生のあさりなら、殻をむいた状態で100gくらいが1単位になります[*2,3]。殻付きで測った場合は170gです。生だとずいぶん多いですが、加熱すると身が小さくなるので、食べやすくなるとは思います。参考にしてみてくださいね。
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あさりの下処理と保存方法
いざ、あさりを食べようとすると、下処理が面倒だったりもしますよね。最後に、下処理(砂ぬき)の方法と保存方法についてご紹介します。
あさりの砂抜き
あさりは砂を含むため、砂抜き(砂だし)をする必要があります。コツはあさりが砂を吐き出しやすい状況を作るために、海水と同じ濃度(3.4%)にすることです。水300mlに対して塩10gが目安になるでしょう。
\砂抜きの仕方/
① あさりをバットやボウルに並べて入れる(なるべく重ならないようにするとよい)
② 水300mlに塩10gを溶いたものをひたひたになるくらいまで入れる
③ 冷暗所、もしくは冷蔵庫で2~3時間以上おいてからよく洗う
*夏は常温だと暑すぎることがあるので、冷蔵庫がおすすめです。
保存期間は約1~2日
あさりはおいしく食べられる期間が短く、だいたい1~2日くらいが目安でしょう。砂だしで半日~1日かかるので、すぐに食べるようにしてくださいね。
長く保存したいなら冷凍する
もし長く保存したいなら、おすすめは冷凍保存です。あさりは砂出ししたあと、生のまま冷凍できます。ジッパー袋などに殻ごと入れて冷凍するとよいでしょう。
まとめ
あさりは鉄が豊富と言われたりもしていますが、非ヘム鉄を多く含みます。とはいえ、非ヘム鉄でもあさりの場合は吸収がよいので、しっかり摂っていきたいものです。ただし、あさりばかり食べ過ぎると腹痛を起こすことも考えられます。鉄不足が気になる方も多いとは思いますが、食事はバランスが大切です。あさりだけに偏らず、いろいろなものを食べるようにしましょう。
(文・監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:e-ヘルスネット「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」
[*2]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*3]農林水産省:食事バランスガイドについて
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます