妊娠 妊娠
2022年07月15日 18:00 更新

砂肝を食べ過ぎたらどうなる?太る?栄養の特徴やカロリーをチェック【管理栄養士監修】

独特な食感でクセになることもありそうな砂肝。焼きとり、から揚げ、煮物などでつい食べ過ぎてしまうこともありそうですね。食べ過ぎたらリスクはあるのでしょうか? 含まれる栄養素とともにお伝えいたします。

砂肝はどんな食材?栄養は?

砂肝の炒め物

砂肝は焼きとりなどでもよくみかける食材です。鶏肉のどの部分なのでしょうか。

レバーの近くにある砂袋

砂肝とは、にわとりのレバー(肝臓)の近くにある砂嚢(さのう)という部位のことで、別名「砂ずり」とも呼ばれます。

にわとりには腺胃(せんい)と筋胃(きんい)という2つの胃がありますが、砂肝は筋胃のことをさします[*1]。くちばしを使って食べたものをこの砂嚢ですりつぶして消化しやすくしています。人間にたとえると歯のような働きをもつ器官ですね。

レバーとの違い|鉄分やビタミンAの量

砂肝は「肝」という言葉からレバーの仲間と勘違いされやすいですが、お伝えしたとおり胃の1つです。したがって、レバーと同じように鉄分やビタミンAが多いかというと、そうではありません[*2]。

鶏レバーには100gあたり9mg、豚レバーには13mgが含まれますが、砂肝の鉄分(鉄)は2.5mgです。また、ビタミンAに関してはほとんど含まれず、100gあたり鶏レバー14,000μgRAE、豚レバー13,000μgRAEですが、砂肝は4μgRAEと大きく異なります(レチノール活性当量として)[*2]。ビタミンAは過剰摂取のリスクもある栄養素ですが、その点、砂肝は気にする必要がありません。

レバーとは栄養素の特徴が違うことは覚えておくといいですね。なお、レバーとビタミンAの過剰摂取については以下の記事で詳しくお伝えしています。

カロリー|ダイエット向き

砂肝はダイエットにおすすめの食材といえます。ダイエットによく用いられる肉といえば鶏むね肉や鶏ささみが定番ですが、これらとカロリーを比較してみましょう。

<100gあたりのカロリ―>[*2]
鶏むね肉(皮なし・若どり)…105kcal
鶏ささみ(若どり)…98kcaⅼ

砂肝…86kcal

なんと、砂肝は鶏むね肉や鶏ささみよりもさらにカロリーが低いのですね。もちろん、ダイエットには食事バランスが欠かせませんが、肉類を食べるときは数回に1度くらい砂肝を取り入れるのもよいでしょう。

たんぱく質|肉類としては平均的

砂肝 生肉

砂肝はコリコリしているのでたんぱく質が多そうに思われるかもしれません。他の鶏肉の部位と比べるとどうなのでしょうか。

<100gあたりのたんぱく質量>[*2]
鶏ささみ(若どり)…23.9g
鶏むね肉(皮なし・若どり)…23.3g
鶏もも肉(皮なし・若どり)…19.0g
砂肝…18.3g
鶏レバー…16.1g


このようにみると、砂肝のたんぱく質量は鶏肉の中では少なめといえます。しかし、肉類全体でみると平均的な量です。あまり難しく考えずに、選択肢の1つとしてさまざまな肉と一緒に砂肝も摂っていくとよいでしょう。

亜鉛|鶏肉の中では多め

砂肝は亜鉛などのミネラルが多そうなイメージのある方もいるかもしれません。砂肝には100gあたり2.8mgの亜鉛が含まれます。同じ鶏肉の中では多い方といえます。

<100gあたりの亜鉛の量>[*2]
砂肝…2.8mg
鶏もも肉(皮なし・若どり)…1.8mg
鶏むね肉(皮なし・若どり)…0.7mg
鶏ささみ(若どり)…0.6mg


ただし、肉類全般で見ると牛肉の方が亜鉛は豊富です。亜鉛を摂りたいと思ったときは、砂肝を選ぶのもよいですが、牛の赤身肉はより多く摂取しやすいでしょう。牛肉以外なら豚レバーにも多く含まれます。

プリン体|尿酸値が高い人は注意

砂肝には100gあたり149mgのプリン体が含まれます。プリン体が少ないとは言えませんが、他の肉類と同じくらいです[*5]。

尿酸値が高かったり、高尿酸血症や通風にかかっていて、医師からプリン体の摂取量に気を付けるように言われている場合は、肉類を少なくして野菜をしっかり摂るように心がけるとよいでしょう。

特に尿酸値に異常がないのであれば、砂肝を通常の食事の中で食べることは、ほかの肉類と同様、特に問題はありません。高尿酸血症や通風の発症には肥満やアルコールの摂取が関係しており、プリン体の摂取だけが要因とは言いにくいです。予防のためには毎日の栄養バランスを意識し、暴飲暴食をしないように心がけましょう。

砂肝を食べ過ぎたらどうなる?目安量は?

砂肝料理

砂肝は食べ過ぎたらどうなるのでしょうか。だいたいどのくらい食べるのがいいのか、目安量をみていきましょう。

食べ過ぎても問題なし

砂肝を食べ過ぎても特に健康に大きな問題を生じることはありません。

どのくらい食べても大丈夫なのか迷ったときは、まず、「普通の食材かどうか(何かの成分を強化した製品ではないか)」、「通常の食事量のなかで食べているか」どうかを考えます。その次に、「他の食材は食べられているか」を考え、最後に「毎日摂り続けないようにする」ように意識するとよいでしょう。

適量の目安|1日100g程度

それぞれの食材をどのくらい食べたらいいのかを考えるときには、農林水産省と厚生労働省が策定した食事バランスガイドを参考にすることができます[*6]。

食事バランスガイドによると、主食(穀類)が5~6SV(単位)、副菜5~6SV、主菜3~5SV、乳製品2SV、果物2SVとされています。砂肝はたんぱく質が摂れる主菜に分類されますが、砂肝50gでだいたい1SVとなります。1日の主菜をすべて砂肝とせずに魚や大豆製品、卵も摂取したいので、砂肝で2SV(100g)くらいを目安とするといいでしょう。

Lazy dummy

ちなみに、主食はおにぎり1個が1SV、副菜は小鉢1杯が1SVなどになります。

脂質異常症の場合|100gより少なめが安心

砂肝は脂質が低い食べ物ですが、100gあたりコレステロールを200mg含みます。脂質異常症になっている場合は、重症化予防の目的から1日200mg未満にとどめることが望ましいとされているので[*3]、砂肝は1日100gより少なくなるように心がけるとともに、毎日は食べないようにしましょう。また、肉の脂身などに多い飽和脂肪酸はLDLコレステロールを増やす原因になるので、あわせて気を付けたいですね。

砂肝のおすすめレシピ

砂肝は歯ごたえがいいので、メニューに変化を与えてくれる食材です。スーパーで見かけたらぜひ取り入れてみてくださいね。

砂肝の下処理

砂肝 なま

砂肝の下処理は簡単です。砂肝はハートのように2つのかたまりがくっついているので、真ん中で切り離しましょう。青白い部分(銀皮)は硬いので、取り除くのがおすすめです。裏側の白い部分はそのままでもかまいません。そぎ切りにするとさらに食べやすくなります。

砂肝と小松菜の炒め物

■材料
・砂肝 100g
・小松菜  1束
・すりおろしにんにく 少々
・中華スープの素 小さじ1
・ごま油 大さじ1
・塩 少々
(お好みで)
・糸とうがらし、ごま 適量

■作り方
① 砂肝は青白い筋をとって一口大にそぎ切りにする
② 小松菜は軸を切り落としてよく洗い2cmほどの長さに切っておく
③ フライパンにごま油とすりおろしにんにくを入れ、砂肝を加えてしっかり色が変わるまで炒める
④ 小松菜を加えて炒め合わせ、中華スープの素を加えたら、最後に塩で味をととのえる。お好みで糸とうがらしやごまをのせる

まとめ

砂肝は噛み応えがあって低カロリーなので、ダイエットにはおすすめの食材です。特に食べ過ぎによる体への影響も起こりにくいですが、高尿酸血症になっていたり、脂質異常症になっていたりする場合は注意しましょう。「肝」という字から鉄分が多いと誤解しがちですが、それほどではないことも覚えておくといいですね。食材にはそれぞれ栄養素に違いがあるため、補い合うためにもいろいろな食材を選ぶようにしましょう。

(文:監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

「カロリー」という表記について
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-